劇場公開日 2019年12月6日

「ルパン・ファミリーとモンキー・パンチ先生はとんでもない物を盗んで行きました。ファンの心です!」ルパン三世 THE FIRST 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ルパン・ファミリーとモンキー・パンチ先生はとんでもない物を盗んで行きました。ファンの心です!

2019年12月11日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

興奮

『ルパン三世』初のフル3DCGと話題だが、個人的には、『ルパンvsコナン』やスピンオフはあったりしたものの(そういや実写版もあったね…)、『DEAD OR ALIVE』以来実に23年ぶりの単独での全国規模公開の方にこそ注目。
『ルパン三世』の新作はずっとTVSPばかりだったけど、久々に劇場大スクリーンで見れる!
名探偵や猫型ロボットが定着しているが、『ルパン三世』だって劇場映えするアニメ・ヒーロー。

さて、監督がちと“問題”。
山崎貴は現在の日本映画界屈指の人気ヒットメーカー。
アニメーションも手掛け、『STAND BY ME ドラえもん』は特大ヒットとなったが、今夏の『ドラゴンクエスト/ユア・ストーリー』は自分はまだ未見だが世間の評判はご承知の通り…。
下手にやればファンからはフルボッコ、完全に監督キャリアに関わるかもしれない今回のプロジェクト。
すでに賛否分かれているみたいだが、山崎貴も同世代のファンの一人で、きちんとツボを抑えた“ルパン作品”になっていた。

かのルパン一世すら盗めなかった伝説の秘宝“ブレッソンダイアリー”を巡って、ルパン一味、ナチスの残党、鍵を握る美少女レティシアが繰り広げる冒険と争奪戦。
話はこれぞ『ルパン三世』の王道。
クライマックスはちとSFチックになるが、こういうのもTVSPではよくある展開。ドイツ人やユダヤ人が見たらびっくり仰天!?
ルパンとレティシアの関係は、かの名作城を彷彿。
騙し騙され、ルパンたちの活躍は痛快。

フル3DCGのクオリティーは言うまでもなく。
アクションやクライマックスの壮大な展開はフル3DCGならでは。
手描きでも躍動感たっぷりのルパンたちだが、さらに縦横無尽に。
フル3DCG化したお馴染みメンバーの中で特に、リアルな無精髭がよりハードボイルドな雰囲気を醸し出した次元と、アニメ以上にセクシーさと魅惑的なダイナマイトボディがエロく…いやいや、魅力的になった不~二子ちゃん。

大野雄二のお馴染みのテーマ曲によるOPとタイプライターのタイトル・クレジットは外せない。やっぱ『ルパン三世』はこれじゃなきゃね~♪
それにしても、大野雄二の音楽の力は強い。あのリズミカルな大野音楽が流れると(と言うか開幕早々から)、ああ、ルパンの世界だ、と実感する。

話も面白かったのは面白かったのだが、しかし、せっかく山崎貴が脚本も手掛けていながら、これと言った目新しさには欠けた。
良く言えば王道・定番・鉄板、悪く言えばこれまでの『ルパン三世』の良いとこ取りの寄せ集め。
ルパンもレティシアも祖父の時代からの数奇な因果や関係、ある人物がレティシアへ“情が移ってしまった”山崎ならではの泣かせの演出、アイテムや伏線などそれなりに張られてはいるものの、ここら辺もうちょっと凝って欲しかった。

ゲスト声優の広瀬すず、藤原竜也は、まあそう悪くもなく。
にしても今年、アニメで吉田鋼太郎の声を何度聞いたろう…?
お馴染みのメンバーは言わずもがな…と言いたい所だが、お叱りを覚悟の上で、
小林清志様は偉大な声優だが、ちと声が苦しくなってきたような…。

初のフル3DCGだが、安定の『ルパン三世』。
先にも述べた通り賛否はあるが、無難に楽しめ、ファンも満足出来るだろう。
何だか興行的には期待ほどではなく(その昔知人が、『ルパン』の新作映画やったら絶対『千と千尋』超える!…と自信満々に言ってたっけ…)、今回一本きりになりそうだが、
でもやはり、ルパン・ファミリーの活躍をまた劇場大スクリーンで観たい!

改めて、モンキー・パンチ先生と2代目五エ門・井上真樹夫氏のご冥福を。
素晴らしい作品を生み出してくれて、
カッコいいキャラを演じてくれて、
本当にありがとうございました!

近大