「推奨モデル」最高の人生の見つけ方 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
推奨モデル
何度も涙がこみ上げてくる。
癌のステージ4という、のっぴきならない状態ではあるのだが、だからこそ、主人公達は奮い立つ。いわゆる発散なんだと思う。
忘れたいわけじゃなく、死ぬ前にやりたい事やって死にたいって事なのだろう。
俺もその歳や、その状況になれば同じ事を思うのかもしれない。
ただ同時にこうも思う。
手が伸ばせる範囲の事でいい、と。
幸枝さんには、手を伸ばせるトコに球磨子さんがいた。球磨子さんの手は全世界を覆える程広かった。それはそれでいいのだ。
彼女達は現世の欲を満たそうと奔走する。あらかた自分たちの欲が満たされてはたと気づく。おそらくは「虚しい」と。
そして個人に立ち戻る。
思い残しはなんなのか?それぞれ抱えてるものは違う。誤魔化していいわけない。
おそらく死ぬ気で事にあたったのだと思う。
事柄や結果はどおでもいい。自身が「やり尽くした」と思える瞬間があれば、きっと悔いなく死んでもいけるのだろうと思う。
それこそ、たった1人でも、泣いてくれる人、忘れないでいてくれる人がいれば、人生万々歳だと思う。
それが、幸枝さんには家族で、球磨子さんには秘書だった。
何度もリメイクされてるだけあって、よく出来た脚本だった。
女性2人を主人公に据えた事で、オリジナル版よりは湿っぽいんじゃないかなと想像する。
生活に隣接してると言うのだろうか…恥も外聞もある感じで、全身全霊からの解放感までは感じられない。それを狙った設定でもあると言える。
この作品では活発な吉永さんに会える。
天海さんは従来通りのイメージなのだけど、ジーンズを履き、大口を開けて笑う吉永さんに。それが観れただけでも楽しい。
ただ、惜しむらくは一般的な主婦には見えない。見えてこない。
ご本人がそうさせるのか、現場がそうさせるのか…ただ、それでも俺は幸枝さんに泣かされ、そのバディである球磨子さんの手紙に泣かされる。やはり、流石なのである。
その手紙をそらんじるムロさんにも勿論泣かされる。
なんだろ…想いは残るというか…一つの命は尽きたとしても、それに連なる命が必ずあると思えた。命を産み出し、命を支えてきた女性だからこその感想かもしれない。
将来の俺に向かって言い残したい。
これは推奨モデルであって、この映画と多大なの差があっても悔やむのではない。
それにまだ事態は好転もするぞ?
努力して頑張って、覆していけ。
ただまぁ、死ぬ事自体は回避できないので、そこんとこの潔さは持っとけ。