「枠に収まらない、収まれない人との関わり」システム・クラッシャー mvlvさんの映画レビュー(感想・評価)
枠に収まらない、収まれない人との関わり
なかなか無い題材の映画に期待と不安半々の気持ちでチケットを買ったが、観劇後の感想は見てよかったなでした。
ただ、他人にも勧めるかとなるとわざわざ推す作品でも無いのかも知れない。
作品に気が付いて興味を持った人が自分の選択でみるかを選び、そしてどう思うかという映画であった気がする。
以下内容に触れつつ感想。
ベニーがパニックになる瞬間は毎回心が痛かったし、スクリーン越しに見てるだけで恐怖を感じ、緊張感があった。暴れてしまうことがベニー本人ではコントロールでき無いというのも辛い。
ミヒャの赤ちゃんを愛おしそうに世話する姿は優しい女の子そのもので、そんな一面も知っているからであろうか母親の一緒に暮らしたいという気持ちはあの時は本当だったのだと思う。だが実際には母親自身もベニーが怖かったし、弟への影響もただの言い訳だけでは無い大きな問題に思える。後にスケート場で起こった事件のことを考えると、逃げた母親を一概に非難はできない。だがしかし、一度喜ばせておいて突如突き放す一連の流れは最悪なやり方のお手本のようだった。
母親逃走後、福祉課のおばちゃんがあまりの口惜しさとやるせなさに打ちひしがれ涙するシーンに思わずもらい泣きしてしまった。
最後、晴れ晴れしい顔で飛び出すベニーには、どうリアクションすればよいものか分からなかったが、スクリーンにヒビが入った演出はなかなかに秀逸だった。
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