「主人公と同世代で同じ悩みを抱える人にオススメ」エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公と同世代で同じ悩みを抱える人にオススメ
主人公の中学3年生にあたるケイラは学校では地味で大人しい存在。いわゆる陰キャである。
そんなケイラが学校では目立っている男子に恋をし、そして地味な自分を変えたく陽キャな女子達に近づき仲良くしようと試みる。
ただ陽キャな女子達はケイラの存在を無視し彼女に興味すら示さない。
恋をした男子もヤレるなら程度の目でしか見てくれない。
それでもケイラは自分を変えたく同世代の彼女らを諦め、4つ歳上のお姉さんお兄さん達と関わり自分を変えようとするがやはり本当の楽しさが生まれない。
そんなモヤモヤした気持ち、イライラした気持ちを1番の理解者である父親には強く当たってしまう。
最後は父親の存在の大切さを実感し、父との関係を見直し大切にし、そして自分と似た存在の友達と楽しく過ごすところで話は終わる。
こういう作品を見るとやはり自分も同じくらいの年齢の時を振り返ってしまう。僕の場合はケイラのような性格やクラスにおいてのキャラクターも対する存在だった為どこまで彼女の気持ちを共感共鳴できたかは分からないが、こういう作品を見てるともっとこういう子達の気持ちをこの年頃でも理解できていたらもっと違う友達関係も作れたのかなとしみじみ思ったりもする。
ケイラを拒否した陽キャの女子達も決して酷い言葉を浴びせたり、暴力をしたり直接なにか攻撃していじめをしているわけじゃない。ただただ彼女の存在を無視し関わりを持ちたくないといった様子である。
まぁこれは男子にはあまり見慣れない光景ではあるがこれはこれで分からなくもないんだよね。
いじめはもちろん良くない事だが、自分と対する人全てを理解し仲良くしようというのはあの年頃で求めるのも中々酷である。
だからといってケイラが悪いわけでもなく、彼女が必死に自分を変えようとする姿、気持ちも十分わかるから心が痛くなる。
またこの作品で1番好きなのは父親の存在。反抗期を抱える年頃でもあるケイラは父親に強く当たってしまうがそれでも父親は離れた距離を置き過ぎず、かと言って距離感を近過ぎず絶妙なバランスで彼女を支えていた。
これが離れ過ぎるとケイラのような年頃の女の子は非行に走ってしまう恐れもあるんだよね。
時には冷たく当られることがあってもやっぱり親子は親子。この父親の距離感の保ち方、そしてケイラに対する愛がとても美しかった。
最後はケイラは背伸びして友達関係を作ることは諦める。これが正しいか正しくないかはケースバイケースなんだと思うけど、僕なんかの中学時代の友達らを振り返ると大人になって同窓会なんかで顔合わせるとケイラみたいな地味な子が見た目も中身も綺麗になっていたりするんだよね。まぁ逆に非行に走ってしまったり、誤った明るさを追い求めてしまうと地味だった子が年相応ではない派手さなんかを持っていたり、少し痛い感じになってしまう場合もあったりする。
だからこそこの年頃の考え、気持ち、そして言動行動はの地の人生を考えるととても大切になってくる。
この作品でいえばケイラは無理をせずに自分自身を大切に、自分の事を大切にしてくれる人を大切にしようと至る結末となる。
これに関してはいくつになっても大切な人間関係の構築の基盤であろう。
こういう事を中々言葉で語っても分からない年頃である。
だからこそケイラと近い世代で同じ悩みを少なからず抱える人には強く勧めたい作品のように感じた。