「映画人生において最重要作のひとつとなった」サタンタンゴ エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
映画人生において最重要作のひとつとなった
ハンガリーのタル・ベーラ監督の1994年作。7時間18分という上映時間はこれまで観た作品の中で最長。1991年から4年かけて撮ったとのこと。
観進めるにつれ映画における時間の概念が崩壊していく。
舞台はハンガリーの田舎にある小さな村。村人たちは私欲は強いが自立できず、依存しないと生きていけない。ペテン師イリミアーシュの口車に乗り、持ち金をすべて渡して村を出た。自分たちの農場を持つことを夢見て……。
降り続く雨、吹き荒ぶ風、太陽が失われたのかと思うほど薄暗い世界、そして何より愚かで理不尽過ぎる村人たちの行動に陰鬱になる。何の救いもない悲劇だった。絶望があった。
ロシアの影響下にあった時代の光が見えない閉塞感を自由化後まもなくこの作品にぶちまけたタル・ベーラ。彼の思いに打ちのめされ続ける破格の傑作。
我が映画人生における最重要作のひとつとして在り続けることだろう。
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