「面白いストーリーなのに退屈な映画。」ジョーカー Λibo.uryyy0さんの映画レビュー(感想・評価)
面白いストーリーなのに退屈な映画。
アメコミもジョーカーにも無知だが、映画「スーサイド・スクワッド」のジョーカーがスタイリッシュで魅力的で演じたジョーカー俳優のファンになったほどなので、俳優は別人だがジョーカー主役の本作観てみた。
ストーリーは凄く良いが映画の出来がイマイチ。耳障りな音楽がちらほらある。ジョーカーに変身するまでが長すぎる。でも変身するまでの物語自体は面白い、というギャップに苦しんだ。長さを感じさせるのは監督の技量不足だ。あと俳優に魅力感じないせいもある。
主演俳優ホアキン・フェニックスが不細工で、私は映画にはそれなりの美男美女を求めるタイプだから観てて辛い。リバー・フェニックスの兄にしてはリバーのような華も魅力も感じない。ただ味わい深さはあるから役によっては演技秀逸さも相まって彼の良さは出るだろう。しかしジョーカー役やるには魅力が全然足りてないこの俳優。過去のジョーカー役ジャック・ニコルソンやジャレッド・レトは華も魅力もあったのに。
それにこの俳優ホアキンは顔が深刻過ぎ。コメディアン目指してる役なのに全然そうは見えない。彼の顔から感じるのは悲劇のみだからダメ。いくら不幸な人物とはいえ多少なりともユーモラスな雰囲気醸すべき。ユーモラスだからこそ悲哀も増すのだ。ホアキンの顔はリアルでシリアス系に傾きすぎてるからジョーカーのようなアンリアルな役は似合わない。単なる底辺おじさんに見えちゃう。狂人っぽさはちゃんと出てたが。しかしホアキンは顔面から現実感出しすぎ。まぁ彼のせいじゃなく彼を選んだ監督のせい。レオナルド・ディカプリオの構想もあったようだがディカプリオならいい。ユーモラスも悲劇もアンリアルも狂人も十分いけそうな顔してる。たがジョーカーのメイクが似合わなそう。
ホアキンはジョーカーに変身してからは良くなった。ジョーカー姿がサマになってる。演技上手いからか階段上で踊る時の体の動きもいい。このあたりはさすがだと思うこの俳優。
この時(階段で踊る時)は音楽も凄い良くて場面に合ってた。だが音楽良かったのはこの時だけで、以降は再び耳障りな音楽に変わってしまう。それが残念。安易に不快な音楽使うべきじゃない。
ジョーカーに変身直後の階段上で踊る場面は、スローモーション、水たまりの水しぶき、煙草の煙、全て映像美を感じられるし良い音楽だしmusic videoとしてここだけ何度も観たい。やみつきになる。衣装のカラーもいい。しかし映像も音楽も、良かったのはここだけなのが残念。
主演のホアキンに不満ありつつも、変身後のジョーカー姿は良いし、司会者殺す直前の演技秀逸なのは満足。まあ変身するまでが、見ててとてつもなく退屈ではあるがこの人なせいで。せっかくジョーカーという魅力的なはずのキャラなのに・・
ジョーカーが、テレビショーに出演。カーテン開けて舞台に出る場面をテレビ画面通した映像にしてるのが不満。登場の瞬間はリアル映像で映したほうが感動すると思うけど。ジョーカーに対する司会者マレーのツッコミがどれも秀逸。ジョーカーの「この社会だってそうだ。善悪を主観で決めてる」という台詞が好き。マレーをいきなり銃で撃ち殺すところ最高で、その直前から不穏な音楽で盛り上げるのも良いし、その時のジョーカー役ホアキンの演技も秀逸で完璧。
信望者が救急車でパトカーに突っ込みジョーカー助けるところ凄く良い。終盤の荒れたゴッサムシティ大好きだ。ジョーカーは市民のカリスマとなるが、ホアキンはカリスマというより熱狂的な信望者を演じるほうが似合う。
主人公のホアキン自体に魅力感じないのが残念だし、それをくつがえすような作品自体の魅力も出来の良さも感じないから更に残念。映像、音楽、雰囲気のどれか1つでも突出したものが欲しかった。変身後に階段で踊るシーンは凄く良かったが、そこだけ良くても意味ない。というかあのシーンは監督凄く力入れたんだろう。ならば他ももっと頑張って欲しかったが。本作はストーリー頼みのよくある単なる普通の映画という感じ。
別監督か別俳優でこの映画を観たい。ストーリーめちゃくちゃ好きだから。
①映画の出来の良さ、②映画の魅力(映像や音楽等)、③主演俳優の魅力、この3つのうちせめてどれか1つで良いからあれば私的に特別な映画になった気がする。それくらい物語も世界観も大好きだ。本当に残念。ぜひ有能監督にリメイクして欲しい。
2023/01 VOD