「ジョーカーは不死」ジョーカー 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
ジョーカーは不死
ダークナイトのジョーカーが最高レベルのジョーカーであることは、この映画を見ても変わらないのだけど。
ジョーカーという悪役の存在の可能性を大きく広げる存在がこの映画のジョーカーだ。
まさに、ジョーカーとは概念的な存在であり、人々の中に巣食う心の闇、全てのやりきれない気持ちの具現化として表現することができる。
彼は死ぬことがない、なぜなら彼の存在は人間が存在する以上必ず生み出されるからだ。悪そのものであると同時に人間そのものでもあるからだ。
だから、車がクラッシュしても再び人間が救い出し、再び生き返る。
この映画をもっとある一人の男の話ということのみにフォーカスしてみてみれば、割とつまらない復讐劇であるとも言える。また、見方を変えれば、これは彼の願望の話であり、終盤の展開は妄想の世界であるようにも見える。すべてがご都合主義的だからだ。
彼が妄想癖であることは序盤から中盤でも明らかだから、この解釈はとっぴではないはずだ。
社会に絶望した男が自己を正当化するために生み出した妄想話。それがこの映画の真実かもしれない。
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