劇場公開日 2019年10月4日

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「役者を信用してはいけない」ジョーカー 茉恭(まゆき)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5役者を信用してはいけない

2020年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

何度も言うが、素晴らしい作品は必ず賛否両論なのだ。
そして今作も真っ二つに割れている。
そうだろうそうだろう。
ホアキンJOKERにうっかり共感してしまった人はショックで言葉を失い、
最後までイライラして終わった人は、これを駄作とレビューする。

私はうっかり前者になってしまった…。

痛いほど理解できてしまう。
憧れのスターに認められる妄想。
自分がほんとは特別だったと知る世界。
ちっぽけな貧困な家に育った子供なら、誰しもそんな夢を見たし妄想を繰り広げた。
ただ、私たちはそれをどこかで諦めたのだ。
世間からはみ出さないようにと育てられ、
いつの間にかはみ出す人間を罵る側に立ち位置が変わり、
そしてこんな筈ではなかった、こんな人生を望んではいなかったと思いつつも、どこか踏み出せずに毎日を送る、それが私だ。

しかしJOKERは、進んでしまった…。

誰が彼を責められよう?
もちろん罪を犯したことは決して許されない。
けれどそれは、彼の弱さゆえなのか?
時代が悪いのか?

だんだんと時間が経過してゆくにつれ、共感はかけ離れ、
なのに感情だけが揺さぶられる。
いけない、そこへ行ってはいけない。
愛する人がいるではないか。
チャンスが巡ってきているではないか。
みんな、JOKERを必死に止めようとする。
しかし観客が裏切られる。

すごい手法だった。
まさかのアレまでだったとは。

ラストシーンと、残された少年のことで、
周りがざわざわしている。
そうとも、これがバッドマンの最大の敵となるカリスマダークヒーローへと
展開するのだ。

もう1回観よう。バッドマン。
ヒースレジャーだけどw

ホアキン、たぶんオスカー獲るんだろうな、
彼の今作のインタビューは興味深かった。
あまりに常識人だった。
あんなに体を絞って、あんなにメンタルを追い込んでも、
終わればホアキンに戻ってしまっている。
役者ってやっぱすげー。

茉恭(まゆき)