「不揃いの平成ライダーたち。」劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer 財団DXさんの映画レビュー(感想・評価)
不揃いの平成ライダーたち。
いよいよ『仮面ライダージオウ』もクライマックス。
白倉プロデューサー×下山健人という座組に不安を覚え、毎週のように繰り返される後出しジャンケンに辟易としていたが、“平成ライダーの締めくくり”と言われれば受けて立たないわけにはいかない。
最初に言っておくが、本作もやはり『映画というにはあまりにもおざなり』という出来だ。ジオウ・ゲイツ・ウォズがクリム・スタインベルトの祖先とドライブの歴史を守るため過去へ飛び、そこでいつものような一悶着があって解決。牛三や信長役のお二人はとてもいい芝居だが、そもそも全くドライブらしくない展開で力を継承しても何だかなぁ…という気持ちだ。
そして物語は二幕目へ突入。『Quartzer』と名乗る謎の集団が現れ歴史の管理者だの何だのといい襲いかかる。そしてウォズも「実はこいつらの一味でした」と言い始める。もはやタイムジャッカーもレジスタンスもクォーツァーもよく設定がわからないので、何も驚きはない。
さらに案の定ともいうべきかゲイツのツンデレとウォズの寝返り。何回安易に同じ展開を繰り返すんだろう…。
しかも最終的にバールクスを倒せたのはソウゴのイメージの中に出てきたオーマジオウからの助力(?)のおかげ。というかオーマジオウがISSA演じる常盤SOUGOではないの?ますます混乱する。
とまあ不満を書き連ねてきたが、今回はただの粗悪な出来というわけではなく『製作陣の(いい意味での開き直り)』とももれる。木梨憲武・ブレン・斬月カチドキ・G・漫画版クウガを一挙に出すやりすぎな演出も、『平成は歪でも不細工でも自分たちが面白いと思うものを信じてやってきた。今回も全力で突っ走る!』という意思表示ではないか。
そしてその意思自体には大いに筆者も共感する。劇中でウォズが放った『平成ライダーは設定や世界観がバラバラすぎる。』という旨の言葉には、『いや、だからこそ面白いんだろ!上手くいかないこともあるけどそういう創意工夫や紆余曲折の上に成り立ってきたシリーズなんだ!それは誰より俺たち平成生まれの子供たちが知っている!』と反論したくなった。
(※ちなみに実際は私の斜め前の子供が『それは違う!』と反論していたが笑)
そのため、作品の出来はさておき“平成ライダーの集大成"というにはふさわしいのかもしれない。『平ジェネFOREVER』と似たような感想になったが、これからの令和ライダーシリーズを応援していきたい。
『ゼロワン』は高橋悠也さんなので一安心か…。