在りし日の歌のレビュー・感想・評価
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一人っ子政策の愚かしさを、ある家族の年代記で体感させる
中国の“改革開放”と“一人っ子政策”を、言葉として知ってはいても、「在りし日の歌」のヤオジュンとリーユンの夫婦が生きてきた1980年代、90年代、2000年代、2010年代を追うことで、そうした政策が人民にどのような影響を及ぼしたのかを疑似体験して学んだ気がした。抽象的な情報が、具体的な体感に変わったと言ってもいい。
90年代→00年代→80年代といった具合に、4つの年代を行ったり来たりする構成が巧みだが、分かりづらくはない。ミステリーというほどの謎ではないものの、人物たちが抱える秘密や決定的な出来事を、効果的なタイミングで観客に明かすための仕掛けなのだ。脚本と監督のワン・シャオシュアイの筆致には、極端な政策を押しつける共産党幹部とそれを盲信して従った人々への静かな抗議を感じさせるが、翻弄されたヤオジュンとリーユンへの優しいまなざしが、作品にヒューマンな温かみをもたらしてもいる。
これぞ映画
順風満帆とは行かなかったある夫婦の話
中国の変革時期にて連れ添った2人の夫婦30年物語。
たった1人の息子が川で溺死。しかし、数年後その世界にはキチンと息子がいたり、、変だなとおもいながら1980年代、90年代、2000年代、2010年代の夫婦を入れ替わり立ち替わり観る事になる。
「一人っ子政策」「国有企業による国民の生活維持変化」など歴史的急激に変化した中国にて、支え合う親戚や周りに関わる人々を国的に盛らず飾らず映画にした事には好感が持てた。
主役ヤオジュンとリーユン夫婦。
決して見本となる夫婦でも無く、また逆に荒れている夫婦でも無いのがまた良い。欠陥はありながらも耐え忍んで繋がりあった夫婦の先に待ち受けていたラストにはウルウル泣いてしまった。
私的にも兄弟は遠くバラバラでもある。
このコロナ禍にて不幸があっても、一同に会う事が出来なかった。子供、孫、義兄弟含め一斉に集まれる日はいつになるのであろうか?
順風満帆では無いが皆で語り合う日がまた来て貰いたい。
そう願わせてくれる映画でした。
この夫婦と過ごした時間が愛おしくて仕方ない
遠くからのカメラ、出来事での切り取り、シーンの繋ぎ。中国らしい人間...
遠くからのカメラ、出来事での切り取り、シーンの繋ぎ。中国らしい人間関係と、ヒトの関係や感情の複雑さ。人生と中国の歴史に飲み込まれつつも、その中で生きていく人の人生の美しさ。
北京の昔のうちに戻るシーンは圧巻でした。
長い
長い
子供は希望、愛は消えない。
ひとりっ子政策に翻弄された夫婦の物語。185分の長い映画なのに、もっと続きを観ていたかった。1980年代から2010年代までの場面は非連続で出てくる。主人公の老け具合、車や携帯電話や洋服なども含めて、ああこの頃かと想像しながら頭の中で物語を埋めるようにつなぎ合わせていくのは楽しかった。
同じ日に生まれた一人息子を大事にする二つの家庭は国有企業の社宅で親戚同士のように暮らしている。
楽しい庶民的な暮らしの中に、ロックンロールのダンスパーティでの逮捕など、欧米文化の取り締まりの厳しさもある。
ひとりっ子政策で、二人めを強制的に堕胎させられるシーンは胸が苦しくて見ていられない。その前の場面でこの後に一人息子が事故死することを知っているから、なおさら「やめて、産んで。産ませてあげて」と思う。運命の皮肉なんてありがちな言葉で語れない。涙が溢れた。
ひとりっ子政策の愚かさ、悲しさ悔しさ優しさ愛おしさをたくさん感じた。
家電や家具や小物のデザイン、車や建物は日本と近いだけに、政策に翻弄される様はショックで、とってもリアルだった。
子供は希望、愛は消えない。
そして彼らの主食マントウが美味しそうで食べたくなった。落花生も。
#32 ちょっと昔の中国とは
当初過去と現代が行ったり来たりして訳がわからなかったが、途中からこの手法に引き込まれた。
過去の話は30年ちょっと前の話なのにまるで日本の戦前みたいで、この頃大人だった人は今の中国について行けないのも頷ける。
他人の子も自分の子と同じように大事にする文化は、これからもなくならないで欲しい。
蛍の光でも別れのワルツでもありません
1980年代湖南省の国有企業で働いていた息子を亡くした夫婦の話。
上映開始早々に小学生の息子シンシン(リウシン)が溺死…しかしもう少し成長したシンシンの姿が…?
開始から約2時間は、1980から1990年代の主に3つぐらいの時代の話を更に分割して時系列を弄りまくってみせていく展開で、最初はちょっと頭に入り難い。
一人っ子政策が特に厳格に実施された計画生育政策下の中国を舞台に、一人息子を失った悲しみと「一人っ子」に纏わるエピソード、家族同然の友人達との交流と関係性をみせていくストーリーで、確かにそうかも知れないけれど、そうじゃなくたって…という思いや、オヤジ結構…というのが頭に過ったりと、わかるけれど淡々としていたり、ノイズが混じったりと沁みる感じはせず。
ちょっと長いしシーンの移りかわりは行ったり来たりと慌ただしいけれど、丁寧にみせてくれたおかげで、現代パートの優しさラッシュが胸に響いて胸アツだった。
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