「間違いなく自分自身の中に在る、もう一人の自分…。」ジョーカー わいちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
間違いなく自分自身の中に在る、もう一人の自分…。
この映画を鑑賞しながら、そんな思いを繰り返し反芻していました。
ジョーカーは生まれるべくして生まれた。多分、そういう事なんでしょう。
社会の中に沈澱している澱の様な孤独や不安や貧困や憤り、そこから涌いてくる暴力の象徴としてジョーカーは誕生し、そうして、その存在は体制に対するアンチテーゼとして人々を惹きつけます。
光りが有る処には、必ず闇が生まれます。人が見ない振りをしても、その闇は必ず存在して、痛みの中にのたうち回ります。その闇は処へ往くのだろうか?その闇が静かに癒やされる事なんて果たして有るのだろうか?
かつて、映画「タクシードライバー」で、体制に対する強烈なアンチテーゼを叩きつけたハズの俳優ロバート・デニーロが、寛容と良識を装いながら弱者を嘲笑する体制側の象徴としての役柄を演じている事に、強い皮肉を感じました。
コメディ畑出身の監督が描いた、喜劇の先に有る狂気と恐怖の世界を、ホアキン・フェニックスが迫真の演技で演じ切っています。
この世界観を映像化した関係者の勇気に心から敬意を表します。
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