「中学生で「退学」処分とは、厳しい現実」12か月の未来図 突貫小僧さんの映画レビュー(感想・評価)
中学生で「退学」処分とは、厳しい現実
題名からいかにも生徒と教師の素晴らしき友情物語なのだろうという感想を思い描き観賞させて頂いた。作品の甲乙は、作品の流れと展開である。
作品の流れは、日本とフランスの教育システムが全く違っていたということに気付かされた。
何となく閉鎖社会から抜けきらない日本の教育システムしか判らないので、フランスの教育システムが理解出来ない部分もあった。問題を起こした生徒に対し「評議会」があり。最悪、中学生で既に「退学処分」があるということだ。日本には、PTAの存在があり、余程のことがない限り問題を起こした生徒に反省させ、その生徒を守る立場にある。だからなのか判らないが、「退学処分」がない。だから、9年間はぬるま湯教育である。日本は9年間ののんびり教育だから中学終わりまでの学力の差は、かなり開く、結局、中学生でその差が開いたままで、社会へと進むものもいれば、高校受験に進むものもいる。中学の2年ぐらいで「これから」のことを考えても遅すぎるのだ。教師たちも、なんのフォローもない。今後の人生は、生徒自身が考えなけれならない。残酷な教育制度である。今回の作品のように中学校で「退学制度」を設けた方が、厳しいことではあるが、幼い時から「自己責任」の大切さが学べてよいのではないだろうか。その方が、親切であるとも言える。
今回の作品を観て、「勉強する」ことが嫌であるということや数学では、公式、言語の教育では文法。これらを学ぶ必要がある。学生にとってこれが一番大切なのであり、社会に出る「武器」となる。でも、これを習得するのは、非常に面倒くさい。だから私も勉強が大嫌い。
この作品は、教師フーコーと生徒「エディ」を中心に信頼できる教師に出逢える作品である。
教師フーコーが、生徒の名前を必死に覚えようとする場面やエディが「退席処分」にならないための条文の記載を一生懸命探す場面は、あいくるしくもあり感動もした。
12カ月の期間であり、二人の距離感が近くなる時間としては、すこし早すぎであった。作品が「12カ月」という期間限定でもあるので、其処は残念。今後、二人が共に、フーコーの持てる力を発揮し、エディは内面から成長し、人生が変えられるという力が学べることを丁寧に描かけたかも。
ベルサイユ宮殿は、さすがに荘厳だ。
しかし、そこで「自撮り」はないだあろう。
ラストで、問題児であるエディがフーコーに「寂しくなる。」と言わせた所は、個人的に感涙である。エンディングテーマは、聴いたことがあり、涙を誘った。