「映画館で見ないと、あとで必ず後悔する名作!」ある船頭の話 Yukさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で見ないと、あとで必ず後悔する名作!
子供の頃、学校の先生がチャップリン作品を全作貸してくれた事がキッカケで、古い映画を特に好んで見る映画ファンになりました。
日本映画では、黒澤明監督や溝口健二監督や寺山修司監督など、ありとあらゆるジャンルの新旧映画に今まで出会い、多くの刺激をいただいてきました。
そして久しぶりに、私が望む全てが詰まった映画にようやく出会うことが出来ました!
ある船頭の話 すばらしいです。
映像美、音楽の優美さ、絶妙なキャスティング、衣装の芸術性、古い日本映画のようなカッコよさ、そして純文学のような美しい脚本に魂が震えるほど感動し、嫌なモヤモヤが全く無く、私はあまりの素晴らしさに驚きました。
映画を見る前は「10年前にすでに脚本が練られていたのなら…もっと早く世に出してほしかったな」とも思ってしまいましたが、鑑賞中「こんなに凄まじい映画…きっと今のオダギリ監督のキャリアでないと成し遂げることが出来ない程の…奇跡のスタッフが集結している…」とすぐに納得しました。
オダギリ監督の脚本に、クリス撮影監督、ワダエミさんの衣装、ティグランハマシアンの繊細な音楽、こんな贅沢な映画にはもう出会えないかもしれないとさえ思いました。
イタリアの映画作家の方達が、今作をヴェネチア国際映画祭で選ばれたのも当然です。
ただ一つ、
この作品は人によって全く違う感想をお持ちになる 相当二極化する作品だと感じました。
でも誰もが感動して涙する作品だったとしたら、こんなにも素晴らしさに震える気持ちには私は絶対になれなかったと強く思います。
とにかく映画館で多くの映画ファンに体感していただきたい!
そして映画ファンの皆さんが各々どう感じられるか劇場で感じてほしいです。
日本で見れるうちに見ておかないと本当に勿体ないです。
DVD化を待つ作品では絶対ないです。
ネタバレには繋がらないシーンで、私がかなり好きなカットを一つだけ言わせてください。
乗船されている時の草笛光子さんの着物の裾のあのカット。グッときました。