「【”被爆ピアノが結ぶ、母、娘、孫三世代の反戦の絆” 矢川光則さんを始めとする被爆2世の方々の想いに頭を垂れる。】」おかあさんの被爆ピアノ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”被爆ピアノが結ぶ、母、娘、孫三世代の反戦の絆” 矢川光則さんを始めとする被爆2世の方々の想いに頭を垂れる。】
ー優しかったおばあちゃんは、幼き時、ピアノの折り紙を折ってくれた・・。-
■印象的なシーン
・奈々子の母、久美子(森口瑤子)が”娘には、広島とは関わらせたくない・・”と口にしたシーン。
-愚かしき私は、”何を言っているのだ?”と思ったのだが、直ぐに真相が明らかになる。被爆された方の子供たちが、”どういう事を経験してきたのか・・”-
・矢川が自らと原爆の関係を語るシーン。彼も被爆2世であった・・。彼の父の命を助けた刀を前に奈々子に言って聞かせたこと。
-矢川さんは実在の人物で、実際に被爆ピアノの音色を全国に届けている。頭が上がらないです・・。-
又、矢川を演じた佐野史郎さんが素晴らしい。
被爆ピアノを運ぶ途中、若者たちがピアノを弾かせてもらうシーンでの、穏やかな表情からフリージャズを激しく弾く若者に”いい加減にしろ!このピアノは・・”と強い口調で窘めるシーンなど。
多才な方で、最近は演ずる姿をお見掛けしなかったが、スコシハラハラした主演女優の方を、しっかりと支える盤石の演技である。
・奈々子と久美子が、おばあちゃんの思い出とともに、少しづつ心を通わせていく広島市内の数々のシーン。
・あの原爆ドーム前での被爆ピアノを使っての演奏会。奈々子が一生懸命練習したが、詰まってしまった”ベートーベンの悲愴”を、奈津子が寄り添い弾くシーン。
■現代日本の右傾化した政治家に見て頂きたいシーン(というか、見るべきシーン)
・原爆を浴び、奇跡的に生き延びた高齢の男性がベッドの上で半身を起こし、血を吐くように叫ぶ言葉。
”戦争はイカンです!。戦争はイカン!”
<毎年、夏になると、戦争映画が多数上映されることは、とても大切なことだと思います。そして、この作品も今後定期的に、放映されることを望みます。
今年も、現宰相は8月6日、「広島市原爆死没者慰霊式」にて、例年と同じようなコメントを述べたが、”核兵器の無い世界”の実現のために・・と口にするだけで、今年も”核兵器禁止条約”に触れていない。
例年、広島、長崎の方々を始めとした民意を鑑みないコメントには心底、落胆する。今一度、右傾化した政治家の方々は、近代日本の歴史を学んだ方が良いのではないか・・。>
<2020年8月23日 刈谷日劇にて鑑賞>