「Smile」ジョーカー @Ryota_daze27さんの映画レビュー(感想・評価)
Smile
人生は近くで見れば悲劇だが、遠くで見れば喜劇である。それでも人は主観でしか世界を見ることができない。笑えないけど笑うしかない。笑うことでのみ悲劇から救われる。そして、大衆(ピエロ)が滑稽であればあるほどそれは喜劇になりうる。アーサーに感情移入できる部分もあればそうでない部分もある。彼は決定的な出来事をきっかけとして変化したのではなく、着々と我々の心が離れていく、むしろ近づくことが恐怖となる。アーサーが抱く自分の存在に対する不信感。名もなき大衆の一人。それは名もなきピエロであり、仮面を被って笑ってみせる。そんな一人の男が絶望の淵に垣間見た狂気。その狂気が彼を動かし社会をも扇動していく。「殺人」が正当化され、実行した張の本人が英雄として崇め奉られるような世界。果たしてどちらが狂っているのか。アーサー・フレック。彼はなるべくしてなった悲劇のジョーカーなのではないだろうか。さてはこれら全てさえもただのジョークに過ぎないのだろうか。
あと、劇中にチャールズ・チャップリンの「モダン・タイムズ」が出てくるのも正にって感じ。
シーザー・ロメロ、ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレッド・レト。そして、ホアキン・フェニックス。優劣をつけるのは好きではないしそれを抜きにしても今作のジョーカーはカッコよかった。
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