ベン・イズ・バックのレビュー・感想・評価
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"Ben Is Back"。シンプルだが深いタイトル
アンドレイ・ズビャギンツェフ監督のロシア映画「父、帰る」は12年ぶりに突然帰宅した父が幼い兄弟らの家族の暮らしに不穏な波紋を徐々に広げていく話だった。一方「ベン・イズ・バック」は、オピオイド鎮痛剤で薬物依存症になり施設療養中のベンが、やはり前触れなく帰宅して家族を驚かせる。ただしこちらは丸一日という限られた時間の中で、ベンの周囲に暴風が吹き、荒波が巻き起こる。ベン本人は台風の目のように平静(を保とうと努める)だが、過去の人間関係や犯した過ちが家族と地域の人々の心をざわつかせ、大きなトラブルへと発展してしまうのだ。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でケイシー・アフレックと対峙して才能を世に知らしめたルーカス・ヘッジズが、今回は母役ジュリア・ロバーツと見応えある演技を繰り広げる。ロバーツの強い母の愛が物語の推進力であり、確かな希望にも。題名の二重の意味を明かすエンディングの潔さも見事だ。
観客をやや振り回し過ぎだが、脚本としてはよく書けている
『ビューティフル・ボーイ』が光を失わずに深刻な題材を描ききったのに対し、本作は同様のテーマをなかなか先の見えないミステリー仕立てで描き切る。目の前に突如姿を現した青年。本来ならば薬物リハビリ施設に入所しているはずの彼が、なぜ————。彼が口を開けば言い訳や虚言ばかり。どこに真実があるのか一向に分からない。そんな中で家族は混乱の只中に陥っていく。
果たしてこの主人公に興味が持てるかどうか。そこから本作への没入度が変わってくるはずだ(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で彼を見知っているのとそうでないのとでは、受け止め方に大差が出るかも)。と同時に、母親として息子を信じきるジュリア・ロバーツに関しても、主演俳優の演技の「受け」なので、結局は彼次第で真価が決まる。正直なところ全体的に観客をやや振り回しすぎといった印象だが、脚本としては各キャラクターがよく描きこまれていて優れた部類に入るだろう。
母と息子の熱演
総合:80点 ( ストーリー:80点|キャスト:90点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:60点 )
あまり予備知識もないままに鑑賞した。だが母親の強さと演技の良さに加えて、単純そうで実は次々に明かされる隠された事実が展開する物語には、家族愛・麻薬の怖さ・麻薬に関わる人々の悲惨さと怖さ・医療ミスと、数々の主題が含まれていて質の高い作品だった。
最初はどういう状況かあまりわからないまま、ベンという若者がいきなりやってくる。彼に対する反応が家族により大きく異なる中で、母親のベンに対する愛情と事態を何とか上手くまとめようとする姿勢が目を引く。しかし母親はただベンを擁護するのはではない。彼女はベンを疑いほんのちょっとした隙すら見逃さないように監視もして、何かあれば激しく問い詰める。ただ信用することは出来ないのだなあという現実を見せられる。
そしてベンと家族のことだけかと思いきや、支援者の存在と正体・ベンがやってきた知られていない過去の事・社会に浸透している麻薬の怖さが、時にクリスマスの飾りや犬といった伏線と共に現れていく。これが事実であると思わせておいて実はそれが全くの嘘であるといった展開には油断していて騙されたし、麻薬は人を嘘つきにするということを見せつけられた。1日の出来事としては色々と詰め込みすぎな印象はあるものの、その脚本の巧みさには感心した。
そしてやはり息子と母親の2人の存在感と演技力は良かった。特に母親の賢さ・強さ・優しさと苦悩とを演じたジュリア・ロバーツは、『エリン・ブロコビッチ』にならぶはまり役だった。彼女は間違いもするし決して完璧な母親ではないが、ベンには絶対に必要な存在だった。息子のやることなすこと全てに反応して物語を作っていた。
実話?
周りに薬物依存の人間がいないから本当のことは分からないが、映画の中で家族でも猜疑心だらけで心休まる日がないんだな~
1度信用を失うと信用を取り戻すのにどのくらいかかるのだろう。
観ていて信用したい気持ちと、信用出来ない気持ちが入り交じって、母親が可哀想なくらいだった。
最後は悲しい終わりだったけど、薬物依存者について少し理解出来た気がする。
母の優しさと強さ
主人公ベンはなぜ戻ったのか? 冒頭の家の中をのぞく姿に、以降の展開と不断の緊張感を予想させる。このシーンだけで観客は目を離せなくなる。よくできたスタート。
最近のジュリア・ロバーツはこういうしっかりと自己主張する役柄がはまり役。この作品でも薬物中毒の息子を労わり助け見捨てない。この決して見捨てない姿が感動を呼ぶ。距離を置きながら妹も同じで兄を見捨てない。この二人の優しさがベースとなっている。
ベンはただ家族に会いたかったのか? 一方、自分が中毒になって悪さをした過去に決別もしたかったのか? 決別にはまだいばらの道が続きそうだが、文字通り戻って生きなおせるか?
難しい役を息子が演じ、父親が撮るというのはすごい。 互いを認める温かい家族関係を感じさせた。
薬物依存のクリスマス。 薬物依存って個人の意志の問題と思ってました...
薬物依存のクリスマス。
薬物依存って個人の意志の問題と思ってました。治療薬からの自己責任でないものがあるとは驚きました。
しかしジュリア演じるお母ちゃんこそ子ども依存じゃないのと思える。ヤバすぎ、警察行けよ!
ジュリアのキャリアハイとして批評家は絶賛しているようだが…日本人には環境が違いすぎて刺さらないようです。日本人で良かった(笑)
エンディング、唐突です。その後ベンはどうなるのだろう?
BSテレ東字幕版鑑賞 本作を正月映画にチョイスするセンスがステキ(笑)
ベンイズバックというシンプルな題名には色んな意味が込められているだ...
ベンイズバックというシンプルな題名には色んな意味が込められているだなってことが最後に分かるようになっている。母親が決して捨てない希望の先には、さらに違う意味でベンイズバックなのよね。
he is back!
何故か深みを感じない作品だった
かなりリアルな欧米の田舎町のお話
ああいう貧困を無くすため、ベーシックインカムの導入や若者が皆社会のためにコミットする為に生きるというマインドをインストールするための教育活動が最も今必要なことだ、そんな事を考えていたら映画が終わった
俺は世界を変える為に闘います
母親って切ないよな
とにかくジュリアロバーツはキレる演技が最高過ぎる。
もうキレ方がたまらん。
母親にできることなんてないと思うよ。これ以上は。
何しても空回りで、結局自分が追い詰められるだけだよ。
と思うけど、あのラストはそうじゃないことを諭してるよね。
たださ、ああいう母親がいて、ベンはああやって甘えてるんじゃないのかね。
愛ってなにかね。
娘とかみてると余計そう思うけど。
こういう映画のときって(ワンダーもそうだった!)ピックアップされてないほうの兄妹が気になってしまう。ちゃんと愛情注がれてるだろうか、ないがしろにされていないだろうか。とね。ワンダーもそうだけど、この映画でも電話のシーンが大事な役割を果たしていたのかな、
途中から中だるみがひどかった。
質屋とかね。もういいよって。母親の決断につっこみたくなった、
医者の処方する鎮痛剤が・・・
なんということだ。鎮痛剤から薬物依存症に発展するなんて。アメリカは日本に比べるとオーバードーズ気味の処方であることは間違いないが、ここまで酷くなるなんて信じられないほどでした。さすがにホスピスでの鎮痛剤はモルヒネとかの麻薬そのものだから考えられるけど。
オピオイド系薬物乱用による死亡事故が多発したことから、トランプ大統領が非常事態宣言を出したほど、アメリカでは深刻な社会問題になっている薬物汚染。2016年には薬物による死者が6万7千人にも及んだらしい。医者が悪いのか、常習してしまう者が悪いのか、とにかくそれを闇の商売にしてしまう奴も増えてくるから困ったものだし、「最期はみんな川の向こうに行っちまうんだよ」と話す老人が印象に残る。
77日薬を断ったと自信も回復しつつあるベンにとっても、クリスマスたった一日の話なのに過去のしがらみが亡霊のようにつきまとい、ついに家族にまで迷惑をかけてしまう。犬には罪はない!ベンが死にそうなときにも助けてくれたんだし・・・と、ヨーキーにも似た小型犬が愛おしくてしょうがない。『オズの魔法使』に出てくるTOTOにも似ていた。
母親ホリー(ロバーツ)にとっても実子であるから何とか更生させたい。買い物もずっと見張るかのように一緒に行動し、その間にも憎らしい医者や死なせてしまった少女の母親にも出会うのだ。そして犬がいなくなってからは愛情あふれる母を見事に演じている。タイトルのダブルミーニングも最初と最後で表現しているところがニクい。
疑心暗鬼
たった2時間の間ですらベンを信じきる事が出来ず
疑心暗鬼になる。
これが一生続くのだから薬物依存の子を持つ親は
大変だ。
ベンが今どこにいて何をしているのか気になって、
自分の人生をすり減らすのだから…
「ビューティフル・ボーイ」のような
長いスパンで起伏を見せるのかと思ったら、
一日の事をミステリーに仕立ててビックリした。
子育ては環境が大事だ。
環境が人を作ると思う。
家族は子どもを悪から守ってあげたいけど、
全てを見てるわけではないのに責任を負わない
といけないから、ある意味犠牲者なのかもしれない。
ベンは自分が言ってる事を誰も信じてくれなくて
辛そうだし、
家族はベンを信じきれないし、
ドラッグは絆をも壊すのだなと教訓になりました。
全体的に面白く観れたけど、
1つだけ、子どもを救出するために、
薬物依存の子どもの同級生にドラッグ渡すって
ダメでしょ?とても気になった。
感動という本来の意味とは違う感動
タイトルの「ベン・イズ・バック」の意味をとても考えさせられた。
麻薬依存から抜け出してほしいという意味なのか、逆に麻薬依存の世界へもう一度戻ってこいという意味なのか終り方を想像したがどちらにになるのか最後まで分からなかった。
やはり麻薬に依存してしまうと自分1人では治せないし、死ぬしかないのだと思った。
全てを通して色々な思いや意味を感じた。
とても面白かったこれは1人でしっかりと観ると良い。
母の愛は強い。タイトルの意味を最後に噛み締める
ジュリア・ロバーツが素晴らしかった。息子を信じているけど、信じきれない葛藤や、それでも絶対どんなことからも守ってやるという強い愛を様々な表情で表現しています。
今年の作品で「ビューティフル・ボーイ」では父とドラッグ依存の息子の関係を描いてましたが、今作は母とドラッグ依存の息子。関係や行動の違いが興味深いです。
母親にとって息子は特別な存在だとよく聞きますが、まさに。凄まじい愛を感じました。
薬物依存症の怖さ
クリスマスイブの朝に、薬物依存症の治療施設を抜け出し、息子が自宅に戻って来た。
そこから24時間、丸一日の中で起きる出来事を、サスペンス仕立てで見せる作品。
その母親役を演じるジュリア・ロバーツは、最初から最後まで、ほぼ出っ放しで、少々やり過ぎ感もある、まさに迫真の演技だ。
息子のためなら、母親はこんなになるんだろう。
それにしても、鎮痛剤として処方された薬から、薬物依存症になるとは、なんと恐ろしいことか。
薬物依存症から、なかなか抜け出せないのは、本人の意思だけではなく、環境や人間関係など、取り巻く全てが深く関わっている。
つくづく薬物は怖い。
余談だが、この家族の愛車はSUBARUのOUT BACK。
なんか嬉しかった(笑)。
依存症の思わぬ原因についての映画
モルヒネのような強力な鎮痛薬は、一時的に痛みを止めるが、その緩和効果は次第に薄れてゆく。長期間にわたって投与が続くと、こうした麻薬に対する耐性が生じて、やがては薬物用量を増やさなくてはならない。その結果、患者は薬物依存になる。───(講談社『もうひとつの脳』)
やっぱりジュリア・ロバーツ上手い❗
星🌟🌟🌟🌟久しぶりのジュリア・ロバーツの作品なので期待して観に行きました❗なかなか良い作品でやはりジュリア・ロバーツの息子を思う母親の気持ちが最初から最後までスクリーンから伝わって来てベン役のルーカスベッジズがどうなるのか後半はハラハラドキドキしながら観ました❗ジュリア・ロバーツとの親子役も合っていて良かったです❗ラストは…ジュリア・ロバーツの作品だったらあの終わり方で良かった気がします❗なにはともあれ良い作品でした❗
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