「「佐藤仁美さん。ごめんなさい。」」貞子 一撃さんの映画レビュー(感想・評価)
「佐藤仁美さん。ごめんなさい。」
ファンだし、なんとか擁護してあげたい。
しかし無理です。本当にガッカリしました。なぜあれが世に出せると思ったのか不思議でなりません。
「貞子」のネームバリューならある程度の結果が残せるとでも思ったのか、携わったチームが誰一人として違和感に異論を唱えなかったのかと、悪意すら感じました。
ちなみに佐藤仁美さんは「リング」から唯一の生存者としての登場です。「倉橋雅美(佐藤さん)」のいわゆる「その後」としてのストーリーや展開、結末に至るまではなかなか見応えがあり、ファンとしては多少満足のいく内容だと感じました。もちろん佐藤仁美さんのシーンにも制作側の配慮が欠けると感じた部分もあります。それは最後に書くことにします。
まずはそれ以外の問題から。
●「撮ったら死ぬ」と謳いつつ、実際に撮るのは1人なので恐怖に迫られる側のハラハラは殆どなく、しかもその「撮影者」は主役でもなければ、中盤殆ど姿を現さないのです。「撮ったら死ぬ」と言うキャッチコピーの破壊力とは裏腹に、撮ったことでの死の恐怖の描写はほぼありません。「詐欺だ」と感じました。キャッチコピーに腹が立ちます。途中でYouTuberと思わしき連中の撮影シーンがあったり、連中の動画にヘンな映像が紛れ込んだなどの説明がありましたが、呪われたんでしょうか、彼らは。
●謎の少女とその母親の存在も謎過ぎます。最も、これに関しては原作「タイド」を読んでみないとなんとも言えませんが。逆に言うと、「原作を読んでいなければ理解できないのかも」と思わせてしまった時点で、映画を楽しみに鑑賞しに来た人にとってはハズレでしかないでしょう。
●他の方もレビューされていた「綱引き」は本作最大のクライマックスでしたが、笑いを堪えるのが大変でした。かつて「リング2」の同時上映として映画館で観た「死国」のクライマックス、いわゆる「最恐」シーンはなんと相撲の技!懐かしの「さば折り」でした。もしくは「ベアハッグ」とした方が分かる方も多いのでしょうか。同時上映でなければ絶対に観なかったであろう作品の「死国さば折り」と、本作の最恐クライマックスが似たようなガッカリ具合だったことはとても残念です。
●今年の1月にお亡くなりになられた、「リング・リング2・リング0〜バースデー〜」で山村貞子の母親、山村志津子役を演じられた、モデルの「雅子」さん。本作での山村志津子役の女優さんは別に雅子さんの代役という訳ではないと思いますし、お綺麗なのはいいとしても、フォトジェニック過ぎてイメージギャップが埋まりませんでした。それこそ「ともさかりえ」さんの方がまだ山村志津子のイメージに近かったと感じます。謎の少女の母親役と貞子の母親役。違和感が凄いです。
●その山村志津子が「賽の河原」に赤ちゃん(貞子)を籠に入れて去って行く(イメージ)のを主人公が見るシーンがあります。「満月の夜には潮が満ち、都合が悪いモノを全部飲み込んで」しまう存在であるはずの河原なのですが、潮が満ち始めて赤ん坊を飲み込んでいくどころか、山村志津子が赤ん坊を置き去ったところまで水位が変化することはなく、後はご存知の「綱引き大会」。
最後に。
私は原作ファンです。
と言うか「リング」を観て小説を読んで虜になった、元祖「リング」ファンの1人です。
佐藤仁美さんのインタビュー記事などを読んでも、彼女の本作に携わる喜びと意気込みは伝わりました。だからこそ楽しみにしていたファンとしては本当に残念で仕方ありません。倉橋は貞子を目撃して以来、重度の精神疾患を患ってきたと、そこまでは期待通りで嬉しかったのですが、問題はここから。
①その貞子を再び目撃、いや最早これは「再会」です!
②倉橋は再び狂乱し取り乱しますが、「リング2 」の時ように隔離されることはなく普通の個室の病室に戻っています。映倫的に許されないなど、何か事情があってこの様なシーンにしか出来なかったのでしょうか。不思議すぎます。
③主人公の小娘は狂乱状態の倉橋に、貞子な事を聞き出そうと詰め寄ります。一応看護師に止められますが、
④主人公に詰め寄られた倉橋は急に冷静さを取り戻し、仕方あるまいとばかりに冷静に過去の話を始めます。しかも個室の病室ではなく、人目にもつきやすい待合室の様なところに場所を移して。不思議です。
⑤しかもその場所、倉橋が貞子と再会した、貞子がテレビから出てきた場所ではないでしょうか。不思議です。
⑥倉橋の主人公に対する説明の中で、倉橋が貞子を最初に目撃したシーンが「リング2」から引用されます。主人公が本人から説明を受ける事への違和感は、過去のシーンを引用する事ができるのならばもっとよい形で回避できたのではないでしょうか。しかもなぜ「リング2」のあのシーンだけ使用したのでしょうか。「リング」の映像は使えなかったのでしょうか。不思議です。
佐藤仁美さんがご出演と聞いて本当に嬉しかったのに、楽しみにしていたのに、佐藤さんが出演した本作が不甲斐ないばかりに、佐藤さんの素晴らしい演技への評価も埋もれてしまいました。低評価ばかりの本作の中でも、素晴らしい女優さんが見せた熱演を、皆さんから評価していただけることを心から願っています。
小説「タイド」はまだ読めていませんが、映像化されたものは海外の作品も含めて全て鑑賞しました。海外品の逆輸入には正直、全くと言っていいほど期待していませんが、本家がこのザマではもう映像化はおやめになられた方がよいのではないでしょうか。
4DXの力を借りて、USJのアトラクションのようになるだけの作品なら、原作の小説はなぞらえずにオリジナルのストーリー展開にしたらどうでしょうか。
Jホラーちゃんとしろ!様
コメント感謝いたします。感激です。私も封切りでのホラー鑑賞はもうないかも知れません。「貞子3D」でがっかりし、続編は観に行きませんでした。「貞子vs伽倻子」など、やっぱり「貞子」という偶像(アイドル)イメージを利用した「新商品」でしかないのだとショックを受けました。一方で「リング0〜バースディ〜」の様な傑作と出逢った経験もあり、本作は劇場で観る事を決めていました。
懐かしいですね(笑)私も仰る映画は楽しめましたよ!「リング」に負けず劣らずの印象は「呪怨」だと思います。超えることはありませんでしたが、匹敵するゾクゾクでしたよね(笑)
ちなみに松嶋菜々子さんの「リング」に匹敵するほどの名作はやはり「リング0〜バースディ〜」だと思います。雅子さんの遺作であり、私が田中好子さん(スーちゃん)を映画館で観た最初で最後の映画でした。後世に残したい「リング」二作品!
「予言」と「感染」はご覧になりましたか?当時の「リング」と「らせん」のようなセット商品でしたが、内容は全く別モノ(笑)!私は「感染」が大好きですよ(笑)!
一撃さん こんにちは。僕も同じく四半世紀前に「リング」を原作から入りました世代です。もう最近は・・・誠に申し訳ないですが、Jホラーを封切で観ることは無くなりました。
ですから本作も未だ観てはおりませんが、一撃さんの仰ることは、本編を観なくても手に取るようにわかります。
僕も佐藤仁美さんが本作に出演されると聞いて、楽しみにしておりましたが、やはり期待外れの演出でしたか・・・余談ですが昨今の朝ドラや「オーマイジャンプ」に出ていた彼女が、「リング」の生き残りの女の子と知ったのは1年位前のことです。
「女優霊」「リング」「リング2」「リング 〜事故か! 変死か! 4つの命を奪う少女の怨念〜」ビデオ版の「呪怨1・2」「学校の怪談」そこそこ面白かった「Jホラーシアター作品群」等々往時が懐かしいです。