「美しい作品。されど制作体制の不備が悔やまれる」薄暮 わたつみさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい作品。されど制作体制の不備が悔やまれる
「アニメーションはエネルギー集約産業」
かつて大塚康生さんがそういう主旨のお言葉をおっしゃったそうですが、
本作は"作品の為にエネルギーを集約する"体制整備が不十分だったように見受けられます。
もう少し「人とお金と制作体制が整った状態で
作る流れになって欲しかった」
と思います。
(ただし、[通常の商業アニメとは全く異なる
プラットホームでの制作]という一点には注意が必要)
完成度が高いとは言えない。
アラを探せばいくらでも探せる。
監督の"敵を作ってしまう言動"は
プロデュース上ではマイナスにしか働かない。
それでも、
スクリーンには美しい世界がある。
その世界で生きる人々の生活がある。
かつて悲しい出来事があり、
その記憶が長い影を引いていても、
顔を上げ前を見て歩こうとする人たちの心の動きが丁寧に描かれる。
美しい作品。
夕暮れの空、薄暮の風景に魅入られ、足を止める。
その瞬間の気持ちをフィルムに留めようとした作品。
私個人は結構気に入っている。
それだけに制作体制の不備が悔やまれる。
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