「もっと深掘りしてほしかった。」赤い闇 スターリンの冷たい大地で Bon voyageさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと深掘りしてほしかった。
スターリン時代のウクライナ穀倉地帯での大飢餓をフリーランス記者が潜入し真相を突き止めるが表面化するまで当局からの脅迫に屈せず生き延びたのは奇跡としか言いようがない。当局は彼を泳がしたのか?独裁下ではなくても今も世論操作は存在する。真実は永遠に闇の中だろう。ナチス、スターリン、現人神を頂いた帝国の闇は時代や国を越境して現実に存在している。映画そのものはやや単調で、もっと深掘りしてほしかった。ウクライナでは作物をモスクワに搾取され農民は樹皮や人肉を食べる。子供たちの絶望歌が挿入されていたのは映画を締めた。希望は一つもない。ジョージ・オーウェルの《動物農場》との接点を初めて知りルポが無駄ではなく役に立ったことは救われる。満州潜入が失敗に終わったのは残念無念。旧大日本帝国の新たな事実が掘り起こされたかも知れないのに。
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