「笑顔の真実」パリ、嘘つきな恋 くりさんの映画レビュー(感想・評価)
笑顔の真実
金持ちの遊び人が
姉妹の介護士の妹と親しくなるために
車椅子生活が必要であると
嘘をついてしまったまま、
その姉に恋した。
彼女は足が不自由だが魅力的で、
そんな彼女と交流するなかで
改悛するはなし。
ではなくて、
主役は、ヒロイン役の
アレクサンドラ・ラミーかな。
下半身が不自由な女子、
しかも彼女は、
世界を舞台に演奏する
バイオリニストで、
車椅子テニスプレイヤー。
その彼女が、
心無しの男を、
自身が放つ人間としての魅力で
変えていくはなし。
初めに惹かれたのは、彼女の笑顔。
なんというか、
自信と敬愛を感じさせる笑みで
スクリーンに釘付けになりました。
その考え方にも。
ジョスランの嘘を
すぐに見抜いていたことは、
驚きでしたが、
気づかないふりをした理由は…
「~この有利な時間を、
しばらく楽しんでもいいでしょう。
しばらくはあれこれきかないで、
彼を信じるの。」
妹に語った心理には、
体にハンデを負って生きてきた人生と
共に培った強くしたたかな精神が
みえて、
観ている私が
気持ちを揺さぶられました。
かわいそうと感じさせない、
一人の女性のこころのあり方を
たくましく表現しているところに
彼女のプライドを感じて。
特別扱いが一番してはいけないこと
たんだと。
だから
プールでの口説きと、みなもに広がる
赤ドレスには、素直に
男女の恋愛として見れたし、
結ばれた二人には
応援するような気持ちに。
傷つけないように考えた
神による嘘のごまかし方なんて、
やるせなくて、
はずかしくても、
落としどころをつけるために
する大人の恋愛のやり方として
理解できました。
でも、
さすがに、
愚かな行為を恥じた相手に
どのように対応するのか、
傷つけられた彼女が
どう反応するかのかが
わかりませんでした。
だから、
人間性を根底から改心した
ジョスランが
秘書に対してみせた思いやりも
空しかった。
そんな、
気持ちになりながら迎えた
最後に用意された
マラソンのゴールシーンは
よかった…
倒れた彼へ対しての
どこまでも、
素敵な振る舞いと台詞が
忘れられないです。
個人的には、プラハで、
演奏後出てきたフロランスに
ジョスランがたまたま観にきたと
会いにいくところから、
二人のデートになって、
夜明けの川辺を眺めるシーン
が好きです。
その後も、度々、お互いが使う
このフレーズ。
ラストシーンでも
でてくるこの、
「ついでに」という言い回しが
気を使わせない
遊び言葉としていいです。
まぁ、
もちろん相手も
ついでに、こんな場所にきたり
そんなことまで
しないことはわかるんですが。
お互いだけがわかる
フレーズとしてつかっていたのが
楽しい。
おすすめ。