「レイトショーで観る映画ではないかもしれない。」ジョーカー のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)
レイトショーで観る映画ではないかもしれない。
2019年10月に、1回目で衝撃を受け、翌週もう一度鑑賞しました。
映画館で年間50本近く観ていても、複数回観る映画は、年間にひとケタです。
しかも、最初から最後まで、ほとんどのシーンを記憶しています。
この作品は、私自身のダークサイドを覗くという意味で、今まで観たどの映画よりも怖かったです。
弱肉強食のアメリカの、弱者は虐げてもいいという風潮。
その中で、アーサーが少しずつ壊れていく様を観るのは、ものすごくまずい料理を無理やり食べさせられている気になります。
だからと言って、日本の方が生きやすいわけではないのですが。
身体ではなく、心や脳に損傷を受けている人は、ひと目で困っていると分かりません。
また、身体に障害がある方に比べると、どういうふうに対応したらいいのか、気を付けるポイントは何か、分かりません。
アーサーが豹変するタイミングも、実は私には唐突で、恐ろしかったです。
もし彼が目の前にいたら、助けようとするよりも、自分を守るために、ダッシュで逃げ出すでしょう。
2019年に観た時は、この作品はアメリカの話だという距離感で鑑賞しました。
昨夜は、日本で、中国で、アメリカで、ヨーロッパで、世界のどこで起こってもおかしくないと思いました。
レイトショーで観たことを少し後悔。
何度か後ろを振り返りながら、映画館の最寄り駅まで急ぎました。
今、私のスマホが突然爆発しても、おもむろに路地から現れた男に刺殺されてもおかしくない世界に、自分が生きていること。
生まれて初めて、それを肌感覚で理解した夜でした。
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