「マシュー・ボーンの胸の内?」キングスマン ファースト・エージェント グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
マシュー・ボーンの胸の内?
第二次世界大戦における独ソ戦での犠牲者は、ドイツが900万人、ソ連が2000万人(と、ラストシーンから思い出しました)。
右と左のバランスを取る闇の指導者連盟?の前に、キングスマンは第二次大戦の勃発を防ぐことも、膨大な数の若者を救うこともできなかったことになります。
次回作はいったいどんな戦いが待っているのか。
マシュー・ボーン監督は、人間が人間を理不尽に殺してしまうことへの嫌悪と怒りが強烈なのだと思います。
現実の世の中でどんな事情があったとしても、すべての犠牲者と残された家族からすれば、なんでこんなことで命を落とさなければならなかったのか、というのが戦争だと思います。
であるならば、キングスマンの役割は、〝なんでこんなことが〟を未然に防ぐことですが、そのためには張り巡らせた情報網から情報入手、分析、アクション(時には暴力的手段で)を起こすことが必要です。
だからスパイ組織なんですね。
って、今さらなに言ってるの?
という感じですけど、今の社会のリーダー層には、このような観点から導かれる戦略的な構想があるようには見えないので、目端の利く人だけが得をして、救われるべき若者のことは本当は誰も考えてないんじゃないか、そんな気がしたものですから。
見かけ(高級スーツの紳士が強いはずない)で舐めてきた相手を鮮やかにかつ軽やかになぎ倒す、という前作までのお約束だった、スカッとするアクションシーンはありません。
むしろ、『1917 命をかけた伝令』を再現したかのような臨場感溢れる戦場のむごたらしさが印象に残ります。
想定外にヘヴィで、いつものマシュー・ボーンに比べるとシリアス。
それでもアメリカの参戦をヒーローが救いにきたようには描かず、あんな理由での腰砕けからイギリスこそが救ってあげたかのように描くあたりは皮肉屋の性格となにがしかの屈折した心持ちが窺えるようで、たぶん監督自身の人間臭さの表れなのだと私は思ってます。
当てずっぽうな想像ですが、個人的に体験してきた様々な苦い思いを映画作りのエネルギーとアイデアにすることができる人。
『キック・アス』以来の大好きな監督なので、引き続き好きなように映画を作って欲しい、そう願ってます。
コメントありがとうございます。
今のロシア/ウクライナ問題も半世紀以上も前の両国の遺恨が積み重なっての事らしく、その歴史や経緯も複雑で…。
映画のような単純な対立は現実社会ではありませんね。
更なる最悪の事態にならないで欲しい…ただそれだけの願いの呟きでした。
実際には王様が戦争を起こすという単純な構図ではないと思うのですが、各国の思惑が上手く描かれてましたね~
「白い羽根」が臆病者として送られるとか興味深かったけど、ここのところをもっと描いてくれれば加点できたかな・・・
グレシャムさんへ
コメント、有難うございました!
T-37は水陸両用軽戦車。主力戦車はT-34ですw
こんな具合なんで、鼻っから脱線しまくって、メカ史の授業になる事は必至ですw