「歪みは悪か」アガサ・クリスティー ねじれた家 everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
歪みは悪か
多くの推理小説が俳優を入れ替え定期的に映像化される中で、本作は良い出来だと思いました。淡々としがちな話を「観て」いられるのは、やはり役者によるところが大きいと思います。
随分評価が低いので鑑賞を迷いましたが、俳優陣のレベルからして映画としても耐えうるのではないかと。
非難の裏にある感情は何か。
返されない愛情、失恋、過度な期待。
消してしまいたいくすぶる不満。
愛しているからこそ選ぶ別離と破滅の道。
歳を重ねる毎に、想いとは裏腹の行動を取ってしまう素直でない大人達。
…悪口を言っているだけだったのに。
換気の悪い屋敷に蔓延する歪みが、真っ直ぐな魂に降り注いだ結果生じた不幸、そして非常時の度に発動される気高く深い愛情は、想いの強度を行動に反映させた時の恐ろしさを露わにし、言霊が生みの人間達を追い込む深淵の闇に落ちそうになりました。
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