「ジャーナリズムの根源をみた思い」赤い闇 スターリンの冷たい大地で zem_movie_reviewさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャーナリズムの根源をみた思い
ウクライナ大飢饉のことは1980年代半ばに知ってました。毛沢東の大躍進との比較や類似性からですね。しかしながら、ガレス・ジョーンズ氏は全く知りませんでした。
この映画を観た後で主人公であるガレス・ジョーンズ氏とその周辺を少し調べてみましたが、概ね、映画に反映されているようで、事実をもとに組み立てていると思います。結構、盛り込んだ話でもあるのでストーリーは多少とっ散らかって流れていき、人間関係や社会的背景の把握にまごつくところもありましたのでそこを注意して観るといいと思います。(阿片窟はいらないんじゃないかな。デュランティとの対比でも必要性を感じない。)
そして、電車(貨車)での食料の奪い合い、コートよりパン、駅に死体が転がっていても誰も見向きもしない、当然、村には行き倒れが多数、などなど、現実なら絶対に出会いたくない、観たくもないシーンが次々とやってきます。
兄弟の死体をスープにして食べる、なんて、天保天明の大飢饉、攻城戦での飢え殺しなど日本にもありましたが、まさに地獄そのものです。
そして、ラストのガレス・ジョーンズ氏のその後の説明にも衝撃を受けました。真にジャーナリストとして行動していた氏に対しては敬意しかありません。
どこかの日本アカデミー賞受賞作品なんてクソにもならない凄さが、ここにはありました。
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