「「クララが立った・・・」」ロマンスドール いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
「クララが立った・・・」
所謂、ラブドール若しくはダッチワイフを題材とした作品で真っ先に思い浮かべるのは 是枝監督『空気人形』である。只、今作品はあくまでもリアリティに沿った、若い夫婦の悲恋という題材なので、何度もベッドシーンは登場するのだが男性目線での官能を印象づけるものは希少であった。女性監督という理由もあるのであろう。勿論、それの善し悪しを論ずることは無意味なので、鑑賞者それぞれの好みということで留めるが、しかし、ラブドールを持ち出すことの希薄さを感じたことは否めない。愛していた妻に似せようと鬼気迫る形相で制作する人形制作師等のプロットは、古今東西、色々な国で書物にされていて、それこそ怪奇小説ではうってつけのテーマであることは枚挙に暇がない。では、その中で今作はこの擦られ続けられたプロットに新機軸を打ち出せているのだろうかと、襟を正して鑑賞したのだが・・・
正直言って、既視感が最後迄拭えなかったのが偽らざる感想である。それは配役一つとってもその姿勢を感じ取れる。高橋一生、蒼井優といった優等生キャストが演じれば、そこには毒々しさは醸し出されない。脇を固める俳優も、ベテラン陣で固められていて、これ又どの映画、テレビでも観たことがあるような配役。P滝が出演していたのは個人的には嬉しかったが、かといってそれ程目を惹くような役柄でもなく、個人的には勿体ない配役だ。スパイだった新人職人も、データを盗んでからは何もストーリーには影響をしないし、物語としての凡庸さ、起伏の少なさが際立つような展開に、飽きが出てくるというのが正直な意見である。妻のガンが『乳ガン』ではなく『胃ガン』というのも、女性の立場として余りにも洒落が通じないと考えた末の“忖度”だろうと勘ぐってしまうし、犬の名前が『ユウコ』なのだから、ラブドールの商品名も同名をつけるかと思いきや妻の名前。乳房も局部も、妻のそれを再現するという無理難題さを訴える説得力が無く、セックスに逃げるシーンのはめ込みに、薄いストーリーを感じざるを得ない。今作の原作を監督が執筆しているのだから、そうなると未読だが底の浅さが感じ取れてしまうのは失礼とは思いつつ正直な感想である。セパレートではない一体型のラブドールは猥褻物の咎に処されるという知識は興味深く、そのカラクリを利用したシークエンスは上手く描けていたが、ラストの海辺のシーンは蛇足と言わざるを得ない。「スケベで良い奥さんだったな」なんて台詞に重みが感じられないのは、そもそも蒼井優の配役ミスに他ならない。彼女の演技は至って“真面目”なのだ。ソフトフォーカスの画像演出や、全体的に青っぽい色設計、秒針の効果音演出等わざとらしさも相俟って、今作のターゲット層に自分は丸っきり擦りもしないと言うことだけはしっかり判明した内容であった。
>風希さん
ご返信ありがとうございます。
ご病気でしょうか?大変心配しております。早く病状が治まります様、お祈り申し上げます。無理せずにゆっくりご静養願います。
図らずも作品の登場人物と同じ状況での御思案、大変貴重なご経験でしたね。より深く作品と接することが出来たことは、今後の貴殿の人生に彩りが増したと存じます。
『空気人形』のレビュー、アップしました。お時間が許されるならば、ご覧下さいませ。できればご感想頂けたら幸いです。
昨日、病院に行ったんです。ベッドに横になって検査を受けてる最中に、白い天井を見上げながら、夫は浮気をしていて自分は癌。秘密にして病院に通っていた園子はどんな気持ちだったのかなぁって… 考えてしまいました。
いぱねまさん こんばんは。
お返事ありがとうございます。
コメントが少し大胆過ぎたかな…と心配していたので嬉しかったです。
いぱねまさんと色んなお話しがしたいです。
今夜はもう眠くなってしまったので
また来ます。
ラストレター、岩井俊二さんの作品は大好きなので、私も映画館へ急がなくてはなりませんね笑
では、おやすみなさい。
>風希さん
そんなに謝らないで大丈夫です^^ お気遣いなく、貴殿のご自由な行動発言を闊達になさって下さい。ここがそのような場所なのかどうかは、サイト運営が決めることですからw
どんどん、ご指摘、ツッコミお願いします^^一方通行だけだと、壁にボールぶつけているだけですしね。キャッチボールのお相手、お願いします^^
でも、いぱねまさん。
以前に私がレビューを投稿したら、そちらへ
コメントして下さると…覚えていらっしゃいますか? 私は、いぱねまさんの感想をもっとお聞きしたいのです。感想と言うか、もう少し「空気人形」を口実に繋がっていたいのかも知れません。
ここがそのような場所ではないのは承知しております。ごめんなさい
>風希さん
無理にレビューをアップする義務はないですから、全くお気になさらずに^^
見当違いかも知れませんが、絵画でも音楽でも表現物に対して心が揺さぶられたという実感が得られれば、それで完遂するのではないかと思うのです。アウトプットは糊代みたいなものですw
いぱねまさん
空気人形のレビューをまだ投稿できずにおります。何度も試みたのですよ。でも、言葉で評価することが難しく… ただただ、私の心を満たしてくれた映画でした。
そして、いぱねまさんにこうしてコメントしていることで、またお返事をいただけることで、私は何かが満たされるのです。少しでも共感していただけたら嬉しいです。
言いたいことがバシバシ表現されていて何度も頷いてしまうレビューお見事です!私も最後の海岸のシーン、まるっぽいらないです。安いです。その台詞言いたかったんやろな、分かるんですが、、、
>風希さん
いつもご覧頂きありがとうございます。相変わらずの低クオリティの駄文に貴殿の貴重なお時間を費やしてしまって誠に申し訳ございません。
あれだけ『空気人形』の話が出たのですから、観ない訳にはいかないですよね(苦笑
レビューの通り、私にとっては魅力さは少なかったです。しかし、貴殿の仰る通り、「響き方は人それぞれ」ですから、貴殿も何かの手段で鑑賞頂けたら私の観方とは違ったポジティヴな感想になるかも知れませんよ。
ラブドールを象徴たらしめている『オルウェウス』的観念を表現したいのか、それとも亡き妻への懺悔と、それでも周りに支えられながら前向きに生きていく成長譚なのか、視点がぼやけてしまっているのが私なりの減点根拠です。そもそも人間の欲望のサンドバッグとしての象徴ですからね、あの人形は・・・(苦笑
こんばんは。
いぱねまさんのロマンスドールのレビューを楽しみに待っていました!
公開日に私も映画館へ行きたかったのですが、近くでは上映していなくて未だに観れずです。
なんだか、いぱねまさんのレビューで満足しちゃいました 笑。
でも響き方は人それぞれですものね、、。