彼らは生きていたのレビュー・感想・評価
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映像革命は時代を超えて
ピーター・ジャクソン最新作をAmazonプライムビデオで鑑賞。 第一次世界大戦のドキュメンタリー。 青年たちが夢を胸に入隊し、訓練を受け、戦場で何を得、何を喪ったのか。 100年前のモノクロフィルムに"色"と"音"が付くだけでこれだけリアルに感じるとは。 微笑ましい生活描写。 声に出して笑ってしまうようなマヌケなエピソード。 目をを覆いたくなるような死体の山。 これら全てが本物の映像。 だからこそ、その説得力は何物にも変えがたい。 最前線にいた兵士の笑顔も涙も今の青年と何一つ変わらなかった。 ピーター・ジャクソンの映像革命は"時代"の壁を超えたんだ。
価値ある記録映画
貴重な学術的資料になりうる映画だと思います。とても100年前の世界とは思えないくらい陳腐さの微塵も感じられない。 個人的には、インタビューをフィルムに焼き付けて表現しているシーンが殆んどなんだけど、会話速度が早くて、咀嚼しきれなかったのが少し残念だった(私に英語力がないだけの話なんだが)。
彼らは歳をとらない
1917を見る前の予習として鑑賞。 これまでは映画なんかの作りもんであったり、白黒写真や手回しカメラの不連続で違和感のある映像でしか戦争の状況を知ることはなくイマイチ実感が湧かなかった。しかし、最新技術で色付け、滑らかにすることで、当時の様子を実際にその場にいるかのように生々しく描くことに成功していた。 前線でいつ死ぬか分からない地獄のような状態の中でも見せる笑顔が印象的で、彼ら若者の多くが歳をとらずに死んでしまったという事実に胸が痛くなった。 また、笑顔を見せる兵士の黒ずんだ歯の汚さが衛生面の悪さを際立たせていた。 実際に戦ってから、敵も自分たちと同じ生きて帰りたいと願う人間であることを知ったというが、そこまでしないと気づけないほど当時の国を包む熱気は異常であり、兵士達は理性を失ってたんだなと感じた。そして、戦後の彼らへの風当たりの強さにやるせない気持ちになった。 戦争は無意味と言うことに互いが気付くが、僅か20年で次の大戦が始まってしまった。なんて愚かなことなのだろうか…
技術だけでなく、見事な構成
祖父に注ぐとラストに出てくるが、まさにそんな思いで作られたのだろう。第一次世界大戦という遠い日の出来事を目の前に蘇らせてみせる、色をつけることによって、さらに音によって、白黒の物言わぬフィルムをリアルなものに変貌させる。技術的な方法論が揃い、そして、それらを構成する単純な方法論として選んだ「語り」という手法。まさに、かつて爺ちゃんから夏の日に聞いた戦争の話、のようなひょうひょうとしたスタンスで語られるそれらのエピソード、戦争前のワクワク感と、そんなものが消し飛ぶ戦場の有様。そして帰ってきての喪失感。映るものは当時の映像、当時のイラストのみだが、この制限された表現から汲み取れるものは多い。
1917 命をかけた伝令 を観る前に観るべし
CSディスカバリーチャンネル・CSヒストリカルチャンネルで観るWW1系番組よりも、遥かに完成度が高い。お金を払ってでも観る価値がある。 1センテンスずつ解説文を読むのは、まるで体験者自身が鑑賞者に訴えているようにリアリティがあり、構成や演出が実にうまい。 記録フィルムのみを使っているので、兵士たちの目が非日常的で、真実味が溢れていた。 WW1の知識があまりない人にはお勧めの作品 この映画を観たら、「1917 命をかけた伝令」を続けてみた方がいい。
第一次世界大戦の事実を知る貴重な作品
第1次世界大戦の記録映像を再構築して製作したドキュメンタリー映画。 100年前の映像とは思えないほど鮮明にリアルな戦場が写し出されている。 モノクロ、無音、激しい劣化の記録映像を、修復、着色し、音声や効果音を追加して、1本のドキュメンタリー映画として完成させ、 監督とスタッフの涙ぐましい努力が感じられた。 悲惨で過酷な戦場風景や、戦場の兵士たちの姿も写し出し、常に死と隣り合わせの戦場での生々しい兵士(人間)の姿を垣間見ることができる。生き字引たる元兵士達の言葉(解説)も、体験した真の言葉で心に重く突き刺さった。 ひとつ感じたこと、どこの国でも戦争は悲惨で命の無駄遣いたが、特に戦争時の日本の上官は兵士の命を大切にしていなかったな、と。 特攻のような片道切符の自爆作戦を考えた日本(日本人大将)はなんと愚かなのだろう。 We must not forget about the war.
みんなみんな、観たらいいな
なんら、楽しいことはない映画だけれど、みんなが、なんかの機会があって、観られるといいな、と思う。 第一次世界大戦の、ベルギーでのイギリス軍とドイツ軍の戦いを、残されている白黒フィルムと音声と着色した白黒フィルムで構成した、ドキュメンタリー。 意気揚々と志願して従軍し、戦地に赴き、前線の塹壕内で爆撃のプレッシャーにひたすら耐え、突撃し、相手を殺し、3/4が死ぬ、そんな十代の若者達の姿を、実際の死体も含めて見つめることには、なんらかの意味があったように思う。 捕虜にしたドイツ兵を「同じ人間だ。いいやつだった。彼等も俺たちも勝敗なんてどうでもよかった。ただ戦争が終わればよかった」と語る兵士達を、淡々と観ることにも、イギリスに帰国した若き兵士達が、空前の世界不況の中で、なんら感謝もされず、かえって冷遇されたというモノローグが、ただ耳に入ってくることにも、やはり意味があったと思う。 楽しさもワクワク感も全くない映画なので、大々的に薦めにくいのだが、みんながこの映画を観るといいな、と切に思う。知っておきたいことだと思う。 しかし、秒16コマのフィルムのはずなのに、なぜこんなにスムーズに映せるのだろう。技術って、凄いな。
人間はなぜ忘れてしまうのだろう
良くできた重い映画だ。悲惨な戦場と兵士の心理。 第一次大戦でこれほどのめにあいながら、イギリスやドイツの国民は チャーチルやヒトラーの唆しに乗って、第二次大戦に突入したとは。 その間20年ほどしか経っていない。人間はなんと忘れっぽいのか。
リアリティ
本当に若い兵士たちの戦地での姿がリアリティを持って迫ってくる。等身大の若者たちが駒のように消費される第一次大戦以来の近代の戦争の姿がよく見える。 一方でやむを得ないことながら、本当の激戦の様子は記録映像が残っていないためか観ることがかなわない。 しかし何故戦場以外の映像は昔のままなのか…? 1917に対する素晴らしい補助線にはなったが、単体としてはそれ以上のものではないかな。
They Shall Not Grow Old
WWⅠ、1918年11月11日11時に休戦。 大英帝国100万人死亡。生き残った若者達は歓迎されざる者に。死線をさまよったのに。どこに言ってたのと冷たい言葉。戦争って💧
人類のアーカイブ。迷っておられるなら、騙されたと思って是非!
正直、「白黒をカラーにしてそんなに凄い?」と、舐めてました。申し訳ありません。土下座ものです。 最初、イギリス兵が徴兵され、前線に送られるまでがモノクロ映像かつ昔のテレビ画面比(4:3ですかね?)。ここまでは、正直若干だるく、あれ?あの、ポスターの、カラー映像は、いつ出てくるの?と、フツーのドキュメンタリー観てる気分でした。 前線に着いてから、一気にカラー映像かつワイド画面比に(恐らく16:9)!! これは、思っていた以上に、ビックリしました!急に臨場感が増す、と言うか、名もなき兵士さん一人ひとり、表情、歯の手入れ具合まで、イキイキ蘇って、そんな体験は勿論初めてで驚きました。単に色付けただけじゃ無くて、最先端技術でバリバリ加工されているのでしょうね、見易く、没入感が全然違います。 ちゃんと調べて無くてすみませんが、多分音も最新技術で加工されているのでしょうね、いい意味で綺麗に手を加えてある様で、兵士の証言も聞き易く、証言自体も吟味され映像とマッチしテンポ良く次々と進むので、カラーに変わってからは、画面の世界の彼らと一緒に居るかの如く、最後まで退屈することなく観終わりました。 途中からはバンバン死体や戦争で受けた傷痕も映ります。覚悟が要りますが、着色してもそんなにグロテスクさは強調されていない印象を持ちました。(個人的印象です、職業柄グロ耐性大です。だからと言って決して好きではありません。)というか、使う映像や着色の仕方によってはいくらでも残酷さを強調したり、グロテスクにも作れると思うのですが、だいぶマイルドに、抑えめに作成された様に思いました。多分、監督にとって、映像を残酷にしすぎてセンセーショナルに話題にされる事が主眼ではないですしね。そこを省略しすぎると残酷さが伝わらないだろうし、グロテスクにしすぎると一般のいろんな人が見辛いものになってしまって難しいですが、その辺りは、本物の兵士の証言を使っている所で、十分戦争の残酷さが伝わってきた、妙な表現ですが、絶妙なバランスかもしれません。 同情や感情移入では泣かないでおこう、良い大人なんだし、と思っていたのに、イギリス兵が、捕まえたドイツ捕虜と話してみたら、案外心通わせられたりするエピソードとか、兵士さんの笑顔とオーバーラップして、仲間がどんどん倒れて亡くなって、亡くなった仲間の遺体を踏み越えて進軍したエピソードが語られて、ただ戦争って、どっちにとっても只々虚しいだけだとヒシヒシと感じて結局泣いてしまいました。 最後、ジャクソン監督の「祖父に捧げる」クレジットで、また泣きました。
根気だ。
「1917」の予習で観たんですが、「嘘だろ、最近撮影したんじゃないの?」ってくらい素晴らしい映像と音でした。監督はじめスタッフの根気と努力に感服。いつの世も戦争は悲惨ですね。で、予告編から気になってたんですが、あの戦車、戦車女子最終章に出てくるMkⅣでは?
元兵士の語る体験と映像、と血。
16,7歳で従軍した少年たちの壮絶な体験と死。They Shall Not Grow Old、今も映像の中で当時のまま”生きている”。 色が付くと不思議に匂いまでしてきそうだった。特に血の匂い。我々も疑似体験してしまう。”アンノウン・ソルジャー”にも通じる一兵士の体験。 兵隊に志願する辺りの語りは笑いも混じる。次第に語られる第一次大戦の悲惨な塹壕戦。毒ガス、機関銃の登場。死屍累々という言葉に纏めるのも辛い場面や語りが続く。 終戦で国に帰っても誰もそんな地獄のような状況を聞きたがらないし理解もされない。 辛いだろうな。
「リアリティー」とは?
映画が始まると、イギリスの若者が軍隊に入隊し、訓練を受け、戦地に赴く様子がモノクロ映像で映し出されていく。そして、戦闘が始まると映像に鮮やかな色が付き、映っている人びとの声や砲弾の音などが聞こえてくる。おそらく、ここで多くの観客は〝映画のようだ〟と感じたのではないだろうか。最新技術で色や音を復元した映像が〝リアル〟というより〝映画のよう〟に感じてしまうのである。冒頭20分ほどのモノクロ場面が記録映像だとしたら、その後の色と音の着いた戦闘場面は戦争映画のようである。これは、現代の私たちが抱く〝リアルと虚構〟のイメージが、そのような印象を喚起するのだと思われる。 一方で、従軍した人々のインタビューの声が映像にまた別のリアリティーを与えていた。当時の細やかな心境や具体的なディテイルを語る言葉には観ている者を共感させる力があった。リアリティーにとってディテイルと声が重要であることを認識させられた。また、入隊が国家的イベントに参加するような高揚感を与えたこと、戦争に行くことが閉鎖的日常を打ち破って冒険に出るようなロマンがあったこともよく伝わってきた。その後の戦闘場面も、〝映画のような〟映像に従軍した人々の個別具体的な語りが被せられたことで、悲惨な〝現実〟を理解させる力を持ったように感じられた。
息をのむ生々しさ
実際カラー化・スムーズ化処理がされているのは尺全体の1/3くらいですし、やはり「使える映像」がそもそも少ないのか、同じ映像の使い回しも目立ちます。 しかしそれでも、モノクロでぎくしゃくした通常の記録映像とは全く違う、自分がそこにいるかのような生々しさは半端じゃなかったです。 泥にまみれた塹壕と抜けるような青空の対比。死臭まで感じられそうな青黒い死体。カラー化されてるのに全然カラフルじゃない味けなさそうな食料。なによりも「生きていた」ことをはっきりと実感できる、躍動感のある兵士たち。 これに生還兵の記録インタビューが重なることで、戦場のリアルをこれでもかと突きつけられ、ただ単に「悲惨」というだけでは終わらない、吐きそうなほどの重い衝撃を投げつけられました。正直キツすぎて、受け止めることを半分くらいは放棄したかも… なにより救いがないのは、人類がこの戦争から何も学ばなかったという事実ですかね… 帰還兵への扱いなんて、ベトナム戦争の帰還兵を描いた1作目のランボーと全く同じだし… 平和を叫ぶだけなら案外簡単です。 こうした「戦争のリアル」を本当に分かった上で平和を叫ぶか否か。 叫びの説得力はそこに出てくると思います。 エンターテイメントとしては確かにどうかという部分はありますが、映像として非常に価値のある一本だと思います。
価値ある映像なれど過剰な期待は禁物
記録というものをここまで昇華できるのかという驚きと意義深さは感じるけれど、決して楽しむものではない。巧みな演出は感じるけれど、どうしても教育面的要素が強い気がしてならない。 実体験語った声と生々しい映像が淡々と連なるこの絵巻は、想像以上に集中力を要する。そうしないと寝ること必至。 自然な流れやストーリー的展開もあるけれど、映画観賞といった感覚では処理しきれないかもしれない。これを教材とか、あるいはアートとして捉えて鑑賞したほうが賢明だと思いました。
笑顔
とにかくカメラを向けられると笑顔なのね、戦争とは言え、ドイツの捕虜と仲良さそうにするシーンはとても良かった。 死者を埋めたり戦争となると兵士は残虐になるかと思うが彼らはとても人間らしい。 開始何分かはモノクロと語りが淡々となので、すみませんうたた寝してしまいました、、 カラーになり、音声がはいると臨場感がすごくて爆音で心臓がバクバクで。 死体が多くでて、目を覆うようなシーンもあるのでそこは注意。面白いと言うよりなにか心に響く。 平和ボケした日本人の若者にぜひ見てほしい。
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