劇場公開日 2024年4月27日

「児童教育の難しさを考えさせられる良質な社会派映画」システム・クラッシャー ヒロピロさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0児童教育の難しさを考えさせられる良質な社会派映画

2024年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

大人の手に負えないほどの暴力のコントロールができない少女の生活を描いた映画。愛情に飢えた女の子とそれを受け止められない母親と父親の暴力といった家庭環境の問題や児童教育の難しさを浮き彫りにする。おそらく児童心理や児童教育の綿密な現場調査に裏打ちされていると思われるので、筋書きに説得力があり、違和感なくストーリーに引き込まれる。この問題児である少女を演じる子役の演技力も凄いが、彼女に付き添って、生活指導、矯正する役割の(ミルコ・クロコップに似ている)お兄さんの演技が存在感もあっていい味を出している。彼の奥さんはインド系(中東系?)と思われる容姿だが、移民大国であるドイツの社会背景も垣間見れる。少女はこの先、どのように成長していったかは観客の想像に任すが、タイトルにある「システムクラッシャー」には、いい意味でも悪い意味でも監督の強いメッセージが込められていると受け取った。

ヒロピロ