エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へのレビュー・感想・評価
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旧来のクリエイティブ信仰など意にも介さぬ青春映画のアップデート
インタビュー記事で、本作の監督がジョン・ヒューズの青春映画がピンとこないと言っているのを読んだ。目からうろこが落ちた気がした。というのも、ジョン・ヒューズが生んだ青春学園映画を、すっかりタイムレスなジャンルのスタンダードだと思い込んでいたからだ。
この映画の主人公も、周りに溶け込めず、他人と関わる勇気がない思春期の女の子という、青春映画で繰り返し描かれてきた主人公像を描いているが、明らかに違うのは、自分自身の価値を見つける物語ではない、ということだと思う。
多くの青春映画だと、あれやこれやがありまして、主人公が自分の夢や本当にやりたいことを見つける、というのが大半のパターン。しかしこの娘には何もない。少なくとも今のところは。ユーチューバー活動も、クリエイティブな欲求からではなく、単に似たことをやっているユーチューバーの受け売りで、知性はあっても、独創性があるわけではない。
しかしそれがなんだというのだ。映画の主人公に選ばれるのは、光る才能を持った人間でないといけないのか? いや、そんなアンチテーゼというより、本作は、本当にフラットに、現代の青春の現実を描いているだけではないのか。年配者の凝り固まった先入観を、ガツンガツンとぶち壊してくれるような映画だ。
なりたいものに向かうその姿がクール
色んなことを思い出した
憧れていたものや人、それになりたいと試行錯誤したこと
本当の自分をみんなに見せなかったこと
グループが出来あがっているとこへ入る居心地の悪さ
プールでこれ出来る?ってよく知らない同級生と謎の技を見せ合いっこしたこと
強めな女子との上手い喋り方、絡み方
あの子と対等に話そうとして空回りしたこと
親からの視線や干渉が嫌だったこと
親の送迎に対して偉そうだったこと笑
将来自分の子供が自分みたいだったら嫌だと思ったこと
大人に見えた年上の男の人に幻滅したこと
大人になればぜーんぶかわいいって言える出来事
いつかわかる、あの時のあれこれ
親の心子知らずだなっていうのもわかる
なりたいものになることが正解か分からないけど
自分がこうなりたいと思ったものに向かっていく姿は
絶対に間違ってない
その姿が本当に最高にクール
以前ドラックストアで化粧品の販売をしていた時
お客様が鏡に向かって口紅を塗る姿って本当にかっこいいと眺めていました
あの数秒間は、綺麗になりたいって思いで唇に色を乗せている瞬間で
子供から年配の方、たまに男性の方もいましたが
みんながみんな100%真剣な眼差しなんです
ちょっと大袈裟だけど信念があるというか
タッチアップしてる人見かけたら見てほしいです
必ずみんな真剣でかっこいいし、美しいと思います
と、色んなことを思い出しました
米国版中学生日記
こういう等身大のティーンの物語が映画になったことが、これまでハリウッドではなかったようだ。たくさんの賞を受賞している。
今のティーンは大変。学校でのヒエラルキーはSNSがあると余計に明白だ。よほど自尊心が強くなければやっていけない。
主人公はシングルファザー家庭で自信のない子。でも、憧れのキラキラ高校生活を目前に控えてこれではいけないと自分を変えていく。最初は嫌々だったがイケてる女子のパーティにも出かけ、積極的に人と関わっていく。その結果、嫌なことにも出会うけれど、父親の愛情に気づいたり自分らしさを発見していくのだ。
主人公の女の子、ナチュラルにハマっていた。
主人公と同世代で同じ悩みを抱える人にオススメ
主人公の中学3年生にあたるケイラは学校では地味で大人しい存在。いわゆる陰キャである。
そんなケイラが学校では目立っている男子に恋をし、そして地味な自分を変えたく陽キャな女子達に近づき仲良くしようと試みる。
ただ陽キャな女子達はケイラの存在を無視し彼女に興味すら示さない。
恋をした男子もヤレるなら程度の目でしか見てくれない。
それでもケイラは自分を変えたく同世代の彼女らを諦め、4つ歳上のお姉さんお兄さん達と関わり自分を変えようとするがやはり本当の楽しさが生まれない。
そんなモヤモヤした気持ち、イライラした気持ちを1番の理解者である父親には強く当たってしまう。
最後は父親の存在の大切さを実感し、父との関係を見直し大切にし、そして自分と似た存在の友達と楽しく過ごすところで話は終わる。
こういう作品を見るとやはり自分も同じくらいの年齢の時を振り返ってしまう。僕の場合はケイラのような性格やクラスにおいてのキャラクターも対する存在だった為どこまで彼女の気持ちを共感共鳴できたかは分からないが、こういう作品を見てるともっとこういう子達の気持ちをこの年頃でも理解できていたらもっと違う友達関係も作れたのかなとしみじみ思ったりもする。
ケイラを拒否した陽キャの女子達も決して酷い言葉を浴びせたり、暴力をしたり直接なにか攻撃していじめをしているわけじゃない。ただただ彼女の存在を無視し関わりを持ちたくないといった様子である。
まぁこれは男子にはあまり見慣れない光景ではあるがこれはこれで分からなくもないんだよね。
いじめはもちろん良くない事だが、自分と対する人全てを理解し仲良くしようというのはあの年頃で求めるのも中々酷である。
だからといってケイラが悪いわけでもなく、彼女が必死に自分を変えようとする姿、気持ちも十分わかるから心が痛くなる。
またこの作品で1番好きなのは父親の存在。反抗期を抱える年頃でもあるケイラは父親に強く当たってしまうがそれでも父親は離れた距離を置き過ぎず、かと言って距離感を近過ぎず絶妙なバランスで彼女を支えていた。
これが離れ過ぎるとケイラのような年頃の女の子は非行に走ってしまう恐れもあるんだよね。
時には冷たく当られることがあってもやっぱり親子は親子。この父親の距離感の保ち方、そしてケイラに対する愛がとても美しかった。
最後はケイラは背伸びして友達関係を作ることは諦める。これが正しいか正しくないかはケースバイケースなんだと思うけど、僕なんかの中学時代の友達らを振り返ると大人になって同窓会なんかで顔合わせるとケイラみたいな地味な子が見た目も中身も綺麗になっていたりするんだよね。まぁ逆に非行に走ってしまったり、誤った明るさを追い求めてしまうと地味だった子が年相応ではない派手さなんかを持っていたり、少し痛い感じになってしまう場合もあったりする。
だからこそこの年頃の考え、気持ち、そして言動行動はの地の人生を考えるととても大切になってくる。
この作品でいえばケイラは無理をせずに自分自身を大切に、自分の事を大切にしてくれる人を大切にしようと至る結末となる。
これに関してはいくつになっても大切な人間関係の構築の基盤であろう。
こういう事を中々言葉で語っても分からない年頃である。
だからこそケイラと近い世代で同じ悩みを少なからず抱える人には強く勧めたい作品のように感じた。
思春期の痛〜いを味わう映画の傑作。
裏庭で焚き火のシーンから滂沱の涙。中2だよ?中2で自分の挫折の弔いができる女の子だよ?すごいよ?そら父勇気もらえるよ?
わたしは中2の娘がいてもおかしくない年齢だから父の気持ちもわかるし、かつての人気者なりたいけどなれそうにもないって知ってた中2女子だったからケイラの葛藤もわかる。
みっともない自分に振り回されながら夢中で過ごしていたら、いつしかみっともなかったはずの幼い自分の輝きに気付く。ケイラもいつか。それが大人になるってことじゃないかと思う。
思春期の子が、自分をコントロールできなくてもがく話が大好きで、これもその部類のやつです。
思春期を遠くすぎても、わたしの中にいる思春期の女の子が騒ぐのです。
13才の健気さ、まじめさ、危なっかしさ
中学卒業を間近にひかえてケイラは毎日がんばっている。
YouTubeに投稿する動画は全然見てもらえない。かわいいけど感じの悪い女子にがんばって話しかける、歓迎されないプールパーティーに参加する、片想いの男子にアタックする。
どうすればうまくいくんだろう、そんなことばかり考えて日々緊張する。
一人娘を温かく見守る父親は心配して声をかけるが、娘は素直に反応できない。でも父親の気持ちはちゃんとわかっている。
そんな13才の健気さ、まじめさ、危なっかしさをエルシー・フィッシャーがまっすぐに演じている。
大作でない映画のよさに満ちている。
すばらしかった
主人公の女の子の水着姿が痛々しくて見ていられない。特に背中の肉がはみ出している感じが生々しくて、運動を全然しないでたるみ切っている。どんなに運動が苦手でも、若い時に体をいくらかでも動かしていた方がいいなと痛感させられる。顔もブツブツでかわいそうになる。水着パーティなんて明らかに場違いで、イケメンの男子を好きになるのも身の丈に合わない。そして高校生の変な男に軽く迫られるのも、地獄だ。
お父さんが野暮ったいせいで、娘も鈍くさいみたいな感じで、身もふたもなく描かれていたのだけど、お父さんが主人公のケイラへの思いを語る場面が泣ける。クラスのエースの女子に、言ってやった場面も最高だった。
応援させて
ハーイ、ケイラ!
あなたを置いていったママです。
中学卒業おめでとう。
聞いたわよ、most quiet賞に選ばれたんだって? そんな賞があるのにもママは驚きました。
つらいね、ほんと、そういうの。
でもあなたは何ごとも他人のせいにしないところが、ママはえらいと思うの。
高校に行ったら、あなたはまたいろいろな経験をするでしょう。悲しいこともあれば、腹が立つこともあるでしょう。
あなたがつらい時には、抱きしめてあげたいけれど、わたしは遠くにいるから、それはできません。
でも覚えてて、ママはいつでもあなたのことを思っているよ。忘れてなんかいないから。
こうして離れて暮らしていても、ママの心はケイラ、あなたをとても愛おしく思っています。
ケネディのいとこのゲイブ、少し変わってるけど、面白いんじゃない?
マークはしょうがないわね、ノックもしないで毎晩お休みを言いに来るなんて。ウザいと思うけど、勘弁してやって(家を出たわたしが言うのもアレだけど)。
それじゃ、そろそろこのへんで、
グッチ。
幅広い年代に観てほしい。
日本で言えば中学二年生の年代の女の子が
見た目がイケてるかイケてないのかが全ての
自意識過剰びんびんの中二病エイジ真っ只中。
イケてる側もイケテない側も今から思えば
どっちもかっこ悪くて
観ててあるあるなんだけど
今の私とあんまり変わってなくて胸が痛む。
自信がないからイケてないと思い込んで
心の中は虚栄心で忙しくて...。
途中ギョッとしたりハラハラしたけど
妻に逃げられたシングルファーザーの
お父ちゃんに泣けた。
とっても心が温かく幸せな気持ちになれた。
美男美女の絵に描いたような青春映画でなくて
年齢を問わず見てほしい作品。
観る側に、何かを感じ取る感性が必要な作品のようです
ポスターの絵に何となく惹かれて鑑賞しました。
大人になりつつある少女の、繊細な心の変化や動きを感じ取れる作品かと思って観たのですが、どうにも入り込めませんでした。
異文化の壁
年代の壁
この2つの壁が大きすぎて
乗り越えられずに墜落した感じです。
感じたことといえば
・アメリカの学校は小中学校が8年間(エイス・グレードは最上級生なのか)
・銃声が聞こえた時の対処を教えていること。
・学校の中で、あんなにスマホ使い放題なの?
・アメリカの高校生は夜中に車を運転するのが当たり前なの?
そうか、これはアメリカ版中学生日記なんだ。
と閃いて、なんか納得。
ラスト近くに主人公の子が、スマホから顔を話さない同級生に向かって
「手紙もらったらありがとうって言いなさいよ」
と勇気を振り絞って言った場面。そこは理解可能でした。
観る側にも何かを感じ取る感性が必要。
そういう作品かと思いました。
映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
ミドルスクール卒業間近に最も無口で賞をもらったイケてない女の子の奮...
ミドルスクール卒業間近に最も無口で賞をもらったイケてない女の子の奮闘記。
SNSが当たり前に存在する今のローティーンならではの青春劇。
自分を変えようと空回りする主人公の行動が時に痛々しく滑稽の感じる。
が、その健気さが愛らしい。
演じている娘の魅力と身体的な欠点(ニキビだらけの素顔やちょいポチャな体形)をさらけ出す勇気に、エールを送りたい。
頼りなげだが深い愛情を捧ぐ父親の存在が◎
実状を知ってる訳ではないが、結構リアルなアメリカの思春期劇だと思う。
Gucci!
陰キャの青春リアリティ。今ならパパの愛情が痛いほどわかる。
少し前なら、主人公のケイラだけに感情移入してこの映画を見た気がするのだけれど、今となってはケイラのパパの気持ちまでわかる気がして、全編にわたって胸が張り裂けそうだった。ただでさえ、共感性羞恥を刺激するような「陰キャあるある」で溢れたこの映画。プールパーティーでのバツの悪さや、年上グループに一人混ざった時の所在なさ。意中の相手の前での不器用なアプローチ・・・と、青春時代をただの陽キャでは過ごせなかった人なら逃げ出したくなるようなシーンが連続する。ケイラを演じたエルシー・フィッシャーの水着からあふれる贅肉のリアリティも含め(多感な年齢でよくあれを演じたものだ)、あの決まりの悪さをここまでリアルに表現した映画って、なかなかなかったと思うし、青春ってのは、キラキラ眩しいものじゃなくて、ボロボロに傷ついてしごく切ないものだっていうことを思い出す。この映画は、ケイラの気持ちで見てもパパの気持ちで見ても、そういった青春の痛みや切なさがしかと感じられて、その上で凄く良い映画だったなと思う。
日本とは治安や法制度が異なるアメリカだと、子どもを一人で外出させてはいけない法律があったりするし(小さい子どもだと家で一人で留守番させてもいけない)、特に西海岸だと車社会なので免許を持たないうちは友達と遊びに出かけるだけでも親に車で送迎してもらわなければならなかったりして。ということはつまり、親には子供がどのくらいの頻度で友人に会い、その友人がどんな子で、夜何時まで外出を許しているのか・・・なんてことがすべて筒抜け状態になってしまう。そんな中で、子の友人関係があまり良好ではない時に、それまでもが親には簡単にわかってしまうのだ。ケイラがパパに対して冷たく当たるのは、思春期の苛立ちもそうだけれど、友達がいないことや学校が楽しくないことがバレたくないという、彼女なりの必死な防衛本能だったりもするのだと思う。そしてそれは決して彼女自身のプライドのためではなく、自分を心から愛してくれる父親を失望させてはならないという健気な献身でもある。
一方で父親の方も、ましてや相手が娘なら、どこまで接近していいかどこまで離れるべきかも考えながら、ウザがられながらでも娘を守らなければならない義務がある。泣きながら帰宅し自室に閉じこもった娘を、放っておくのが正しいのだと分かっていても、あえて「放っておいて!」と言われるために扉をノックしなければならない時が親にはある。そんな葛藤が、ケイラのパパからは常ににじみ出る。娘がバナナを嫌いだとわざわざスマホアプリにメモしていたり、ショッピングモールでこっそり娘の様子をうかがっていたり・・・。娘の立場で考えればどう贔屓目に見たってウザい父親だ。でも親はウザがられても子を視界に入れていなければならないし、我が子があまり友人関係でうまく行っていないと気づいても気づかない振りで「お前はクールだ」と言ってあげたいと思うものだ。仮にそれが子のプレッシャーになるとしても。
そんな二人の葛藤が、あのタイムカプセルを燃やすシーンでついに溶解される。私はこのシーンでうっかり泣いてしまった。二人の気持ちが良く分かってしまって。父と娘は決してすれ違っていたわけではなく、ただ思い合っていただけだと分かる素敵なシーンだったから。
少し前なら、私は主人公のケイラだけに感情移入してこの映画を見た気がするし、それでも満足だった気もする。だけど今なら、今だから、ケイラのパパの気持ちも分かる気がする。そして私が学生当時の両親の気持ちも少しわかるかもしれないと思う。前までは青春映画なんて興味もなかったのに、最近になって急に青春映画が胸に響くのは、主人公を我が子のように思うからかもしれないし、かつての自分のように思うからかもしれない。だから青春の痛みにあがく主人公を抱きしめて「その気持ち、わかるよ」と言ってあげたくなる。
私には子供がいないし、年齢でいえばケイラとパパのちょうど中間あたりだろう。そんな今このタイミングだからこそ、やけに青春映画が胸にしみる。そして自分が親にちゃんと愛されていたことを十数年遅れでひしひしと実感する。
ティーンエイジャー
一番自分が分からなくて、何者なのかと戦い、友達や仲間を意識し、影響を受ける時期。
世代、時代は変わっても、ティーンエイジャーという難しい年頃はいつの時代も本質的には変わらない。
親との関わり、友達、仲間、彼氏彼女、初体験、、、
とくに初体験に関してのあるあるで、
年上の男の子から誘われて
そこで、思い切って手解きを受けるか否か、、、
彼女の選択は賢かった。
すべて自分もあったあったと重ね合わせて鑑賞できた。
自分の子どももあと数年したら難しい年ごろになるので、しっかり向き合っていきたいと思う。
お父さん、とても素敵だった。
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