劇場公開日 2019年11月1日

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「ゴーッ」閉鎖病棟 それぞれの朝 aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ゴーッ

2019年11月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

閉鎖病棟というなんとなく重苦しいイメージの世界。実際に見たことは無いのだけど、あんな感じなのだろうか。意外に皆さん自由に歩き回っていて、門もなく出入りも自由。でも、その辺りが余計に「閉鎖」の意味を重くするのだろうか。閉鎖しているのは中にいる人間で、決して刑務所のように無理に閉ざしたものでは無い。そこでは、様々な事情を抱えた人々が、それぞれの人生を生きている。

鶴瓶、綾野剛、小松菜奈、他の演者も、それぞれが障害や心の傷を持った人々を演じ、良い味を出していて魅せる。一番はやはり存在感が違う鶴瓶さんですね。いつものイメージの茫洋とした感じに、どこか影がさしながらも、優しい眼差しの存在感が違う。綾野剛も、精神過敏で幻聴に悩まされ、パニックになるところやそれが落ち着いても、弱々しく不安感を抱いている青年も、地味なキャラを良く立てていた。そして、なんと言っても小松菜奈。不幸のどん底の家庭から逃げてきた高校生。死に損なって大泣きのシーン、結構印象的だ。声を上げて泣くシーンは初めて見たかも知れない。ま、美人はゴミ捨て場で寝てても美人で、ファンタジー館がでてしまったけれど。

劇中で役者たちが心乱れるシーンに低く「ゴー」っという音が流れる。これが結構効いていて、不安感を醸し出し、不安な気持ちが伝わってくる。ホラー映画では無いが、なかなかの演出だ。実は平山監督作品は、久しぶり。「しゃべれども、しゃべれども」は好きな作品だったがそれ以来。地味目のドラマを、妙に力を入れずに見れる作品に仕上げながら、きちんと物語として落とす。派手では無いけれども良い作品だと思った。

AMaclean