ハイ・ライフのレビュー・感想・評価
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タブーへの挑戦
人類の種の保存のために「閉じた世界」に送り込まれた男女。地球の社会に馴染めなかった反骨者たち。
だが、タブーがタブーでなくなっている「閉じた世界」では、彼らは抗いながらも支配に屈している。主人公を除いて。
主人公だけはここでも反骨者であり、「個人」の尊厳を貫いていた。
冒頭で赤ちゃんのウィローに教える。
「排泄物を食べたらダメだよ。タブーなんだ。」
社会と個人の間に横たわるタブーへの挑戦。ところがタブーに挑めばそこに隠れていた矛盾は自分に返ってくる。その矛盾を引き受けないかぎり反骨者にはなれない。
犬のように繁殖しなければ、人類の種は絶たれる。近親相姦か種の保存か。最大の難問が突き付けられる。
そこで、ウィローだけが「社会」と「個人」の間に走った亀裂をつなぐことができた。
美しいオレンジ色の帯の向こう側には、我々の分離した思考をひとつに包むような解決策が存在しているに違いない。
ウィローのように、人類の叡智を超えた宇宙の智慧を受信することがハイライフ(至高の人生)かもしれない。
いろんな教養がないと楽しめないヤツだったね。しょーがない。 なんだ...
いろんな教養がないと楽しめないヤツだったね。しょーがない。
なんだか全体的に見てはいけないものを見てる気になる。目を逸らしたくなるような事が起きるんじゃないか?という不安が付きまとう感じ。
赤ちゃんの可愛さとジュリエットビノシュのいやらしさを堪能しました。
熟女コンビの謎
ジュリエット・ビノッシュ(55歳)主演作品をハシゴ。そのひとつがクレール・ドニ監督(69歳女性)のハイ・ライフ。
SFもののようだが、内容的には妥当性や先進性はほとんどない。宇宙船を舞台に用いたに過ぎない。音響は全体を通して無音に近い。赤ん坊の泣き声だけが響く異様な前半。宇宙船内のプランターの植物や果実の映像、主人公のモンテ(ロバート・パティンソン)の地球での追想映像、赤ん坊の描写もゆっくりで、この映画の基調である。
だんだんこちらも慣れる。
記録報告すると生命維持システムが24時間延長してもらえる。
本当かよ!
設定だから仕方ない。
ビノシュ演じる女性科学者?(女医?)は宇宙船では事実上の管理者で、この宇宙実験室の使命を担っている支配者だ。彼女が地上の支配者から命ぜられた任務の内容は明らかにはされておらず、ある程度彼女にまかせられている設定。自分じゃ産まない女王蜂。男性乗務員には精液を提供させ、報酬として錠剤を与える。女性乗組員に人工受精(スポイトで精液を子宮近くに注入)を行う。この支配者に抵抗し、自分で膣洗浄する女に「無駄なことはしなさんな」と言う場面から察するに、そう考える。とにかく、細かい説明的なセリフはほとんどない。あれだけの人数の乗務員がいながら、食事する場面もない。いろいろな映画サイトのネタバレ解説では宇宙での妊娠中の宇宙線の影響を調べるとか書かれているが、生殖医療の技術が低すぎ。この点では、
ヒキタさん、ご懐妊ですよの勝ち❗
単に放射線の影響なら、地上でも可能だ。無重力状態での器官発生への影響の方が興味深いが、この映画とは関係無い。ビノシュを含め、乗組員全員が死刑囚であることや乗務員同士のセックス禁止、オナニー推奨(特別室あり)など異様な設定。女医は自分の夫と子供を殺した過去があるらしい。乗組員に生ませた子供に対する母性愛は十分あるが、極度に自己チューで、狂っている。
まぁ、観念的な映画なのである。
それを先進国の映画としてどう評価するかで、大きく意見や評価が別れるのだろう。
ジュリエット・ビノッシュはフランスを代表する実力派女優だ。年齢も55歳だ。この映画の見せ場はビノッシュがその背中、腰で魅せるエロチシズムだと思う。特製オナニーマシンのステンレス製の冷たい無機質な突起に紫色のスキンを被せるシーンから始まる。ハガネの女優魂を感じる。もちろん、日々のお手入れ、エクササイズの賜物に違いない。
クレール・ドニ監督がジュリエット・ビノシュを使って自分の為に作ったオナニー映画だと思う。人類の未来とか、空洞化する社会とブラックホールを重ねたとか想像しても始まらない気がした。大袈裟な異空間と不条理なルールを思い付いたら、作りたくてしょうがなくなったのではないか。ジュリエット・ビノシュは美しき共謀者となることで、監督に貸しを作ったか? 元々この二人の関係はどんなものなのか? 謎だ。
根源的SF神話
宇宙船内という密室に、男と赤ん坊がひとり。
...という状況から物語が始まり、「あれ?予告編で見たはずのジュリエット・ビノシュはいつ出てくんの?他の人は?」となりながら、ロバート・パティンソンの地道な宇宙子育てをしばらく見せられる(唐突に入る過去のフラッシュバックつき)。
そして他の乗組員だったはずの人びとが「遺棄」されて、ようやくそれ以前の物語が描かれる。
ことばで得られる情報量が極めて少ないのだが、宇宙船でブラックホールを目指し、そして生殖を求められる「囚人」たち。まあ究極の密室ですよね。
設定的には極めて安直(すみません)というか...宇宙、密室、生殖、性、罪、というキーワード。こんだけ詰め込めばもっと破茶滅茶になってもおかしくはないのだが、「女王」的に君臨するジュリエット・ビノシュがとにかくやばい。
白衣着てても謎の色気全開。謎のボックスで髪を振り乱すジュリエット・ビノシュ...艶かしいというかもはや恐怖に近い何かを感じる。
対して非常に禁欲的に生きるロバート・パティンソン。彼は彼でなんだかさっぱり分からぬ存在である。なんでそんな禁欲的なのか。そしてなぜか上半身脱いで歩き回る男性陣。
長期間変わらぬ風景の密室に居たらひとはおかしくなるというのは世の常識である。当然、皆どこかおかしくなり、軋轢が生じ...。
自由自在に動き回る時間軸を使って好きなように描いたSF密室劇!という感じ。どことなく古代ギリシャ的な...ギリシア神話とかギリシア悲劇的な匂いを感じる。特に男とその娘が残り、ラストに向かう辺り。
登場人物のバックグラウンドもさっぱり提示されないので、物語的には何がなんだかな部分が多分に含まれるのだが、「人の根源」みたいなものに肉薄したSFという気がする。生きものとしての人間の艶かしさ。喘ぎ、泣き、血を流し、土に還る。
未だによくわからない映画でした。
いくつか賞をとっているので少し期待して観ましたが、よくわからない映画でした。
賛否両論あるようですが、これはこれとしてひとつの作品なのでしょう。
私の映画の理解能力では非情に難しい作品でした。。。。
期待し過ぎたかな?
ミア・ゴスをはじめ、割りと好みのキャストだったので期待してしまった。
最初はグッと引き込まれて、物語が進むにつれ…はい、それでどうなるの?うん、過去にはそんな事もあったのね、それでどうなるの?…の連鎖で段々とこちらの意識が朦朧としてきました。
見所はジュリエット・ビノシュのエロティックなこと!初っぱなから白衣なのにこの色気は何?って感じ。そしてあの髪は地毛なのでしょうか?美しくて素晴らしい。観る価値あります。
宇宙空間と男女と性と罪と
2001年宇宙の旅を彷彿とさせるような均整のとれた美しい閉鎖空間
特にファッションや主舞台となる宇宙船内部のセットが、「閉鎖空間での臨床実験」という設定と相まって、非常に得体のしれない感じを演出していて、それが非常に美しい
また、宇宙船または宇宙空間での「音」についても非常に宇宙的な響きがあり、無常観を出していてよい
画面と音に関しては非常に気に入りました!
シナリオに関してはエンターテイメント的なプロットが弱いため、サスペンス的な楽しみ方をしようとすると肩透かしを食らう
閉鎖空間で、無限の時間を前にした男女が「性」と「罪」を抱えてどう生きていていくのか
視聴者は自身の経験にある「性」と「罪」とを照らしながら、ラストシーンがハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、それぞれが異なるストーリーを紡ぐだろう
イライラの果てに待つもの
随分、観念的でチャレンジングな作品だなと感じた。
おそらく、SFというジャンルは方便で、人類や地球の行末などを象徴的に描きたかったのではないだろうか。
船内のものを宇宙に放り出すと、コンピュータが、「生命維持が24時間伸びました」と報告する場面は、何十年と続く旅で、24時間にどんな意味があるの?と苦笑しそうになる。
しかし、ふと考えると、世界中でパッチワークをするようで、根本的な議論が進まない温暖化対策なども想起され、やはり少し笑ってしまう。
そういう意味では、この船は、地球を意味しているのだろうか。
また、女性医師の試みは、僕たちが知り得ない世界中のあちこちで行われている何らかの実験などを指すのだろうか。
先般、中国の医師が、遺伝子操作ベビーを誕生させたというニュースが報じられたことは記憶に新しく、背筋が寒くなったことが思い出される。
クルーは、僕たちなのだろうか。
日々の揉め事は、あちこちで起こる争いごとを表しているのだろうか。
そして、いずれ、人類の多くは死に絶え、汚染された環境で生き続けられるのは、ごく僅かな者たちで、それさえも間もなく死に向かうのだという事を、エンディングのモンテ親子がブラックホールに向かう場面で表したかったのだろうか。
科学の進歩で生活は便利にはなったが、環境汚染は激しい。
民主主義の進まない独裁的な国や地域で、もし遺伝子操作された子供が沢山生まれたら、世界はどうなるだろか。
観念的な神は否定され、宗教的なもののみならず、僕たちの道徳観もないがしろにされるのだろうか。
思考を巡らすと、色々と考えさせられる。
しかし、映画の中のクルーの人間性や、利己的な行動もあり、映画の最中は、思考を妨げられ、観る側にイライラは募るばかりだ。
また、僕たちの中途半端な科学的知識も思考を妨げるように感じる。
科学考証をかなり抑え、僕たちに、所謂「突っ込みどころ満載」にすることによって、ワザとこの映画の論点や焦点をずらして、敢えて、僕たちをイライラさせてるようにさえ感じられる。
本当に無重力じゃなくて大丈夫?とか、宇宙空間に放り出した遺体を長いこと眺められないでしょ?とか、小型宇宙船にカバーかけなくちゃなんないの?とか(笑)。
日々メディアやネット上で交わされる、思考のフィルターを通さない直情的なやり取りに辟易するようでもある。
そんな浅薄な知識で、上っ面だけで議論してて大丈夫なの?という僕たちに対するメッセージなのだろうか。
きっと、これは、世界中に蔓延しているイライラと同じだ。
僕たちの生きる世界は、船内に凝縮された世界とさほど違いはないのかもしれない。
ただ、僕はそれ程、悲観的ではない。24時間の積み重ねは、長い年月に繋がる可能性を内包してるからだ。
どちらかといえば、悲観的楽観主義だ。
受精
宇宙空間を進む船の中、閉ざされた空間の中での人間関係や異常な実験には敢えて強くスポットを当てていないので、独特の空気感があり何がしたいのかよく分からない。
起承転結ははっきりしないしハラハラドキドキするようなタイプではないけれど、展開が常に予想外なので興味深く面白く観られた。
無機質なモチーフの船内、わざとらしいくらいみずみずしい庭やリサイクルされる水や快楽のボックスがあって、その有機的な空間にホッとできる。
あの快楽のボックスはどんな仕組みなんだろう。
その人に合わせて変化するのかな。脳に何か作用しているのか、きちんと物理的に充実きているのか。吐き出される液体の意味とは。
ディプスのパワフルな耽りかたが好き。
いくらなんでも重力が安定しすぎなことに違和感はありつつ。
宇宙空間に詳しくないけど、どれくらいの速度でどれくらい動いたらあんなに安定するの。ハシゴ登る時にもっとフワッとしてもいいんじゃないの。
きっと宇宙空間そのもののリアリティというより、完全に閉ざされた行き場のない空間であるという認識が重要なんだと思う。
しかし宇宙じゃないと成り立たないことも多いので、この設定はやはり秀逸。
ボイジーの「ゴボッ」がもう大好き。なるほどああなるのね。
タイトルのバックの衝撃的な映像もすごく良い。
もしかしたら今生きている遥か上の方、宇宙のどこかであんな風に漂っているかもなんて考えるともぞもぞして堪らない。
ああはなりなたくないわ。
慢性的な絶望感が心地良い。
明らかに希望なんてない状況なのに新しい生命は希望的な言葉をよく口にするのが面白い。
タブーなんて理解できない頃からタブーを伝えていたのに。
二人の行く末を想像しても頭にモヤがかかったようになってしまうけれど。
船のナンバリングが意味深。あの間や前、後にもあるのかな。
ブラックホールに吸い込まれる星や塵が受精のように見えた。
宇宙で子育て
オープニングタイトルの映像が良くて全体的に好みな雰囲気のLOOKかと思いきや、美術的にも驚かされるような斬新なモノは無く、宇宙にいる感じも微妙に薄れる。
腑に落ちない理由での殺し合い?など、興味が持続する明確な物語が欲しかった!?
地味に続く映像、もう少し官能的なシーンや斬新な演出描写など、足らないと思う中途半端な出来。
宇宙を舞台にした説得力がないのでは?
久しぶりの一つ星以下の映画
久しぶりの一つ星以下の映画。それに尽きます。何よりも品がない。時間とお金をムダにしてしまいました。よくこんなものを配給するつもりになったと関心しました。
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