「【秘密結社とか、バランス・オブ・パワーとか】」キングスマン ファースト・エージェント ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【秘密結社とか、バランス・オブ・パワーとか】
どんなに時代を経ても、世の中の人は、映画のテーマとして、秘密結社が大好きだ。
何か自分達の知らないところで、誰かが、いや、怪しい集団が、世界を操って…というか、牛耳ってるというやつだ。
フリーメーソンは、よく候補に上がるが、当のフリーメーソンは、これを否定している。
その代わり、近年は、Qアノンやディープ・ステートが白人至上主義者や、日本だったらネット右翼の間で大流行りだ。
これまでも、「キングスマン」シリーズは、選民思想や、人々が陥りやすい怒りや憎しみに任せた感情の罠を皮肉たっぷりに描いてみせてきたが、今回の「ファースト・エージェント」は、何かが世の中を陰謀で操っていて、バランスを保ったりしてるんじゃないかという考え方をアクションたっぷりに、コメディ感はやや少なめに皮肉ってみせている。
そして、主要な歴史上の登場人物だけはしっかり抑えて、物語は歴史考証などお構いなしで、映画を観るものをおちょくっているようにも思える。
(以下ネタバレ)
コサック・ダンスなのかバレエなのか踊る怪僧ラスプーチンとのバトルは笑わせてもらえるが、ただ、このラスプーチンの存在と、そして、レーニンの登場は、帝政ロシアの崩壊に繋がったのは史実だ。
そして、いきなり、エンドロールの”レーニンとヒトラー”の出逢う場面については馬鹿馬鹿しくて笑えるけれども、実は、ここで語られる”バランス”は、まさにイギリスの重要な外交政策であったのだ。
ヨーロッパの島国であるイギリスは、大陸ヨーロッパに突出した脅威が発生し、不安定化や紛争に繋がらないように、自らがパワー・バランサーになって、ヨーロッパに均衡(バランス・オブ・パワー)をもたらしたいと画策していた。
しかし、この第一次世界大戦が証明したように、そんなものは幻想に過ぎなかったのだ。
そもそも、その前から、アメリカがイギリスから独立し次第に力をつけ、フランスでは革命が起こり、ナポレオンが登場するなど不安定化は避けられなかったのだ。
だが、こうした歴史を経て、イギリスでは諜報機関が発達したのも事実だ。
マトリックス ・シリーズでも主要なテーマになっている善と悪のバランスや二元論的思考は、エヴァンゲリオンでも同様だったと思う。
善には悪、神には悪魔、天国には地獄、民主主義には全体主義、左には右でバランスを取るという二元論的な考え方は、物事を単純化してしか考えることが出来ない僕たち人間の愚かさの表象だ。
今回の「ファースト・エージェント」は、ブレない女性や黒人の執事が登場してポリコレ感を残しているものの、コメディ感も含めて、前2作より、ちょっとあっさりめで、戦争や、二元論をベースにした考え方の愚かさや、戦争で人々は命を落とすということ、そして、そんなものの中に均衡(バランス)などないのだと言っているような気がするのだ。
秘密結社的な発想も、実は、イギリスが取り組んで果たせなかったのだと、もう子供じゃないんだから、秘密結社だの、Qアノンだの、ディープ・ステートだのバカなことは言ってるんじゃないと皮肉っているのだ。
「キングスマン」シリーズは、アクションやコメディ感もそうだが、実は裏読みがかなり楽しい。
ファースト”Manners maketh man”もありましたね!
そ、そうなんですね!ちょっと考えてみます。
ちなみに1月から始まったドラマでは「ミステリと言う勿れ」がピカイチだと思います。もうTVドラマも映画も変わんないんじゃないかってくらい・・・
ドクターホワイトはもちろん見ました(笑)
12月から仕事が忙しかったと言うより、稼げる時に稼いでおかなくては!と仕事しまくってました。
おかげでTVドラマ三昧…ドラマレビュー欄も作ってほしい…