「これだけ広大な宇宙を『閉ざされた世界』と見て良いのだろうか?」ユピテルとイオ 地球上最後の少女 マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
これだけ広大な宇宙を『閉ざされた世界』と見て良いのだろうか?
地球に残る事を良しとしているので、彼女の行動に共感したいが、最低でも男女10組以上いないと、人類としての種は滅亡する。
今後、地球での人類の復活は、他の地球上のコロニー異性の発見だけに限られる。片道655日もかかるイオからの帰還は、科学的に不可能である。帰れるエネルギーは既に無いはずだ。
だから、人類存続を匂わす終わり方は、火の鳥『望郷篇』の様で薄気味悪い。
そもそも、最初から地球は死んでいないし、地球に残った賢明な者達はもっとまともな社会を形成していたはずだ。
従って、最悪、人類を含めた全生物は死滅する。そう言った運命を経験した後に地球は再生する。まともな科学者はその運命を受け入れて『宇宙に脱出する』とは考えない。
熱力学第一法則を知っていれば、宇宙に人類が拡散する事が、どれだけ暴挙であるか分かる。それはマッドなサイエンティストでも分かるし、高校の物理の授業で習う事だ。
『少女終末旅行』はそれを分かって描かれている。
追記
ケンタウルス座のα星の伴星は、プロキシマ・ケンタウリの事だと思うが、この星が太陽系から一番近い恒星たが、それでも光の速さで4年以上かかる。そして、隠された惑星があると予測されているが、リスクを考えれば、四年以上もかけて行く所ではない。それだけのスピードが出せるなら、一時間かからずに地球に帰れる。さて、何の為に人類は宇宙などと言う『死の世界』へ行こうとするのか?
ボブ・マーリーの『EXODUS』と『栄光への脱出』を思い出したが、どちらも閉ざされた社会からの脱出。それでも、地球上の閉ざされた世界での事。
追記
途中、主人公がカセットテープで聞いていた『ショパン ノクターン op.9-2』だ。この音楽は』栄光への脱出』でも使われていた。
EXODUSって言えば、単純な『脱出』では無い。『出エジプト記』の事である。従って、この映画もそう言ったメッセージが隠されているのかもしれない。