SHADOW 影武者のレビュー・感想・評価
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琴の音が激しく、ときに艶かしく、悲しく…
どんでん返しのどんでん返し。。殿はバカ殿だけど、都督も相当ゲスい。影武者を子供の頃に助けたことから、自分を守るため、敵を倒すためにだけ育て、人として扱わず、妻との関係を怪しみ、覗き見る悪趣味。ラスト、妻を影武者に任せたかと思いきや、やはり影武者を殺そうとしていたとは妻とのことを相当嫉妬していたと。影武者は王になるのだろうけど、ここまでやれば権利あり。妻との関係は分からないけど。妻は最後扉の前まで走り、何を見た、思ったのだろうか。戦闘シーンの雨水、傘を武器として使う映像は綺麗。ダン・チャオが都督と影武者を演じているが、顔が全く違って見え、似てるとも思えなかった。妻役スン・リーは美しい。
陰で陽を制すれば攻略できる
映画「SHADOW 影武者」(チャン・イーモウ監督)から。
白黒を基調に、映像美はさすがだったが、
気になる一言をメモしている私にとっては、
期待が大きかった分、消化不良として観終わった。
相手の絶対的な力強さの前に、
「楊家(ヤン)の刀術は豪壮な陽の質だ。
女人の動きで傘を使い、雨水で滑らせ、
陰で陽を制すれば攻略できる」と戦術を立てるのだが、
これもまた、戦いにありがちな作戦ではないか。
相手の力をまともに受けるのではなく、
力を逃して、その力を利用しながら、戦うこと、
それが「白と黒」の映像に通じるものかもしれない。
とにかく「剛・柔」「主・影」「男・女」など、
全体的な構成に「対」を意識したものとなった。
反対の立場になってみることの大切さ、
そんなことを教えてもらった気がする作品だった。
伝統芸能傘回し
市川崑の「幸福」などの銀残しの映像に似た色彩だが、今はおそらくデジタル処理で加工しているのだろうな。
修行中は普通の傘だったので、あれでは防御はできても防戦一方ではないかと危惧していたら、対決のシーンでいきなり金属製の飛び道具に変貌していた。相手方のごつい刀も強烈だが、いやいや飛び道具は卑怯ではないか。未見だが大昔の3D映画「空飛ぶ十字剣」を思い出した。そのほかにも、アクアラングもどきが出てきたり、傘軍団が回転しながら滑走したりと、珍妙なシーンが相次ぐ。
張藝謀は最近こんな映画ばかり作っているが、「あの子を探して」みたいな素朴な作品はもう手がけないのだろうか。
白と黒の濃淡がとにかく美しい
まるで水墨画のような白黒の濃淡が美しい映像と、チャン・イーモウらしいアクションシーンの美学を堪能。アクション映画は本来ちょっと苦手なのだけれど、「HERO」「LOVERS」を撮ったチャン・イーモウの映画なら見たいと思わせてくれるし、東洋の美しさを映像に打ち出してくれるので、東洋人として誇らしく思えてくる。本当に綺麗。
一方、三国志をベースにしているというストーリーに関しては、内容がすごく漫画的に思えてしまって、三国志に詳しくないので比較はしないが、ストーリーが撮りたい映像と撮りたいアクションシーンの二の次に回されている感じが否めなかった。クライマックスとも言える終盤のアクションシーンの盛り上がりも、登場人物それぞれの思いが沸点に達するところまで描ききれないままの状態で始まってしまったような感じがあり、こちらとしての思いが乗り切らないような気もしてしまったし、同時進行で複数箇所でのアクションシーンを描くストーリー展開というか演出になっていたので、ひとつひとつのアクションが切り刻まれて都度呼吸が途切れてしまうなという感じもした(同時進行ゆえの緊張感やスピード感や視覚的な華やぎはあったかもしれないけれど)。
なのであまりストーリーが残る作品ではなかったけれど、とにかく映像だけは本当に美しくて終始魅了され続けて、結果もうそれで十分なのではないか?と思うほどだった。
個人的にチャン・イーモウにはラブストーリーが似合うと思う。アクションとラブストーリーが絡み合う瞬間の「きゅん」な感じが、チャン・イーモウ作品を愛してしまう個人的な理由かもしれないと思う。あくまで個人的だが。
私は好き
三国志と聞いてレッドクリフのノリで見ると肩透かしを食らうかもしれない。中華版バーフバリってレビューを何件か見たけど、間違いではない。バーフバリ的な意味でちょっと面白い(一周まわって感心した)シーンもあったことはあった。
あまりよく調べないで観に行って気づいたけどこの作品のベースは奇書の方じゃなくて史実の方だということと、ベースにしてるだけだから登場する国名も人名も三国志のそれとは全く違うってこと。(まあ、関羽っぽい人とか周瑜っぽい人とか出てきたけどね。)
話はかなり薄め(?)な感じに思ったけど逆に話をこれ以上複雑にすると重たすぎるし中途半端になるような気もするから結果これで良かったんじゃないかと。(孫呉VS関羽荊州軍の話は本で読んで知っていたから最初から最後まで何となく読めてたってのはある)あと個人的に仕掛け扉と隠れ家と武器かっこよすぎたし憧れる。家に欲しい。
鈍重
予告に騙された。
物語のテイストも嫌いだし、韓流時代劇って言うのかな?どおにも疑問符ばかりが頭に浮かぶ…。そもそもが俺に合わないのかも知れないが、感性が理解しきれない。
なんかもう御都合主義的な解釈の目白押しだし、何より展開が鈍い。
飽きる。
たっぷりやった割には、さほど目新しい事もなく裏切られる事もない。
傘の戦闘を伝授するシーンとかアホかとしか言いようがない。
自分と一緒に動けという。肌を重ねればより動きが分かるとか、なんとか。
古今東西そんな理屈が通るわけがない。
で、一回上手くいったからもう大丈夫!的な流れとか…演出の都合を押し付けられまくりだ。
今回は鉄の傘を用意したなんて事になってたんだけど、じゃ何か?それまではあんな重たい槍相手に竹の傘で挑んでたのか?
馬鹿だろ?
しかも最後は無手の相手にその傘が全く役に立ってなかったり…色々破綻してる。
絶大なる尊敬を得ていた都督は、ただの傲慢て横暴なクソ野郎にしか見えてこない。
隠遁してからたった1年だぞ?お前の威厳はいったいドコあったんだ?
その都督に忠誠を尽くした影武者は、結局都督を殺すし。
韓国の「義」の概念が意味不明だ。
お前、結局裏切ってんじゃんと思う。
そこに至るまでの確執は描かれてはいるものの、その際の憤りはほぼ描かれず、表面的には平身低頭、従順な奴隷のような素振りだ。
国民性にまで言及するのは行き過ぎかとも思うが、少なくともこの監督の中では成立しているのだと思われる。
たぶん好きな人は好きなのだろうけど、俺にはこれっぽっちも合わなかった。
序盤からずっとずーーっとイライラしてた。期待値が高かった故の事だと思う。
ただ、物語と概念以外は凄い良かった。衣装や小道具、セットやロケーションまで。
役者の芝居もアクションも堂々たるものだ。
誰がどお見ても一級品。
最初のタイトルが「墨」のような表現で、作品自体には水墨画のような印象がある。
物語中はずっと雨。
意図的な配置だと思うし、高い芸術性も窺えはするが、作品が1ミリも面白くなかった。
なんなら美術監督とかデザイナーに成ればいいのに…。
あー、つまんなかった!!
☆2.0にしようかと思ってたのだけど、間違って☆1.5にしてしまった。
だけど、別に直す事もないかと思える作品だった。
画面は凝っているが、まどろっこしい武侠映画
三国志時代(戦国時代)の中国。
小国ペイは、強国・炎に国境の地・境州を実効支配によって奪われたまま。
若き王(チェン・カイ)は炎国と和平を結んでいるため、境州を実力で取り戻す意思はない。
そんなとき、ペイの重臣・都督(ダン・チャオ)は炎国国王の誕生日の祝いの席に出席し、境州を支配している将軍・楊と対決を申し込んでくる・・・
というところから始まる物語で、この都督が実は影武者、本物の都督はかつての楊との対決の傷がもとで体を悪くし、姿を隠して、影武者を身代わりに立てていた・・・という話。
だが、とにかく前半の1時間ほどがまどろっこしくて、帰っちゃおうかと思うほど。
墨絵風の黒白の画面構成は初めから登場し、全編を覆っているが、物語の始まりはペイの王宮のセットで展開されるので、目を見張るまではいかない。
さらに、隠遁生活を送っている本物の棲み処もセット然として興を殺ぐ。
で、面白くなるのは、影武者が境州に行ってからになるわけで、ほんと、そこまではツマラナイ。
そこから先は結構、ドラマも展開し、アクションもあるので愉しめるのだけれど。
とはいえ、ひとが変わった後の張藝謀監督、やっぱり面白いというほどではありませんでした。
ビックリしたのは2点。
エンドクレジットのスタッフがとても多い。
たぶん、ものすごい大作なのだろう(そんな感じはしないが)。
都督の本物と影武者、本物は傷がいえずに痩せ細ろえている。
役者は20キロ減量したとのことで、もう、見るからに別人。
でも、こんなに風貌が違っていちゃ、本物の思惑、上手くいかないような気がするのだが・・・
傘の武器カッコいい
監督自身『七人の侍』に影響を受けていると公言していらっしゃる様で、正しくそれだなぁと思っていた自分は納得しました。簡単に言えば『七人の侍』+『300』という感じ。そこに「俺の考えた超カッコいい傘」が織り込まれる。
傘のアクションは3回目くらいでちょっと飽きたかな?というところで刃を曲げての首切りはおお!と感心しました。
話運びはスターウォーズのプリークエルみたいな。
Yingという題名もあります。
この作品を見た後、YouTubeのチャン・イーモウ監督の北アメリカ映画フェスの舞台上の挨拶を見ていたのだが、黒人のMCが彼の業績についてサラ~ッと紹介したところで、北京オリンピックの開会式と閉会式の演出を担当したと説明したときに表情を変えずにいたということはこの監督、英語を理解していないのか?事前の打ち合わせをしていないのか?はたまた、小さなことに関心のない肝の座った方なのか?どうでもいいことは置いておいて、前出のMCが彼の略歴を紹介している中で、ウイリアム・シェイクスピアや黒澤明監督の作品からインスパイヤーしていると言っていたが、そんなことを言ってしまったら、この映画が黒澤監督の「乱(1985)」や「七人の侍(1954)」と多少似ているのがバレチャイますよ。
今回の映像は、前回の映画で、信号機の色のような甲冑(紅など特定の色の構成で有名)で懲りたのかどうか知れないが、この映画を観た誰もが口にするのが、あたかも水墨画で描かれたようで、そのモノトーンの中に耽美的要素を追及しているような感覚になり、見入ってしまう....と。
前回の「The Great Wall (2016)」の出演料欲しさにわざわざオスカーをハリウッドの人非人兄弟の弟に譲ったのに、この映画が100億円近いA box-office bombが大炸裂をしてオスカー受賞会場では他の映画人からいじくりまわされた、オメデタイ人がご出演されていた。この方たちのファンの皆様、レビューを見たからと言って、興奮しないように.........逆効果か?
皇帝の妹役のXiaotong Guan、敵の大将の息子で政略結婚させられようとする相手との格闘シーンは、スタントダブルをしっかりと使ったほうがよかったように見えたが.....。
監督自身が、CGIを使わずに実際に創作したものを使い、リアリティを出した演出をしていると言っていたが、陰陽(yin-yang )の竹でできた舞台や個性あふれる衣装など、それと宮殿の装飾されたパーティーションのようなものも、手作り感あふれているが、しかし、監督は何か誤認されているようで外の背景や山の景色、大勢の人など思いっきり使ってますよ。
多分、このように批判めいたコメントを載せるとチャン・イーモウ監督のファンの方たちは、“大激怒”ですか?
それではお口直しに、アメリカのエンタメ情報誌、Hollywood Reporterの記者は、「 これはおそらくチャンが今までに作った映画の中で最も驚くほど美しいものとなっている。」また、エンターテイメント産業専門の業界紙、Varietyは、「彼の息をのむほど美しい、この映画のすべてが、見事に演出されたスタイルは、おのおのの違った場面にもかかわらず、繰り返される芸術的最小単位にまでおよび、しかもその構図がまたお互いに共鳴している。」とべた褒め!
これぐらいで許してください.......!?
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