「許し/マントウおいしそう」在りし日の歌 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
許し/マントウおいしそう
1980年代から2010年代までの中国社会を背景に、ある夫婦の悲喜こもごも(といっても悲の割合高め)が、時系列を交錯させて描かれる映画です。
北の方と南の方の風景が、はじめは見分けられなかったですが、そのうち分かるようになっていきます。
また、人名と人物の老若もなんとなく見分けられるようになっていきます。
夫婦は、一子を持ち、再び懐妊するもひとりっこ政策の下、堕胎手術を強制され、その数年後ひとりっこの息子トントンを事故で失います。その失意の中、北の故郷を離れ、知り合いのいない南へ移住し、トントンににた養子を育てるも高校生くらいで家出され、夫は故郷のよしみだった妹分と浮気し、その1度で妹分が妊娠、産むんだか産まないんだかよくわからないまま妹分は海外へ移住すると言って別れ、夫が帰宅すると夫の浮気に気づいたのか妻の様子がおかしく、服薬自殺未遂、そして一気に時代が飛んで、息子トントンの幼馴染で、トントンが亡くなった一因になったハンハンとその両親(お互いの子の義理親の誓いがあるらしい)が故郷に夫婦を招き、死期が近いハンハンの母より、堕胎手術の強制と多分トントンの死への謝罪がある。また、ハンハンからも事故の時の様子を告白され、夫婦は受け入れる。ハンハンの子が生まれ、海外にいる浮気した妹分の子(夫の子は中絶した?)とSkype的なもので会話。また、家出した養子くんが成功して恋人を連れて帰省しているとの連絡があり夫婦は喜ぶ。そして夫婦でトントンの墓へ行く。
以上が、時系列にしたあらすじです。多分大体繋がってるとおもうんだけど。
これらが細切れになってランダムに出てくるので、なかなか頭を使います。
このおうちの主食はしろくてまあるいなかみのない蒸しパンのようなもので、ほかほか湯気を立てているところが和みます。調べてみたところ、中国の北の方はあのしろいほわほわ(マントウ)が主食なんだそうです。反して南の方は米が主食。なので、南の方でもマントウを食べるあの家族は、地元民じゃないってことがわかる、ということのようです。また、聞き分けできませんが、言葉も違うとか。知らないことばっかりだなとおもいました。
携帯電話がぱかぱかタイプからスマホに代わり、故郷の町もなんだか垢抜け、北にとどまったハンハン一家は大いに栄えている。時代の移り変わり、人の盛衰(衰はだれもいないか)。それらに取り残された風の主人公夫婦なのに、彼らは人を責めない。悲しい寂しいをただ噛みしめて、人の幸せを喜ぶ。美しいなあと思いました。