「陳腐化した劣化版「最強のふたり」」THE UPSIDE 最強のふたり S Hさんの映画レビュー(感想・評価)
陳腐化した劣化版「最強のふたり」
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流石はハリウッドと言う事で、リメイク元にはなかった“感動的な演出”をするのは非常に上手いです。
しかし、これが実に陳腐。
原作ではドリス(今作ではデル)が、フィリップの事を徹頭徹尾障害者として扱いながらも一切容赦なく“対等の人間”として扱うので、そこに障碍者への憐れみや同情が存在せず、だからこそドリスという人間の公平さと、そんなドリスにだからこそ心を許したフィリップの関係性が静かな感動を呼び起こしました。
映画として、フィリップは可愛そうな障害者ではなかったのです。
だからこそ、五体満足ではあるものの教養の無い犯罪者予備軍と、金持ちで教養人だが障害者という全く正反対に存在する二人が当たり前のように共にある日常がそれだけで感動的だった訳です。
ところが今作ではフィリップとデルが心を通じ合わせた事等を感動的に演出する為に、フィリップやデルの生い立ちや過去などを感動的な演出で紹介し、“フィリップ可愛そうだよね”“その境遇に怒るデルいい人だよね”という実に陳腐極まりない『お涙頂戴シーン』が盛り込まれてしまいました。
原作レイプとはこの事ではないでしょうか?「最強のふたり」はそういう陳腐なお涙頂戴映画では無かったのに。
こんな陳腐なリメイクをするくらいなら、障害者を題材にした全く別のお話でも作ればよかったのにと思わざるを得ません。
結局、監督が自分では面白い話を作り出せないからリメイクという体で原作を借りて自分流の映画を作ったという事なんでしょう。許し難い映画です。
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