「信教と棄教」グレース・オブ・ゴッド 告発の時 h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
信教と棄教
中学と大学の7年間をミッションスクールで過ごした自分でも理解しがたい「世界」だ。
「無宗教」である日本人には、ほとんど共感できない内容かもしれない。
児童への性的虐待を重ねてきた神父への謝罪を求める主人公のアレクサンドルは、神父と監督者である枢軸卿を糾弾するも、事件を隠蔽してきた教会や信教そのものを否定することに躊躇する彼の姿を丁寧に描いている。
フランスの敬虔な信者にとって、カソリックは生きる世界そのものなのであろう。信教を否定することは、生きることそのものを否定しかねない。(神の存在を信じない国民と)どちらが正しいか否かの問題ではなく、みえている「世界」が全く違うだけなのだろう。
重いテーマをドラマチックに展開するのではなく、淡々と確りと進めていく、フランスらしい良作。
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NOBUさんのコメント
2020年7月19日
今晩は。
”フランスの敬虔な信者にとって、カソリックは生きる世界そのものなのであろう。信教を否定することは、生きることそのものを否定しかねない。(神の存在を信じない国民と)どちらが正しいか否かの問題ではなく、みえている「世界」が全く違うだけなのだろう。”
全く同意です。今作品に対する素晴らしきレビューだと思います。
では、又。
返信不要です。