「こういう風に最初からやったらいいさね」ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY 753さんの映画レビュー(感想・評価)
こういう風に最初からやったらいいさね
ハーレイのナレーションとともに面倒な回想部分をアニメーションの疾走感で足早にクリアするアイデアはグッジョブ。
ちゃっかり前作で作った贅肉部分の削ぎ落としにも成功している。
作品全体に漂う雰囲気は均一ではなく、ハーレイ視点で流れるポップ&カラフルなシーンとハーレイ以外にスポットが当たっている暗めな印象のシーンとのミックス。だからなのかハーレイのシーンもダークポップ調。
あと前作よりもグッと描写が生々しくなったが、特に良し悪しに影響はない。
ストーリーは単純。ダイヤに子供。ありがちなマクガフィン。
謎なのが敵役の人物設計とシーンの緩急。
LEONを意識している…?
見せない残虐描写や突然の激昂からの中途半端な嫌がらせなど、敵役の人物描写部分がどれも物語から浮いてしまっている。惜しい。
しかしそれ以外はかなりグッド。
登場人物ごとの展開をハーレイのナレで押し切った点に目を瞑れば、それぞれにクセのある登場人物を上手くまとめられている。
素直にちょっと興奮した。
マーゴット・ロビーの演技はさすがの一言。
特に悲痛の演技は最高。狂気を孕ませながらも時折見せる人間味のある表情。顔のパーツごとに別の感情を表すかのような繊細な演技をさらっとやってる。
またカメラワークの妙が目立った。
マーゴット含め、他の役者陣も体当たりでアクションシーンを演じてはいるが、正直アクション一本で押し切れる域には届いていない。そこで建物内のシーンではスプリンクラーで水を撒いてみたり、ラストの敵味方入り乱れてのシーンではあえての長回しでカメラもキャストも動き回らせてみたり、躍動感の演出にカメラワークが大きく貢献している。
あとアクションについては個人的にはマーシャルアーツがすごく好きだった。女の蹴りって、なんか良い。