劇場公開日 2020年7月17日

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「学ぼうとすると溝にはまる「宗教」。未だに謎がいっぱい。」グレース・オブ・ゴッド 告発の時 山田晶子さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0学ぼうとすると溝にはまる「宗教」。未だに謎がいっぱい。

2020年7月15日
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鑑賞方法:試写会

フランスで実際に起こった神父による児童への性的虐待事件を描き、第69回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞した作品。

幼い頃の性的虐待によって、長年、深いトラウマを抱えて生きてきた男たちが、「過去の出来事の告発」に挑み、様々な試練に立ち向かう衝撃の実話をフランソワ・オゾン監督がフィクション化。
ドキュメンタリーにすると、彼らの苦悩を何度も引き出す形になってしまうため、役者が演じるフィクションにした点は成功している。さらに、ドキュメンタリーよりもストーリー性が出てくる分、主な登場人物の人間ドラマが伝わり、「告発」の大きな壁に立ち向かう各々の心理状況がより共感できた。
仕事や家族を持ちながら、体裁や時間とも戦わなければならない現実を乗り越えていく彼らの姿は、見る者に勇気を与える。
同時に、告発する側もそれぞれの環境や価値観で意見が合わなかったり、一般的な信仰心と対立することとなってしまう場合があり、本件が「終わりが見えない深いテーマ」であることも本作は訴えている。

重たい内容ではあるが、ファッションはそれぞれ個性的で清潔感があり、1個人を尊重するフランスらしく人間関係においては、程よい距離感が保たれている部分も参考になった。

山田晶子