「Clown (=道化者)の悲哀」ジョーカー shinさんの映画レビュー(感想・評価)
Clown (=道化者)の悲哀
冒頭のシーンに全てが詰まっているような気がした。
笑わせることと笑われることは一重であり、笑わせることとは、テレビショーのマレーのように、誰かをダシにして、所謂今で言うイジリ芸だったり、笑われることとは、見下され、蔑まれ、この映画の冒頭のシーンのように何をされても仕方ない側面があるのかもしれない。
狂気に満ちた殺人犯に至る過程が、とても丁寧に描かれていた。ナイーブで優しい人が、ちょっとしたことがきっかけで、今まで内に秘めていた不満が爆発して猟奇的な犯罪者になってしまうのは、決してこの映画の中だけのお話ではない。
生放送の中で、カミングアウトして、悪の主観を述べるあたりは陳腐な展開に思えたが、アーサーの切羽詰まった心情が表れていて、鬼気迫るものがあった。ホアキンフェニックスの怪演のお陰だろう。
全体的に暗いトーンで進んでいく映画で、結末はなんとなく読めるものの、常にハラハラ感が付きまとい、アーサーの心理描写が見事に描かれている映画だった。
この結末をどう捉えたらいいか思い倦ねているが、なんだかスカッとした気持ちになってしまった。
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shinさんのコメント
2021年8月14日
二度目の鑑賞。
初見のときと真逆の感想で、終盤からエンディングにかけて、暗澹とした気持ちになった。
愛されたいのに愛されない。僕はここにいるよ、という悲痛な叫びは無視され、注目されたかと思うと、だしにされただけ。
悲しみ、憎しみ、色んな憎悪が積もり積もって犯罪者となっていく分かりやすいストーリーでは