劇場公開日 2019年10月4日

「自身の正義が揺らぐ衝撃作」ジョーカー マスノブさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0自身の正義が揺らぐ衝撃作

2019年10月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

孤独と絶望を抱えた男が悪に目覚める話。

いやもうほんと度肝ぬかれました。
観て一日経ってこの文章を書いてるけど
想いがいろいろ渋滞してるどうしよう。
考えがまとまらないのでつらつら書く。

物語の組み立て、感情移入させる演出、
ホアキンさんの怪演、最高でした。

序盤は主人公アーサーの哀れな姿の連続で、
観ててほんとーーーに苦しい。
人に理解されない病気、低所得、親の介護等
1つ1つのパンチが重たく
それらがアーサーを苦しめる。

さらに、生きる支えでもあった夢や、
自分の存在を感じられるものに裏切られてしまう。
ここの絶望の畳み掛け演出は素晴らしかった。
なのでジョーカー誕生の瞬間は鳥肌が立った。

そこからラストまではずっとにやにやしてた。
感情移入ばっちり完了されちゃったので
いいぞー!いけいけもっとやれ!の連続。
でもジョーカーは明らかに悪なので、
待てよ、こんなこと思っていいのか?
と自問自答してしまう。
悪がヒーローに見えてくる。
自分の中の正義が狂ってくる。
これがジョーカーのカリスマ性か!
と気づいたときは拍手せざるを得なかった。
間違いなく実写版ジョーカーの中で
最もカリスマ性があった。

ジョーカーは勝手に生まれたわけではなく、
世界やアーサーを取り巻く環境が生んだのだ。
誰もがジョーカーになり得るリスクを
この世界は抱えているんだと訴えてくる
社会派な一面も持っている作品だった。

アメリカでは上映をすすめていないという話を
聞いたけど観た後なら確かに理解できる。
格差社会、差別社会がなくならない世界。
それはジョーカーの世界と全く同じであり
社会的弱者の暴動は止められない気がする。

いや悪は悪でしょ。
と簡単に片付けられない人の気持ちを
試してくる刺激的な作品でした。大満足!

ウェイン家も結構物語に絡んでるので
バットマン好きには嬉しい展開もあり。

マスノブ
こまさんのコメント
2019年10月12日

私も終盤から強く惹かれました。>最もカリスマ性があった。
カリスマの萌芽までしか描いてないために、人によって印象が様々ですね。

こま