「精神科医による原作の映画化。描けた理想と描けない現実」閉鎖病棟 それぞれの朝 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
精神科医による原作の映画化。描けた理想と描けない現実
精神科の開業医と作家の二足の草鞋を履く帚木蓬生が書いた原作は、専門家ならではの知見を活かした描写に加え、さまざまな症状の患者たちが助け合い、医療従事者がそれを支える理想を描く。一方でドラマの推進力となるのは入院患者同士のトラブルだが、現実の精神科病棟で表面化する問題はむしろ医療従事者による患者の虐待だろう。終盤に訪れるある種の“救い”を含め、理念先行のストーリーであり現実の問題提起の要素は弱いように感じた。
とはいえフィクションと割り切ればいくつかのエピソードは衝撃的で胸に重く響く。笑福亭鶴瓶の修羅場を経験した男の重み、綾野剛のナイーヴだがチョイ悪な人物設定、小松菜奈の繊細で脆い雰囲気、いずれもはまっている。渋川清彦の憎々しさ、いやらしさも最高だ。
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のんびりゆっくりさんのコメント
2019年12月1日
初めまして。怖い世界が実際にはあるんですよね。でも、怖いだけではなくて、優しさにも溢れている。実際、取り座されるのは治療もせず、できない、気付いてもらえない、そんな人だけ。ほんの一握りですよね。チュウさんの病気は100人にひとり。この世に一体何人いるのでしょうね。。。すみません、なんとなく話したくてコメント失礼致しました。