「フェアで誠実な怪談話」アナベル 死霊博物館 ウシダトモユキ(無人島キネマ)さんの映画レビュー(感想・評価)
フェアで誠実な怪談話
やはり安心と信頼の死霊館ユニバース!!
いつも思うし毎回言ってるかもしれないけど、死霊館ユニバースの霊現象や怪異に対する姿勢って本当にフェアで誠実で、好感しかない。
オカルト的なインチキ臭さやオラオラ系ホラーの下品さとは一線を引いていて、それでいてエンタメとしてのコワ面白さをちゃんと成立させてる。
本作においてはダニエラという少女の父親への思いが一本の芯としてビシッと通ってる。なぜ怪異を呼んでしまったのか。その騒動にどう決着がつき、どう結論づけて受け止めるのか。ミズ・ウォーレンの諭す結論の優しさも最高だったし、それははっきり言って、
なぜ、人間にとって幽霊は存在するのか?
という命題の決定的解答としちゃってもいいんじゃないかと思う。
1本のホラー映画として、恐怖演出のフレッシュさとかについては目新しいものはさほどなかった印象。もっとゾワゾワ怖い前菜を求めちゃう気持ちはあるけど、でも本作に対して「物足りなかった」とまでは思わない。アナベル人形を中心にして、過去2作との重複を回避しつつ、暴走させないという配慮を貫く姿勢は好ましい。
実在のミズ・ウォーレンへの追悼作としての意味合いもある本作。そのはなむけとして前述の解答をさせたという演出にも泣けた。
まだしばらくこのユニバースは続く見通しのようなので、最後まで見届けたい。その信頼は厚い。
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