彼らは生きていたのレビュー・感想・評価
全83件中、61~80件目を表示
「リアリティー」とは?
映画が始まると、イギリスの若者が軍隊に入隊し、訓練を受け、戦地に赴く様子がモノクロ映像で映し出されていく。そして、戦闘が始まると映像に鮮やかな色が付き、映っている人びとの声や砲弾の音などが聞こえてくる。おそらく、ここで多くの観客は〝映画のようだ〟と感じたのではないだろうか。最新技術で色や音を復元した映像が〝リアル〟というより〝映画のよう〟に感じてしまうのである。冒頭20分ほどのモノクロ場面が記録映像だとしたら、その後の色と音の着いた戦闘場面は戦争映画のようである。これは、現代の私たちが抱く〝リアルと虚構〟のイメージが、そのような印象を喚起するのだと思われる。
一方で、従軍した人々のインタビューの声が映像にまた別のリアリティーを与えていた。当時の細やかな心境や具体的なディテイルを語る言葉には観ている者を共感させる力があった。リアリティーにとってディテイルと声が重要であることを認識させられた。また、入隊が国家的イベントに参加するような高揚感を与えたこと、戦争に行くことが閉鎖的日常を打ち破って冒険に出るようなロマンがあったこともよく伝わってきた。その後の戦闘場面も、〝映画のような〟映像に従軍した人々の個別具体的な語りが被せられたことで、悲惨な〝現実〟を理解させる力を持ったように感じられた。
息をのむ生々しさ
実際カラー化・スムーズ化処理がされているのは尺全体の1/3くらいですし、やはり「使える映像」がそもそも少ないのか、同じ映像の使い回しも目立ちます。
しかしそれでも、モノクロでぎくしゃくした通常の記録映像とは全く違う、自分がそこにいるかのような生々しさは半端じゃなかったです。
泥にまみれた塹壕と抜けるような青空の対比。死臭まで感じられそうな青黒い死体。カラー化されてるのに全然カラフルじゃない味けなさそうな食料。なによりも「生きていた」ことをはっきりと実感できる、躍動感のある兵士たち。
これに生還兵の記録インタビューが重なることで、戦場のリアルをこれでもかと突きつけられ、ただ単に「悲惨」というだけでは終わらない、吐きそうなほどの重い衝撃を投げつけられました。正直キツすぎて、受け止めることを半分くらいは放棄したかも…
なにより救いがないのは、人類がこの戦争から何も学ばなかったという事実ですかね…
帰還兵への扱いなんて、ベトナム戦争の帰還兵を描いた1作目のランボーと全く同じだし…
平和を叫ぶだけなら案外簡単です。
こうした「戦争のリアル」を本当に分かった上で平和を叫ぶか否か。
叫びの説得力はそこに出てくると思います。
エンターテイメントとしては確かにどうかという部分はありますが、映像として非常に価値のある一本だと思います。
価値ある映像なれど過剰な期待は禁物
記録というものをここまで昇華できるのかという驚きと意義深さは感じるけれど、決して楽しむものではない。巧みな演出は感じるけれど、どうしても教育面的要素が強い気がしてならない。
実体験語った声と生々しい映像が淡々と連なるこの絵巻は、想像以上に集中力を要する。そうしないと寝ること必至。
自然な流れやストーリー的展開もあるけれど、映画観賞といった感覚では処理しきれないかもしれない。これを教材とか、あるいはアートとして捉えて鑑賞したほうが賢明だと思いました。
笑顔
とにかくカメラを向けられると笑顔なのね、戦争とは言え、ドイツの捕虜と仲良さそうにするシーンはとても良かった。
死者を埋めたり戦争となると兵士は残虐になるかと思うが彼らはとても人間らしい。
開始何分かはモノクロと語りが淡々となので、すみませんうたた寝してしまいました、、
カラーになり、音声がはいると臨場感がすごくて爆音で心臓がバクバクで。
死体が多くでて、目を覆うようなシーンもあるのでそこは注意。面白いと言うよりなにか心に響く。
平和ボケした日本人の若者にぜひ見てほしい。
膨大な手間をかけて再現された地獄絵図の向こうに透けて見える微かな希望が眩しい
あんまり見たことないロゴから始まる本作、英国の芸術プログラム”14-18NOW”と帝国戦争博物館の共同製作とのこと。モノクロな上に無音声で100年分の経年劣化で激しく傷んだ博物館所蔵の膨大な記録映像をデジタル修復の上着色。とても100年前の映像とは思えないほど鮮明で滑らかになった映像に被せられるのは、BBCが保存していたこれまた膨大な量の退役軍人のインタビュー、そして唇の動きから読み取った会話や地雷の炸裂、機銃掃射等の臨場感溢れる効果音。これはとにかく圧巻。
そしてまず驚かされるのは自ら志願して戦地へ赴く若者たちの素っ頓狂な明るさ。プロパガンダで鼓舞された愛国心と世界大戦に従軍する高揚感に背中を押されて、まだ徴兵制のない英国で年齢を詐称してまで従軍する若者達の満面の笑顔が眩しい。100年前なので風景もほぼ別世界。列をなす若者はほぼ全員洒落た帽子を被ってタバコをふかしている。6週間の訓練を経て送り込まれる最前線は地獄絵図。両軍の間に横たわるノーマンズランドに転がる無数の亡骸も容赦なく映し出す。束の間の休息で談笑した後もまだ殺し合いは続く。そしてさりげなく訪れる終戦。地獄から解放された若者達が苛まれるのは故郷に残った人々から浴びせられる罵声。そんなこともシレッと回顧する退役軍人達の声のトーンが明るいのが唯一の救い。人はこんな仕打ちも乗り越えて笑顔になれる、そんな希望が背後にあるから最後まで鑑賞出来ました。でなければ途中で吐くレベルです。
イギリス側の兵士から見た「西部戦線異状なし」
予告編を観て気になっていた、第一次大戦のドイツ対イギリスのフランスでの塹壕戦を描いたドキュメンタリー。
1915年から18年当時のモノクロサイレントの映像を修正着色して最新の映像に変換して当時の戦争帰還者のインタビューや談話を当てて構成されて映画。
戦争の発端には殆ど触れずに、当時のイギリスの若者達が、無邪気に志願して出兵して凄まじい戦場を経験して行く様が割と淡々と描かれる。
冒頭からは、スタンダードサイズ(昔のテレビと同じ正方形に近いもの)のモノクロだが、兵訓練が終わりフランスに出兵して最前線に到着すると、ゆっくり画面がカラーと横長になり、生々しさが加速してゆく。
そこからは、凄惨な戦場の様子の連発で、絶え間無い爆撃と塹壕での待機。
そして泥、汚水、ネズミやシラミの被害と不衛生な生活、突撃と後退の繰り返しにより仲間たちは減り、そして次々と無残な死体と凍傷や壊疽など負傷を見せつけられる。
悪夢と地獄が本当にある。
一進一退の戦いで、末端の兵士達には、次第に戦争の勝敗など、どうでも良くなり、名もない戦友や同じ境遇の捕虜のドイツ人達のつかの間の交流が唯一の慰みになる
そして停戦により国に帰ると次第にモノクロスタンダードに戻り、帰還兵達は、まるで地獄の戦場など存在しない様に振る舞う世間に戸惑う。
そこで映画は終わる。
復元着色されて映像は凄いが、本当の戦闘場面は、当時の時点で撮影出来なかった様子で、イラストや絵を使って処理されており、その部分だけは、推測による物語性が強い。
第一時大戦を描いた昔の名作映画で、「西部戦線異状なし」に描かれる内容に、とても酷似している内容だと思うが、あちらはドイツ人側が体験したフランス戦線の話だか、どちらも無邪気に志願した末端の兵士達に降りかかった戦場の地獄と祖国に、帰還してからの世間との剥離感が同じで、ここまで似てるとは。
さすがピージャク。
ドキュメンタリーの域を超えています。色をつけたのも色々な意味ですごいと思うしただ映像を見せるだけではない。疑問を持たずに戦争に出征して壮絶な実体験をして、さらに終戦後の世界まで一人称でしっかりしたストーリーで語られます。わかりやすい。
邦題も絶妙。モノクロから色付けられることでほんとに、生きている、って感じます。
え、凄くない?
海外のレビューサイトでも異常にスコアが高い本映画。
LORのピーター・ジャクソンが監督らしい。
全くの予備知識なしに見るとリアルな戦争体験者の証言でどんどん映画が進んでいく。冒頭だけかと思いきや、途中から「あれ?証言だけで進んでいくぞこれは!」という内容に驚く。
証言を巧みに組み合わせて、そこにイメージがいい感じに伝わる映像・写真などを組み合わせる。
戦争の話もめちゃくちゃリアル。というか細部にわたって描かれる。
戦時中の兵士がどうやって用を足すのかなんて知らなかったし。
とにかく膨大な資料から音声・映像・画像を紡いで作ったことを考えると想像を絶する編集だと思うが、とにかく見事にまとめられていました。
蘇った映像には感銘
100年前の映像をきれいに着色し、現代に蘇らせた点は評価できるし素晴らしいと思う。
ただ、それ以外は評価ほどではなかった。期待しすぎたかもしれない。
戦闘シーンが、ほぼスチール的な画像のみで映像がない。そこが一番見たかった。おそらくあとから音をつけたであろう臨場感で、そこまで届くものはなかった。
より存在を近く感じる
発想が素晴らしく、新しい映像体験だった。
カラーにしてデジタルでコマを作る。デジタル技術の使い方に感心した。
今まで100年前の人々は別世界の人間のように思っていたが、たしかに自分たちと同じ生きる人間だったと深く感じた。戦争の見方も興味深い。悲惨や無益であるだけではなく、たしかにそこに喜びや充実がある。狂気の中に生活があったのだ。
二重の意味で興味深い作品だった。
「泥にまみれた我々に、感謝の言葉はなかった」
日曜の映画館は満席で、補助席まで出ていた。
「白黒フィルムをカラー映像でよみがえらせた」がセールスポイントだが、実のところ、映像には期待しすぎない方がいいという印象だ。
カラー映像は、100年前の世界を鮮やかに我々の前に展開して見せ、「They Shall Not Grow Old」(英題)と思わせてくれる。
しかし、くすんだ色彩の軍服や地面や塹壕がメインで、“リアル”かというと少し違う気がするのだ。
3つのフェーズがあって、(a)英国内の映像は、そのまま白黒。
(b)前線での非戦闘時の兵士や戦死者の姿は、主に再現カラー映像。
そして、(c)撮影不可能な戦闘シーンは、絵やイラストである。
自分は、映像よりは、音声にひたすら神経を集中させていた。(声優を使っているのかと思ったら、本物の退役軍人のインタビューらしい。)
多数の兵士の証言が、“機関銃”のように矢継ぎ早に、すさまじい密度で語られるので、映像どころではないのである。
内容も充実しており、開戦時から、戦中、戦後へと推移するにつれて、兵士たちの心情も大きく変化するようすが克明に示される。
開戦時の高揚感や義務感、現実を知らないゆえの楽観。
そして、訓練のようす。「ドイツ人を殺せ」と、少年は年齢を偽って志願する。
ドーヴァー海峡を渡って戦地に赴く頃には、すでに高揚感は去り、厳しい現実がある。
迷路のような塹壕。泥に沈んで命を落とす兵士もいる。砲弾は頭上1メートルを通過し、死体は日常となり、明日は自分と思う。
退屈なので何にでも参加し、後方にいる時は売春宿に通う。
そして突撃命令。バタバタと左右の兵士が倒れる。“前進”すること以外は何も考えられず、鉄条網を突破してドイツの陣地に襲いかかる・・・。
そして終戦。
戦争とは「全くもって無駄」だと悟る。勝敗はどうでもよく、復讐心など持てずにドイツ兵に同情する。
待ちかまえる“失業”という現実。「見捨てられた」感覚。
兵器の進化で、きわめて残虐になり果てた戦争の現実が、一般市民に分かってもらえないギャップ。
帰還兵への風当たりは強く、「泥にまみれた我々に、感謝の言葉はなかった」。
本作品では、マップを使用したり、どこの戦線の話かなどといった、具体的、客観的な話は、一切述べられない。
その代わり、ひたすら兵士にフォーカスする。映像によってその“姿”に。証言によってその“心情”に。
多数の人間の姿と心情を合成して、超個人的な主観に到達しようとするかのようだ。
作り手の“執念”のようなものを感じる、圧倒的な作品であった。
ピーター・ジャクソンは、「LOTR」や「ホビット」のようなク○映画を作る監督だと、自分は思っているのだが、本作には脱帽である。
語り継がれる話、「1917」にもつながる話
映画の紹介に追加すると、一部兵士の会話は、読唇術の専門家が読み取って、アフレコにしたらしい。
そう言う意味でも生々しい。
第一次世界大戦は、大量の弾薬や、映画の中にも出てくるが、世界で初めて戦車が投入され、毒ガスによる虐殺も行われた戦争だ。航空機も潜水艦も登場したが、まだ実験段階程度だったと言われている。
しかし、もっとも強調すべきは、国家が国民を総動員するような形で、兵士を募り、多くを戦場に送ったことだ。
これまでの戦争とは全く異なる様相になった。
少年もいた。
戦場に向かう時は、敵を鬼畜のように思いこまされる。
訓練時は、まだ、やる気満々だが、いざ戦場に送られると、そこは荒廃し切った西部戦線の塹壕で、人間のまともに生きていくような場所ではない。
そして、悪臭、死臭。
記録フィルムに色付けされたのを見て衝撃なのは、やはり兵士の血塗れの、身体の一部がちぎれたような遺体だ。
累々と積み重なっている。
ドイツ兵の傷を負った少年兵に水を飲ませてあげてお礼を言われたと語るところや、自分の父親によく似たドイツ兵士の身体が半分無かったと語る場面は、胸が締め付けられるようだ。
とても言葉では言い表すのが難しい。
そして、停戦。
捕虜にしたドイツ兵も何ら自分達と変わらない普通の人間。
結局、戦争とはこういうものだ。
砲撃を潜り抜けるように走る兵士を捉えてるシーンがある。
伝令かもしれない。
無線などない当時は、物事を伝えるのが命がけだったのだろう。
きっと、これから公開される「1917」に通じる場面ではないのかと思った、
第一次世界大戦の、この西部戦線の話としては、ドイツ人が実体験として書いた、「西部戦線、異常なし」がよく知られているが、映画にもなった反戦の作品だ。
この作品と通じるところがあるし、戦場の人の命のちっぽけさと、虚しさが綴られる。
結局、祖国に還っても、それ程歓迎もされず、仕事を見つけるのもままならない。
大規模な戦争の戦費は天文学的で、経済も疲弊するだけなのだ。
湯水のように使われる弾薬にも相当なコストが費やされている。
税金と国の借金で戦争を行い、それだけにとどまらず、志願して人の命も差し出せと。
第一次大戦は、冒頭で語られるようにサラエボ事件がきっかけだが、背景は複雑怪奇だ。
普仏戦争でアルザスロレーヌを取られたドイツのフランスに対する昔年の恨み。
オーストリア=ハンガリー帝国の弱体化と、東欧で起こった民族主義。
それに乗じて南進を企むロシア帝国。
南進を喰い止めようとするオスマン帝国。
イギリスとドイツの植民地政策の対立、つまり3C政策と3B政策の対立。
直接的には関係ないのに、インド、日本、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど離れた国の参戦。
この中で、二つの勢力に分かれて戦ったのだが、兵士のアイデンティティは一体どこにあったのだろう。
どこも異なるところないもの同士が、誰かに言われて憎しみあって殺し合っただけなのだ。
いつも、こうした戦争は、悲劇でしかない。
実は、この対戦の後、反省のもとに、さまざまな講和や国際連盟の設立などが行われるが、ドイツを必要以上に締め付けすぎたことや、なんら植民地主義に変わりは無かったこと、国家間の富の格差などがこの残り、結局は第二次世界大戦につながってしまう。
人間はつくづく馬鹿だと思わざるを得ない。
人は、人を殺したことを、この映画にもあるようにおぞましいと感じることが出来るが、AI搭載の武器だったらどうだろうか。
限界まで殺し続けるのだろうか。
この映像の中で、彼らは老いずに生き続け、僕達に語り続けるのだ。
むごい
イギリスに残る第一次世界大戦の記録映像を修復し、BBCの退役軍人たちの証言インタビューと合わせて、ピーター・ジャクソン監督が編集したドキュメンタリー。
冒頭はモノクロのスチール写真を使っていたが、西部戦線でのドイツvsイギリスあたりからカラー着彩の動画に変わり。
塹壕に浸かって壊死した足のドアップや、撃たれて死んだ英独兵士の顔やハラワタまでカラーなのは、なかなかのインパクト。
証言の繋げ方によるものではあるが、「仲間と気軽に祖国のために」と志願したところから、地獄を見て、やっと国に戻ったら市民から差別され汚いもののように扱われ、失業して生きていけないという現実まで、克明に描かれていた。
根底にはピーター・ジャクソン監督の、祖父やその代の先祖たちへの敬意と、戦争を繰り返してはならないという思いを感じました。
私は戦争に参加した彼らと似たような感覚で映画を見てしまった。
映画を見る前は戦争の悲惨さよりも100年前のカラー映像と臨場感あふれる音声を目当てに映画を見た。しかし、いざ映画を見てみると、映像があまりに鮮明すぎてまるで戦場に参加している兵士のような感覚に陥った。語り部の言葉一言一言に戦争の悲惨さや人間同士が争う残酷さが詰め込まれ、心に突き刺さった。映画を見終わったあと、戦争に参加した兵士たちの貴重な体験を教訓に世界が再び戦争に突き進まないように心から願った。
モノクロからカラーへ、戦争の悲惨さがリアルに蘇る!
「戦争に参加しないものは臆病者だった。」
臆病者と思われたくない、友達も参加するから一緒に参加しよう。
そんな軽い気持ちから参加することにした当時のイギリス人の姿が、何故か現代の若者の姿にダブって見えてしまいました…。
やりたいことも特にない、友達がいるから参加したい。
よくあるなし崩しな感じの参加だったはずなのに、いざ始まってみるとそれは想像以上に過酷な世界でした。
戦争前のモノクロだった世界に、戦争スタート直後から、鮮やかな色彩が加わった瞬間。
まるで寓話のようにしか思えなかった世界が、突如として鮮やかに目の前に現れる感覚。
これは、なかなかの衝撃的な印象でした。
銃を片手に溝に潜り込み、敵がいつくるのか待ち続ける、ジリジリする緊迫した世界。
いつ、自分が殺されるかわからない状況の中、仲間の存在は常に自分の心のそばにあったとのこと。
でも、いざ隣にいた親友が銃弾で撃たれて死んでしまえば、突如として仲間の存在は自分から離れていく…。
自分たちが潜んでいる場所の数メートル先で、死んでいった仲間が腐ってネズミに喰われていくという…。
そんな悲惨な現状が、カラー画像によって鮮やかに蘇ります。
モノクロの漠然とした映像ばかりだった戦争が、緻密に悲惨に残酷に冷静に、映像から全てを伝えてきます。
上官の命令から始まり、鐘の音と共に静かに終わりを告げた戦争。
この戦争で彼らが得たものって、なんだったのでしょうか?
戦争が終わっても、街中の人々は戦争のことを一切語らず、帰郷してきた兵士にも冷たい態度。
更には、就職先まで見つからないという過酷さ。
命がけで戦い抜いて生き残った自分の存在価値って一体なんだろう…。
虚無感の残る、悲しく寂しいラスト。
その後、こんな悲しい出来事があったにもかかわらず、第二次世界大戦がまたまた勃発してしまうのですから切ない…。
あれだけ悲しくて辛い思いをして来たのに、また戦争が起こってしまうのですから、人間って実に愚かな生き物。
鮮やかすぎる映像故に、そのリアルな生活感と虚無感が全身を包み込むラストでした…。
貴重な映像をありがとうございました(^^)
全83件中、61~80件目を表示