「アクションも笑いも今ひとつ」メン・イン・ブラック インターナショナル 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
アクションも笑いも今ひとつ
若干退屈な作品。ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズが主演した前作品と同等の面白さを期待していただけに残念である。TBSの王様のブランチでLiLiCoが褒めていたが、あれはほぼプロパガンダだからあまり気にしないことにしていた。それでも言葉の影響力はゼロではないから、心の底で期待を膨らませていたのかもしれない。テレビの映画評論は見ないに越したことはないのだ。
考えてみれば前作までは宇宙難民たちの臭いや触感まで具体的に表現していて、少し気持ち悪い部分もあったが五感に訴えてくる迫力があった。しかし本作品は視覚と聴覚だけだ。リアリティに欠けるから怖さはゼロに近くなる。敵が怖くなければ面白さは半減する。主人公の活躍がパッとしないのだ。
こういった娯楽作品は、キャラクター設定で笑わせたり、CGがすごかったり、主人公の活躍が爽快だったりすることで気分が上がるものだ。本作品はコースに起伏もバンカーもないゴルフを見ているようで、面白さとはほど遠かった。
黒人と白人のコンビという点では前作までと同じだが、役者の演技に思い切りがない。前作までが主人公がひどい目にあっていたのに、本作品の主人公たちは顔も洋服も綺麗なままだ。ウィル・スミスは表情豊かな俳優だが、クリス・ヘムズワースは表情に乏しい。トミー・リー・ジョーンズのとぼけて飄々としているところが笑いを誘ったが、本作のテッサ・トンプソンにはそんなおおらかさを感じなかった。作品としてはSFコメディという位置づけでいいと思うが、それにしてはアクションも笑いも今ひとつで、評価できる要素に乏しかった。