劇場公開日 2019年4月12日

  • 予告編を見る

「ダイ・ハードの遺伝子を受け継いだ傑作アクション。」ファイナル・スコア レントさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ダイ・ハードの遺伝子を受け継いだ傑作アクション。

2024年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

興奮

「フォール」のスコット・マン監督作品。かの作品が良かったので本作を鑑賞。いつ公開されたのかまったく存在すら気づかなかった本作だが、今回配信で鑑賞して正直うならされた。
アクションの見せ方のうまさは言うに及ばず、とにかく見せ場がてんこ盛りで飽きさせない。定番のストーリーながらよくぞここまで観客を楽しませるアイディアをふんだんに盛り込んだ。

思えばダイハードが世に出てから多くの亜流作品が大量生産された。まあまあ見れるものから駄作までそれこそピンキリ。ホワイトハウスダウンなる駄作も記憶に新しい。しかし本作はそれらの亜流作品の中ではとびぬけて出来が良かった。

明らかにダイハードオマージュといえるシーンも多い。死体を落として警察に知らせるシーンや、味方のヘリから銃撃を受けるシーンなど。だがそれらのシーンはただ真似をしたのではなく物語の展開上必然的に描かれていて本作のオリジナリティーを阻害していない。
本作はかの作品をただなぞっただけでなくリスペクトしており、内容的にも現代風にブラッシュアップされている。
テクノロジーの進歩も反映されてるし、イスラム原理主義によるテロなど現代の世相も反映している。

脇役となるキャラクターの作りこみや伏線も見事だった。警備担当のファイザル・カーンが登場した場面で本作の成功を予感したほどだ。そしてクライマックスでやはり彼は期待にこたえてくれた。観客を避難させるために彼が言い放った言葉は確かに笑えた。しかしそこには欧米人の中東に対する偏見への痛烈な風刺も込められていた。本作はただのアクションだけではない一級の娯楽作品といえる。

おそらく本作は公開時にはほとんど話題にもならなかったのだろう、今さらダイハードの亜流映画なんてと。しかしただの二番煎じではない本作の魅力が十分感じられる娯楽作品である。
これはほんとに掘り出し物だった。レビュー数が少ないけど、これを見ないのはほんと勿体ない。現在「フォール」が本サイトで注目集めてるのでこの機会に監督の過去作を見てみるのもいいかもしれない。

レント