母との約束、250通の手紙のレビュー・感想・評価
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是が非にも運命を切り開き前に進もうとする母子の執念に圧倒される
このタイトルからはメロドラマに近い印象を受けるが、いざ物語が動き始めると瞬時にその語り口へ引き込まれた。何が何でも生き抜く。そして勝利を掴みとってみせる。なりふり構わぬ生き様が、人生を少しずつ動かしていく。数十年にわたって年老いていく母を演じたゲンズブールも見事ながら、精悍な若者へと変貌する少年のバトンリレーもなかなかのものだ。
メインの母子には冒頭から「虚構」がつきまとう。貴族の末裔だとか、有名ブランドのお墨付きのお店だとか、昔は人気女優だったとか。おそらくこれらの「虚」は、母の思い描く未来絵図を叶えるための手段に過ぎないのだが、これらの言葉こそ、やがて少年が生業とする「ストーリーテリング」の礎として大切に受け継がれたように思える。何が何でも書き続ける。それは生きることの同意語でもある。そうして見つめた時、本作は「物語ること」について描いた重厚な人間ドラマだったことに気づかされるのだ。
勲章
ロマンの人生が壮絶に感じましたが、あの時代あの場所で生きた人達、特に大方のユダヤ人はああでもしないと生き残れなかったと思いました。母親との約束で生きる希望を持つことができたのだとしたら、良くも悪くも親の呪縛は子に計り知れない影響を与えますね。それが良い方向に行けば良いのだけれど、悪い方向に行くこともありますので。
二本立て一本目。感動的な話と思いきや… 母ちゃん、強烈すぎ、息子に...
二本立て一本目。感動的な話と思いきや…
母ちゃん、強烈すぎ、息子に思い入れ強すぎ、息子の人生決めるのは行き過ぎ。この親のために息子は葛藤に苦しむかと思ったら、息子は息子で変な奴やん。究極のマザコン?いやいやその割にはなかなかの女性遍歴やし(笑)
結局、感動的なのはラストほぼタイトル通りの一点。後は強烈親子の生き様を見せられたのみ。作家ってこんな人でないとダメなのかも。調べると、ロマン・ガリ、人生の終焉はやっぱり◯◯でした。
上映前、ちょっと一杯やってたら美人店員さんに声をかけられドギマギ。遅刻娘のお友達だった。女の子は変わるし、おまけに今はマスクで分かりにくい(笑)嬉しいひと時でした。
強烈な親子愛
なんだろう、強烈な余韻。
シャルロットゲンズブールの怪演にあてられた。
母と息子の想像を超える愛の絆を見せられた。
時に喜劇のようで 度を超えた愛情表現に笑ってしまった...。
正直、シングルマザーの行き過ぎ溺愛ぶりからの、この息子ありなのだよね。
母好みの人形のようだけども、互いがOKならそれで良い。
そこに相思相愛があるのだから。
時に悲劇な差別のシーンに涙と怒りを感じたり…。
フランスでもあのような酷い差別があったことを知った。
離れていても互いに共存し、
未来を見据えて生きてきた母と息子の愛の物語は
ふたりの強烈なキャラクターとともに、深い余韻を残した。
何かと恥ずかしい母の愛
ロマン・ガリの半生の物語。母の愛がどうのこうのって言う以前に、彼の半生が波乱万丈で面白かった。
スウェーデン女性は世界の男の夢?そうなの?それって世界の男の常識なの?どうりで。レベッカ・ファーガソンに惚れる訳だ。
取りあえず、ミリオタとして触れておきたいのは、操縦士が視力を失いながらも海峡を渡って帰還した爆撃機、ハンドレ・ページ・ハムデン (Handley Page Hampden Mk.Ⅰ)。動力性能重視で軽量化するために銃座が動力式では無く、レイアウトも機体設計も画期的だった爆撃機。最大速度は400kmphと軽爆撃機並みだったそうです。1400機以上製造され、WWⅡで半数が失われたとされていますので、ロマンの生還確率も1/2位だったって事でしょうね。
迫害を受けるユダヤ人。それでも、当時暮らしていた場所がどこであったかで、これだけ運命に差がでるもんなのかと。そっちの方がグサリと刺さってしまいました。母親の成功欲は迫害への反骨。息子への偏愛は成功欲の同位体。250通の手紙は、息子を思う愛の深さの証し。しかしながら、お母ちゃんの活動力と商才、大したもんです。尊敬します。
文学無知なワタクシ、恥ずかしながらロマン・ギャリーの作品を一つも読んだことありませんのでして。死ぬまでに読む本に「夜明けの約束」を登録しました。
約束は果たされたか?
うちの子は偉い軍人だとかフランス外交官だとか偉大な小説家になると言われ続け、幼き頃からそれに応えようと奮闘してきた主人公ロマンと、その過激なシングルマザーの物語。
タイトルを見た感じでは、母と息子の温かな感動作といった印象を受けたが、実際はもっと内容の深い物語だった。
正直言って、周りを見返したいという気持ちが異常に強く、息子を大物にせんとする母親の言動は普通ではない感じ。かなり過激に息子に干渉するが、当のロマンは嫌気がさしながらも、その期待に応えようと奮闘する。
上述の通り、自分はこの母親の言動が異常に思えてたが、苦しみつつもロマンはそんな母親を確かに愛しているようで、この母親は絶対に間違えているだなんて他人の自分が言えることではないなぁと。。なんだかんだでこの母親は強く、どんな状況になっても生命力が半端ない。現に息子ロマンも確かな地位を得た大物となっているし。
改めて親子の在り方って十人十色だと思わされた。
母と息子のメインテーマの他にも、差別や偏見、戦争等々様々なテーマがありつつも、ストーリー自体はそれほど複雑ではない本作(8歳の悪女には驚いたが)。しかし、映画の最後、ロマンの心情はどのようなものか、結局彼は幸せだったのか、その答えを見つけるのは難しそう。
そして、あの厳しい母親が最後に見せた、ああいう形の優しさにグッときた。
白い嘘、読んでみたい。
非の打ち所のない傑作
幼い頃の魂が幼いままに人生を放浪するような物語である。ひとりの少年とその母の半生を描いた極めてプライベートな物語なのに、どこか一大スペクタクルを見たようなスケール感がある。満足感を通り越して満腹感がある。凄い作品だ
中原中也に「頑是ない歌」という詩がある。「思えば遠く来たもんだ」ではじまる有名な詩だ。十二の歳から世帯を持って子の親になるに至った、思えば長い道のりだった、どこまで行っても十二の歳の魂はついて来る、そんな詩である。
本作品のロマンも、成長するにつれて世間ズレしたり人扱いが上手くなったりするが、魂は決してブレない。母の厳しい愛情を一身に受け、沢山の忠告と励ましの言葉を聞かされた子供の頃の記憶は大事に保たれ、必ずしもフランス万歳という母の価値観は共有しないものの、母の優しさだけは残っている。
物語のテンポがよくて、ロマンの成長と体験がよく分かる。聖人ではないが、悪意のない優しい大人に育った。波乱万丈の人生を送っても、心の奥底には母の優しさがある。そして母の励ましがある。だから母と同じように人に優しくなれる。母と違って思い込みがないから、母ほど他人に厳しくはない。
映画の原題の「La promessa dell'alba」(夜明けの約束)は、ロマンの自叙伝的小説のタイトルでもある。その原稿をロマンの妻が読むという形式で、読んでいる内容が映像化されたのがこの映画だと言っていい。安心感のあるこの二重構造に支えられて、母とロマンの放浪がリアルに描かれる。エキセントリックで思い込みの激しい母だが、ロマンは幼い頃から自分が母の愛に包まれていることを知っている。これほど愛されたことも、これほど愛したこともない。
母の愛と優しさは、その底なしの深さによってロマンを絶望に追い込むことになるのだが、それはまた別の物語だ。息つく暇もなく鑑賞できて、鑑賞後には強い印象が残る。台詞も映像も音響も役者陣の演技も素晴らしい。非の打ち所のない傑作である。
母と息子の関係性
フランスの作家、ロマン・ガリの自伝を元に、彼と母との関係を描いた作品。
とにかくドラマチックで物語向けだなぁというこの人物の経歴。フランス外交官を勤め、文学賞を2度受賞し、映画監督でもあったようだ。
それら全てが、母が息子に託した夢を叶えたものであった、という話なのだが、この母のキャラクターが、エキセントリックで面白い。
現代なら毒親と叩かれるレベルだが、まあ母親ってこういうところあるよね、という、子供への期待や押し付け、過度な愛情、世間への見栄、独占欲、保護心などが、大分誇張した形で描かれている。
煩わしく、恐ろしく、嫌悪を抱かせる一方で、滑稽で、哀れで、弱くて、強くて、人間臭くて、仕方ないなぁと、何処か愛おしさも感じる。
自らも事業主として、女手ひとつで、息子をひとかどの人物に育て上げようと奮闘した。ロマン・ガリの回想という形だが、多くの部分が、母の伝記物語でもある。
この母を筆頭として、ステレオタイプでちょっと意地の悪い誇張のされ方をしたキャラクターとして、幾人かの個性的な女性が登場するが、反して、男性の登場人物は余り尖った特徴もなく、父親については言及もされない。女性に振り回されがちな人生だったという表現だろうか。
ガリの最後は自殺だったらしい。数々の栄誉を得ながらも、虚しさを抱えた人物として、この作品はその後のガリを描いている。
人生の支柱を、自らの内ではなく外に立ててしまうと、外界や他人の変化に揺さぶられ、グラグラと不安定に揺れ動いてしまう。幼いガリは、母の期待と愛情に答えようと、評価基準を母の承認に置いてしまった。それが得られないその後の人生、どれだけの成功も、彼を満たす事はなかったのだろうか。
一人では生きていけない。自分を満たすだけの生は虚しい。けれど切り売りし、与え過ぎるのも、また自らを蝕む。生きる事は難しい。
ちょっと息苦しい
26本目。
実話ベースなんだね。
話自体は面白い。
でも母親の愛情?教育?躾?がね、洗脳にしか思えなくて。
息苦しいし、母息子が観てて好きになれない。
せめてどっちかとは思ったけど無理だった。
でも役者さんは上手かった。
「愛と哀」「想いと重い」
この母親の過去に一体何があったのだろうか・・
尋常では無い息子への執着・・
全身全霊、一生をただ、ただ息子の為にだけ生きて・・
愛と想いを受け入れ成し遂げた息子・・
果たして彼にとってその想いは重く
愛は哀しくもあったのだろう・・
観終えた後は落ち着かず、心のざわつきが止まなかった
・・少年期のロマンを演じた坊やの健気な演技がたまらなく愛しく、鬼気迫るゲ-ンズブールにも圧倒されました
以前ロマン・ガリの原作を手にしましたが
開く事なく未読のまま😅
この作品に出合えた縁で、今回こそ読破したいと改めて思いました🍀
2人の母と息子の 息苦しいほど、あきれるほどの 生き様を描いた作品...
2人の母と息子の
息苦しいほど、あきれるほどの
生き様を描いた作品
息子を一人前の男にするために
彼の意向は全く無視し育てる母親
それに応えようとする息子
その親子の姿がなんともいえない
観ていて心が揺さぶられ
観終わってどっと疲れが残ったが
このまま空を仰ぎ見て泣きながら
歩きたいそんな気分になった
私も子を持つ母親であり
息子への思いや母の思いが
突き刺さる作品だった
ヨーロッパ
今の観点で見たら、マザコン息子と妄想ママの話とされても仕方ないかもしれない。でも、あの時代のヨーロッパで、ユダヤ人で、シングルマザーで、貧しく、差別される世界で、とにかく誇りを持って、母と息子の二人が強く生き抜いていくためには、あれだけの逞しさと教育熱と信念がなければダメだったと思う。
今のヨーロッパだって、言葉を聞けば、衣服を見れば、髪型を見れば、趣味や好きなスポーツを聞けば、階級も住む場所も教養レベルも全てわかってしまう。
子ども時代のロマン、とても可愛く魅力的だった。ピエール・ニネ目当てで見た映画なので、どんな風に彼が登場するのかワクワクした。ユゴー(?)の肖像画に反射して映る形でニネのロマンが登場する所は素敵過ぎて卒倒しそうだった。そして、ロマンの小説が初めて新聞に掲載されてのお祝いに、ママとロマンがダンスする場面も美しすぎて、また卒倒しそうだった。
ママのゲーンズブール、素晴らしい。
フランス版の「ずっとあなたが好きだった」といったところか
まさにそんな感じの作品。
ただ違うのは、冬彦さんにあたるロマンと悦子ママにあたるニーナとの愛情の交錯のみにスポットライトを当てた物語であり、妻との関係性などがすっぽり抜け落ちていること。
ユダヤ人であることや戦争に向かう暗い時代背景が影響しているのだろうが、これほど異常なまでの親子愛は寧ろこの親子特有のもので、特に母の執念と言えるまでの愛情の由来がもう少し丹念に描かれていても良いのではとも思った。
(おそらく、ロマン・ガリ自身が母から詳しく聞かされていなかったのだろうと思う)
それと、性的描写は物語の進行上不要なのではとも思った。
予想以上に重たい内容。しかし、これがフランス映画
予告編を観て気になって観にいったが、想像以上に重たい映画。胸が痛むし、辛い内容だった。しかし、息子ロマンの成功を願う母の思いに応えたいが、重圧に耐えられないプレッシャーがスクリーンから伝わった。回想録風の映画だが、もう少しストーリー構成が分かりやすい内容にしてほしかった。この点でマイナス。しかし、第2次世界大戦下の空軍に入隊したロマンを例にした戦争のリアル感、ロマンと女性のラブシーンの激しさ、ストーリーに合う物悲しい映画音楽はこれぞフランス映画なのかなと感じただけでも良かった。アカデミー賞で1917命をかけた伝令が候補になっているが、予告編を見る限りテーマが伝わるのは本作品。フランス映画の匂いを感じただけでも2点だが不合格。
洋裁屋の息子
息子は将来作家になって大成する!と叫び続けるユダヤ系ポーランド移民のシングルマザーと、期待に応えようとする息子の話。
主人公が少年の頃から話が始まり青年になり、帰化して戦地に赴いて…と展開していくなかで、手紙のやり取りをみせていく。
親子ともども、苦悩しながらも何がなんでも我武者羅に真っ直ぐに生き抜いて突き進む姿は熱を感じたけれど、悪く言えば親バカまっしぐらな母親と、同じく言えば盲目的マザコンの主人公というところがついて回って、ロマン・ギャリーに思い入れもないし、残念ながらイマイチ響かなかった。
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