「「本当のことを伝えているのは誰か」を見極める」赤い闇 スターリンの冷たい大地で h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
「本当のことを伝えているのは誰か」を見極める
たとえば、身近に大事件があったとする。現場を見たのはA、B、Cの3人しかいない(なかには本当は見ていない人もいるかもしれない)。3人の主張は食い違っており、誰が真実を語っているか不明だ。
そんな時どうしたらよいか。
ともすれば、私たちは自分にとって都合の良い話を受け入れやすい。わかりやすい話にも飛びつきやすい。
「なぜこの人はこういう主張をしているのか」、「彼にとって都合の良い主張ではないか」、「前に言っていた彼の話は真実だったか(そもそも信用できる人か)」、「相手にとって都合の悪い話でも誠実に話してくれているか」、など自分自身で整理して(誰が正しいかを)判断すべきだ。
真実を見極めるのは本当に難しい。主張している人が自分の利益のためにウソを吐きすぎて何が真実か分からなくなり、本人も分からなくなってしまうこともある。
王様のたくさんの家来の前で、「王様はハダカだ!」と主張することは並大抵の出来ることではない。ウソつき呼ばわりされても動じずに真実を伝え続けることができるか。
見つかれば殺されるなかで、「封印」された土地に潜入し、帰国してただ1人真実を告発するGareth Jonesの真のジャーナリストとしての勇気を讃えたい。
くしくもHolodomorから約25年後に同じ共産国の中国において再び人為的な大飢饉で数千万とも言われる犠牲者を出してしてしまったことは、天国のGareth Jonesもやり切れないことだろう。
作品に関しては、とても秀悦なテーマ設定だったにもかかわらず、ストーリー展開が単調かつ冗長だったことが残念。
おはようございます。
仰る通りですね。ポリティカルドキュメンタリーは製作者側の意図にヤラレる場合がありますが、今作品のように淡々と出来事が映し出される映画は悲しく響きます。無表情の少女が"肉片"を口にするシーンは忘れられません、
暑い日が続きますが、お身体ご自愛ください。私は現場に出る事が多く、ややバテ気味です・・。
では、又。
今晩は
私は今作は、フェイクニュースが氾濫する現代において、ジャーナリズムの有り方を問うている作品であると、思いました。
”本当の事を伝えているのは誰かを見極める”というレビュータイトルは秀逸だなあ・・、と思いましたし、ニューヨーク・タイムズ支局長デュランティとガレス・ジョーンズの対比が印象的でもありました。
又、彼が命懸けで報道した同様の事が、その後中国の”大躍進政策”により、再び起きてしまった事も苦々しいですね。
歴史的に、独裁者が治める(諫める人がいない)国には、まだまだ隠された悲劇があるのではないか、と思ってしまいますし、現代世界の大国の幾つかが独裁者が治めている事実にも、背筋が寒くなります。
では、又。