「異色の時代劇」決算!忠臣蔵 あいわたさんの映画レビュー(感想・評価)
異色の時代劇
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討ち入りシーンが大胆にカットされた異色の忠臣蔵。唯一と言って良いほどの殺陣がまさか長助の最期になるとは。
でも、予算管理に焦点を当てた本作では良い演出だったと思う。やれ討ち入りだ仇討ちだと威勢の良いことを言っても、先立つ物が無ければままならない。討ち入り時の火消し衣装にこんな背景があったとは、真実かどうかはともかく、面白い話でした。稼ぐことが出来ない中でも貴重なお金を全ては有効活用できない、というのも現代に通じる話だ。
そんなドライな話をコメディタッチで描く本作は、芸人も多数参加しているが、コメディに振り切りすぎず良いバランスだった。
だが、たった一人の隠居したおじいちゃんの暗殺に1億円近くを掛けるとは、流石に現代の感覚とは違う。あれは吉良の暗殺が目的に非ず、幕府のやり方への反発だ、という意見もあろうが、政府のやり方に反発するためだけに1億円と多数の命を注ぐとすればその感覚もまた現代の感覚とは違う。
藩の取り潰しとは現代で言えば大会社の倒産でしょう。借金の精算は仕方ないとして、1億円あったら退職金を増やして社員の再就職のサポートをして欲しいですね。
大願成就のため瑤泉院の化粧料を湯水の如く使いながらも、遺児たちの赦免のために100両残すラストの場面も秀逸だった。(石原さとみさんもハマり役でした。)長助の遺言を守りなけなしの100両を大願成就の後のために残す、というストーリーは単なるコメディ映画に収まらない良い場面でうるっとしてしまいました。
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