「面白かった。」ペトルーニャに祝福を きじばとさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かった。
クリックして本文を読む
最初は現地の女性軽視の抑圧を打ち破る女性の話かと思っていたらぜんぜん違った。
お父さんも、若い警察官も、地元の司祭も、近所のおっちゃんも別に女性を軽くは見ていない。
確かに女性を軽視する暴力的な輩たちや、女性軽視という概念に凝り固まった記者は出てくるが、この人たちは同じ穴のムジナで、規定に凝り固まって進歩がない偏った人種として描かれている(記者は自分の欲望のために家族を壊し仕事仲間も失っていく)。
デブで引きこもりの冴えないペトルーニャは十字架を取ったが、依存的な母親や頭の固い警官や脅してくる署長に尋問に反発する中でどんどん本来の自分を取り戻す。目には確かな知性の光が宿り、言葉はいっそう理知的になっていく。それを見て若い警察官や司祭や検察官は彼女は正しいとの答えに達する。
これはペトルーニャが自分自身のアイデンティティを取り戻し自立する物語だ。
自分には力がある、自分は素晴らしい人間なんだと再確認できた彼女は(大学はオールAの成績だから元は賢い女性なのだ)そうなるともう十字架などというお守りはいらない。
このお守りは、現実を切り開き幸せを掴む力のない哀れな者たちのためにあるのだ、と最後は十字架を司祭に返す。
なんだか全てに納得のいく物語で自分にはとても面白かった。
(若い警官とのラブはちょっと唐突だったけど。)
コメントする