劇場公開日 2020年1月25日

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「息をのむ生々しさ」彼らは生きていた 克晴さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0息をのむ生々しさ

2020年2月6日
iPhoneアプリから投稿

実際カラー化・スムーズ化処理がされているのは尺全体の1/3くらいですし、やはり「使える映像」がそもそも少ないのか、同じ映像の使い回しも目立ちます。
しかしそれでも、モノクロでぎくしゃくした通常の記録映像とは全く違う、自分がそこにいるかのような生々しさは半端じゃなかったです。
泥にまみれた塹壕と抜けるような青空の対比。死臭まで感じられそうな青黒い死体。カラー化されてるのに全然カラフルじゃない味けなさそうな食料。なによりも「生きていた」ことをはっきりと実感できる、躍動感のある兵士たち。
これに生還兵の記録インタビューが重なることで、戦場のリアルをこれでもかと突きつけられ、ただ単に「悲惨」というだけでは終わらない、吐きそうなほどの重い衝撃を投げつけられました。正直キツすぎて、受け止めることを半分くらいは放棄したかも…

なにより救いがないのは、人類がこの戦争から何も学ばなかったという事実ですかね…
帰還兵への扱いなんて、ベトナム戦争の帰還兵を描いた1作目のランボーと全く同じだし…

平和を叫ぶだけなら案外簡単です。
こうした「戦争のリアル」を本当に分かった上で平和を叫ぶか否か。
叫びの説得力はそこに出てくると思います。
エンターテイメントとしては確かにどうかという部分はありますが、映像として非常に価値のある一本だと思います。

克晴